博子と東京メイン社長との車中の会話。大阪での受け方のご提案。三者三様ではなくチームで受けます。
東京メイン社長たちが三人で新大阪に降り立つと、博子たちはそのままお出迎えする形に
なった。「いらっしゃいませ」という感じで、博子が軽く笑って声をかけると、
メイン社長もすぐに機嫌よく返してくれる。
「結構久しぶりやな。」
「ちょっと時間空きましたね。」
「空いた。でも、やっぱり大阪に来るのはめっちゃ楽しみやわ。」
「ありがとうございます。」
博子も、そこは素直に嬉しそうに返す。
向こうがこうやって“来ること自体が楽しみ”と言ってくれるのは、やっぱり大きい。
おじさんたちのテンションが高いのもそうやけど、こっちとしても迎え入れる
意味がちゃんとある感じがするからや。
「いやいや、こちらもお待ちしておりましたよ。」
そう言いながら、荷物どうしましょうという話になり、とりあえず新大阪で降りてもらったから、
もうさっと大阪行きましょうか、という流れになる。
今回はあんまりうろうろせず、タクシーでヒルトン大阪まで行くことにした。
三人とも三組に分かれてタクシーに乗る形で、それぞれ少しずつ喋りながら向かう。
博子は東京メイン社長と一緒のタクシーに乗る。
乗った瞬間から、社長は少し照れくさそうに、でもかなり素直に言う。
「いやでも、めっちゃ会いたかったと。」
博子は思わず笑う。
「そんなストレートに言います?」
「会いたかったけども、ちょっと我慢した。」
「うん。」
「我慢した分、余計会いたなった。」
その言い方が妙に真っ直ぐで、ヒロコも「ありがとうございます」としか返されへん。
でも、その“我慢した分、余計会いたくなった”というのは、向こうの気分としては
たぶんほんまなんやろうなと思う。
毎週毎週来るんじゃなくて、少し間が空く。
その間に、また期待が膨らんでいく。
そういう周期が今の座組にはちょうどええのかもしれへん。
「下田にも行かれたって聞いて。」
博子が少し話を広げる。
「ちゃんとそっちでも遊んだはるんやなと思いながら。」
すると社長は、すぐに笑って返す。
「いや、それは博子ちゃんの大きな手のひらの上で遊んでるだけやで。」
「またそんなこと言うて。」
「ほんまやって。」
そのまま社長は、かなり率直に最近の感覚を話し出す。
「やっぱり、銀座六本木で雑な遊び方してるよりも、遊びの質とお金の使い方は格段に良くなったと。」
博子は、そこは静かに聞く。
社長は続ける。
「特に、博子ちゃんの言ってくれた、奨学金肩代わりの話とかも含めてやけど。」
「うん。」
「会社の制度的にも良くなったし、周りの従業員たちの空気も柔らかくなってる。」
「それは良かったです。」
「で、それだけでも、東京から大阪に気づきを求めに来るっていうだけで、
俺の中では結構意味があることや。」
社長はそこで少し博子の方を見る。
「こうやって博子ちゃんが、いろいろ種をまいてくれるがゆえにな。」
「うん。」
「いろんな新しい刺激というか、自分にない球をボンボン投げてくれる感じがやっぱりいいわ。」
その言葉は、博子としてはかなりありがたい。
でも同時に、最近自分の中で引っかかってることもある。
だから、ここでちゃんと伝えとこうと思う。
「でも、私的には。」「そうは言っていただけるのはめっちゃありがたいんですけども。」
「うん。」
「結構、球なくなってきてるんで。」
社長が、そこで吹き出す。
「出た、球不足。」
「いや、ほんまに。」
博子は、そこで少し真面目に続ける。
「これからの受け方なんですけども、女の子三人と社長方三人で、言うたら三者三様でやるよりも。」
「私が主導でね、引っ張っていきながら、いろんな球を投げるっていうような形にしようかなと
思ってるんですよ。」
社長は、その意図をすぐに理解したようやった。
博子は、そのまま整理するように言う。
「特に、奨学金肩代わりの話も含めて、私もまだいくつか投げれる球が残ってて。」
「そういう話をするとかになった時に、多分三人一緒に聞いた方がいいよねって話もあるでしょうし。」
「うん。」
「鉄板コースとか、言うたらおしゃべりはしたけども、残りの二人の社長も行きたいっていう
可能性もあるじゃないですか。」
社長は、そこで静かに頷く。
博子はさらに続ける。
「だから、前は三者三様で受けるっていう余裕もあったっていうのもあるんですけども。」
「うん。」
「ここはもう、一緒くたにしてもらって受けてもらおう、で。」
「うん。」
「みんなでその熱を持って帰ってもらうっていう形がええかなと。」
そこまで聞いて、メイン社長はかなりあっさり言う。
「もうそこら辺は任せる。」
「ほんまですか。」
「俺個人で言うたら、博子ちゃんと会えるのがいいっていうのは、もちろんあるから。」
「別に他の二人をないがしろにしてるわけじゃないけどもさ。」
「うん。」
「俺は美味しいからええねんと。」
博子は、その“美味しい”という表現に少し笑ってしまう。
社長は、そのまま現実的な話もする。
「で、その二人がね、女の子にどハマりしてるかって言ったら、多分そこまで
どっぷりハマってないから。」
「そうやって博子ちゃんが主導でやってもろて。」
「うん。」
「言い方悪いけど、サブみたいな形でフォロー入ってもらう方が、多分いいんやろな。」
その言葉に、博子もだいぶ納得する。
要は、向こうとしても“博子が中心で回してる”という構図自体に不満はない。
むしろ、それがこの座組の個性やと思ってる。だったら、変に平等を演出して
無理に三分割するよりも、主導をはっきりさせた方がええ。その確認ができたのは大きかった。
「ありがとうございます。」
博子がそう言うと、社長はまた機嫌よく笑う。
「いやいや。もう、その方がええわ。こっちも期待の仕方がしやすいしな。」
「期待値上げすぎんといてくださいよ。」
「それは無理や。」
「困るなあ。」
そんな軽口を叩きながら、タクシーは梅田へ近づいていく。
西梅田のビル群が見えてきて、ああまた始まるな、という感じが出てくる。
でも今回は、三者三様で散らばるんやなくて、まずはビアガーデンで全体を受ける。
その方針が、車の中でだいぶはっきりした。
博子としても、それはかなりありがたかった。
そうして、そのままタクシーはヒルトン大阪に着いたのだった。




