おじいちゃんお見送り後アルカちゃんさきちゃんとフリーの卓で雑談。コンカフェの話と座組の話
おじいちゃんのお見送りが終わった後、博子はフリーの卓に戻って、アルカちゃんとさきちゃんと
遭遇する。二人ともこっちを見るなり、なんか今日めちゃめちゃ盛り上がってたやないの、
という顔をするので、ヒロコも思わず笑ってしまう。
「今日な、コンカフェ行ってきてん。」
「え、ほんまに行ったん?」
「行った行った。同伴で。」
「マジで仕事してるやん。」
「そやろ。」
そんなふうに言いながら、博子は今日の流れをざっと話し出す。オムライス頼んで、たこ焼き頼んで、
リーダーにきれいに回してもろて、おじいちゃんがきょろきょろしながら楽しんでくれたこと。
そして何よりも強烈やったのが、横で同年代ぐらいのおじいちゃんが一人でガスコンロ出して
鍋をしてたことやった。
「でさ、コンカフェでね、鍋してるおじいちゃんがおってさ。」
「なんじゃそりゃ。」
「めちゃくちゃ面白かってん。」
「またなんかとんでもない球が出てきたな。」
「そら盛り上がるわ。」
二人とも呆れながら笑って、そこからしばらくはその話でわあわあ盛り上がる。アルカちゃんなんか、「もうそれだけで一本動画できるやん」とまで言い出して、さきちゃんも「キャバの最大の
ライバルやなそれ」と笑う。博子も、ほんまそうやでと頷きながら、あの自由さと雑多さは
やっぱり強いよなという話をする。
ひとしきりコンカフェの話をした後、自然と土曜日の座組の話になる。
「で、土曜日の座組なんやけども。」
博子がそう切り出すと、二人とも少し真顔になる。
「ビアガーデン今年もし行ってないって話になったら、ビアガーデンで全部一手に引き受けるって
いうのはどうかなって思ってて。」
すると、アルカちゃんがすぐに食いつく。
「あ、それめっちゃあり。私ビアガーデン行ってないし。」
さきちゃんも続く。
「でも、安いビアガーデンじゃなくてさ。ヒルトン周辺とか、ちょっと高めのところのビアガーデンに
せえへん?」
博子が「おお」となる。
「そこやったら、貸し切りみたいな感じでさ、なんかグランピングみたいな感じで
できると思うから、それどうかなって。」
「それめっちゃええやん。」
「一回提案してみるわ。」
そうやって一気に話が具体化していく。ヒロコとしても、ビアガーデンは季節ものやし、
8月のうちに一回切っときたいカードではある。しかも、三対三でやるなら、みんなが
同じ場におれて、変に三者三様で散らばらんで済む。そこがかなり大きい。
「で、あかんかったら、また三者三様になるかもしれんけど、どうしようとなるやん。」
博子がそう言うと、二人とも頷く。
「ていうか、もう私はちょっと面倒くさくなってきてんねん。」
「そらそうやろ。」
「三者三様でやると、みんなが店考えてやらなあかんやん。」
「それはしんどい。」
そこで博子は、もう一つの案を出す。
「で、この前のね、ウイスキー工場行った後の税理士先生の時に行った、新大阪の駅近くの
小料理屋さんがあんのよ。七時までしかやってないねんけども。」
「ああ、あそこ。」
「そこで、半分貸し切りみたいな感じで二階押さえるっていうのもありなんやけども。」
「それもええやん。」
「やろ。だからその二つをちょっと提案しようと思ってんねん。」
博子は指を折りながら整理する。
「ビアガーデンの方が季節ものやし、で、小料理屋も逃げるわけじゃないから、とりあえず
第一希望ビアガーデン、第二希望小料理屋で押そうと思ってんねんけど。」
すると、さきちゃんがしみじみ言う。
「何から何までありがとうね、博子ちゃん。」
「いやいや。」
「全体での空気見ながらやるってなったら、その方がええやん。」
アルカちゃんも続ける。
「次の日は多分あれちゃう。別々で遊ぶんもいいけども、もしライトプランで行くんやったら、
山崎のウイスキー工場また行くっていう形にして、新大阪でお別れでもいいんじゃね?」
「それもありやな。」
博子もそこはかなり納得する。前回の税理士先生の座組の山崎ウイスキー工場の流れは
成功体験として強いし、ライトプランにするなら、あそこを再利用するのはかなり合理的や。
「そうやろ。流す仕様も必要やしな。」
「別にそれでもいいし。」
「まあとりあえず、今のところ私もあんまり思いついてないから、とりあえずそれで流して、
ライトプランにするっていうのも一つかなと思ってんねん。」
そこまで話してから、博子は少し声を落とす。
「今回おじいちゃんとのコンカフェ盛り上がったから、どっかのタイミングで、座組にコンカフェ
入れてみてもいいかなと思ってんねんけど。」
「うん。」
「まだちょっと、コンカフェ通いが足らんわ。コンカフェ短時間貸し切りの話をするには。」
「確かに。」
二人ともそこはすぐ納得する。楽しかったからといって、すぐ次の深い話に飛び込むのは違う。
もう少し回数を重ねて、空気を育ててからの方がいい。博子のその判断は、二人から見ても
妥当に映るみたいやった。
「いやいや、もうおんぶに抱っこで申し訳ないけども。」
アルカちゃんが少しだけしおらしく言う。
「私らもなんか考えるし。」
「そうそう。」
さきちゃんも頷く。
「全部博子ちゃん任せはさすがにあれやし。」
「いや、でもこうやって喋ってたら案は太くなるからええねん。」
博子は笑いながらそう返す。実際、一人で考えてる時よりも、こうやって二人と喋ってる時の方が、
案の輪郭が出る。現実的なとこも見えるし、夢も少し足せる。だから、この閉店前の
作戦会議みたいな時間は、博子にとってだいぶ大きかった。
そんなふうに、ひとしきり話してから、また三人はそれぞれフリーの卓を回るという形で散る。
コンカフェの鍋おじいちゃんに驚き、ビアガーデンと小料理屋を天秤にかけ、ライトプランまで
考えながら、でも最後はいつものようにまた現場へ戻る。そういう水曜日やった。




