おじいちゃんと博子のにセット目。朝のアフターのお品書きの確認。コンカフェ同伴面白かったしええ勉強になった。
おじいちゃんとの二セット目。
一セット目でコンカフェの驚きや、朝ごはんの話や、最近の座組の話でだいぶ
盛り上がったあとやから、空気はかなり柔らかい。
おじいちゃんも、もう完全に“今日は面白い話を聞きに来た”というモードに入っている。
酒もほどよく回って、でもベロベロになる感じではない。
ちょうど、次の予定を話すにはいい温度やった。
おじいちゃんが、グラスを軽く置きながら言う。
「なんか行きたいところとかあるんかって聞かれたら、どうなんや。」
「私が提案できるのはね。」
博子は、ちょっと整理するみたいに指を折る。
「さっきの鮭のでっかい店を。」
「うん。」
「モーニングなんやけども、11時ぐらいやったら多分予約できるから。」
「ほう。」
「朝は奥さんとご飯食べて、昼それ食べて、お茶するっていうのが一つ。」
おじいちゃんが、すぐに食いつく。
「それはええな。」
「でしょ。」
「朝メシは家庭、昼は外遊びっていう切り分けや。」
「そうそう。変に家のルーティン壊さんで済むし。」
博子は、その反応を見て、次の球も投げる。
「あと、ブリアンっていうところ。」
「北山のやつか。」
「そう。それも11時ぐらいまでモーニングやってるから。」
「うん。」
「モーニング食べて、植物園で紅葉見るっていうのと。」
おじいちゃんは、そこもかなりイメージが湧いたような顔をする。
「それもええな。」
「で、ビアガーデン。」
「はいはい。」
「あと、南禅寺・永観堂あたりで紅葉見て、湯豆腐食べるっていうぐらいかな。」
おじいちゃんは、そこで少し笑う。
「なんや、だいぶ揃ってきたな。」
「揃ってきたやろ。」
「他は?」
「あとはコンカフェはもう行ったし。」
「うん。」
「で、あと麻雀。」
「麻雀はわし、ちょっと微妙やな。」
「でしょ。」
「なら、麻雀とコンカフェ以外は全部行けるな。」
その言い方に、ヒロコは思わず笑う。
コンカフェは、今日でもう一回達成してる。
麻雀は今後の税理士先生の座組の話。
そうすると、おじいちゃんのラインとしては、鮭、ブリアン、ビアガーデン、
紅葉湯豆腐。その辺が全部候補に入る。
「ま、今の話の候補を挟むとさ。」
おじいちゃんが、少し感心したように言う。
「毎月挟むと、8、9、10……言うたら年末ぐらいまで持つな。」
「そうなんよ。」
博子も頷く。
「それ、他に座組組んだ人とかも同じこと言ってるよ。“年内持つな”みたいな。
“半年持つな”みたいな感じで言ってて。」
「やろな。」
「私も、そっから先は結構かぶり出てくるかもしれへんけどって。」
おじいちゃんは、そこをすぐに受け止める。
「いやでも、そうやって考えてくれるのが嬉しいんよ、みんな。」
その言い方が、かなり素直やった。おじいちゃんにしてみれば、提案の内容そのものももちろん嬉しい。
でも、それ以上に、“自分のために何か組み立ててくれてる”という
感覚が大きいんやろうなと博子は思う。
おじいちゃんが少しやわらかく言う。
「無理はせずに、ちょっとずつ入れてこう。」
博子も、そこはすぐに頷く。
「無理はせずにやけども、やね。」
「うん。」
「でも、来週もし予約取れるなら、その鮭は一回行ってみたいな。」
そこだけは、おじいちゃんの我がちょっと出る。
博子は、わざと笑いながら突っ込む。
「他の人に気遣うのに、おじいちゃん自分のとこだけは通すね。」
おじいちゃんもすぐに返す。
「そらまあ、ジジイやからな。」
「何その理論。」
「時間がない、時間が。」
その言い方があまりにも年寄りじみてて、でもちょっとかわいくて、博子はつい笑ってしまう。
「出たわ、時間がない。」
「歩けるうちに行っとかなあかんやろ。」
「まあ、それはそうやけど。」
「そういうことや。」
二人で笑う。
でも、おじいちゃんの言ってることも半分本気や。
先延ばしにせんと、行ける時に行く。
特に“行きたい”と思ったものは、次に回さんと一回入れてみる。
その直感の強さみたいなんは、博子としても嫌いやない。
「じゃあ、鮭、ちょっと見とくわ。」
「頼むわ。」
「でも、取れんかったらごめんやで。」
「その時はその時や。」
そんな話をしながら、二セット目はかなりゆるりと進んでいく。
コンカフェみたいなパンチのある話のあとやから、次の予定を少し現実的に詰める
この感じが、逆にちょうどいい。
おじいちゃんも、今日はだいぶ満足してる顔やった。
だから、変に長居せんと、二セット目で綺麗に帰る流れにするのがちょうどええなと、博子も思う。
帰りしな。
おじいちゃんは、席を立つ前にもう一回しみじみ言う。
「今日のコンカフェ、めちゃめちゃ面白かったぞ。」
「でしょ。」
「あれは。色々、気づきと考察がまだまだできるな。」
博子は、その言葉に頷く。
「確かにそうやね。」
「ただの遊びで終わってへんのがええ。」
「うん。」
「やっぱりお前、そういうのうまいわ。」
博子は、ちょっと照れながらも、あえて軽く返す。
「また来週待ってるわ。」
「おう。」
「鮭、取れたら連絡するし。」
「頼むわ。」
そんな感じで、おじいちゃんはご機嫌に帰っていく。
綺麗な帰り方やった。
コンカフェの衝撃も、次の鮭の予約も、気づきと考察も、ちゃんと次に繋がってる。
博子としても、今日の同伴はかなりええ出来やったなと思う。
派手さだけやなくて、“また次が楽しみ”で終われる。
それが、いま一番強い形なんやろうなと思いながら、博子はおじいちゃんを見送るのだった。




