おじいちゃんと博子のコンカフェ。帰り間際にリーダーにチェキを三人で撮ってもらう。店内へのタクシーにてコンカフェ考察
二時間ほど経って、そろそろ店に戻らなあかんなというところで、博子は最後に、
せっかくやし記念を作っとこうというふうに思いつく。
で、リーダーに声をかけて、写真を撮るということにした。
「どうせやったら、おじいちゃん、私と三人で撮って、リーダー真ん中にいてもらって、
二枚撮ってもらってさ。記念にしとこうよ。」
そう言うと、おじいちゃんは一瞬だけ苦笑いする。
「わし、家に持って帰ったら奥さんに怒られるかもしれんぞ。」
ヒロコは、すぐに返す。
「ほんなら私も怒られるかもwww。」
「お前は怒られる相手おらんやろ。」
「そこを深掘りせんといてください。」
そんなことを言いながら、結局二枚撮ってもらうことにした。
一枚は普通に。でもどうせなら、もうちょっと遊んでもええやろという空気になる。
博子が、わざと茶化すように言う。
「おじいちゃん、リーダーとハートマーク作ったらどう?」
リーダーも、そこでノリよく乗っかってくれる。
「撮ろう撮ろう。」
「え、やるんか。」
「やりましょうよ。」
おじいちゃんは、ちょっと恥ずかしそうにしながらも、結局押し切られて、
リーダーと一緒にぎこちないハートマークを作る。
その顔がまた何とも言えず面白くて、博子は横で笑いをこらえきれない。
でも、写真自体はちゃんといい感じに撮れた。
おじいちゃんもちょっと照れながら、「まあ、記念やな」と言っていたし、
リーダーも楽しそうやった。そういうところまで含めて、今日のコンカフェ同伴は
かなり出来が良かったなと、博子は思う。
で、店を後にして、タクシーで店の方に向かう道すがら。
おじいちゃんは、博子にお手当てとして五万円くれるというところなんやけども、
博子的には、正直そこまでのつもりはなかった。
「いや、別にそんなんいらんで。」
博子は、封筒を見ながらそう言う。
「同伴の一環やから。」
するとおじいちゃんは、即座に首を振る。
「これ気づきの分や。」
「気づき。」
「そうや。」
おじいちゃんは、今日のことを思い返しながら、ちょっと楽しそうに言う。
「まさかコンカフェがあんな楽しいところやとは思ってなかったし、しかも安かった。」
「うん。」
「その上、鍋焼きうどんやってるじいちゃん見れたんが良かった。」
ヒロコは、そこで思わず吹き出す。
「そこ、そんな刺さったんですか。」
「刺さるやろ。」
「いやまあ、刺さるけど。」
「あれはもう、人生満喫しきってるよな。」
「私も、あんなぶっ飛んだ遊び方してる人、初めて見たわ。」
おじいちゃんは、しみじみと言う。
「あれ見るだけでも超値打ちやで。」
「そこまで。」
「そこまでや。」
タクシーの中で、二人とも思い出し笑いみたいになってしまう。
コンカフェでオムライスとたこ焼きを食べて、隣で同年代の常連がガスコンロで
鍋焼きうどんを作ってる。あの景色は、確かにちょっとした衝撃やった。
おじいちゃんにとっても、博子にとっても、あれはかなり大きな“発見”やったんやろう。
「いや、もうこれからあれやな。」
おじいちゃんが、ちょっと本気で言う。
「キャバはほんま二極化進む中で、コンカフェ、ガルバがどうのこうのって話をしたけど。」
「うん。」
「実際、あの鍋を見たら、コンカフェすごいなと思うわ。」
博子は、それにはちゃんと頷く。
「そうなんよ。」
「だから、さっきも言うたけど。」
博子は、そこで少し冷静な補足も入れる。
「梅田の端っこで、たぶんそんなめっちゃ混んでるわけじゃないから、
あんなのが許されるわけであって。」
「うん。」
「普通はコンカフェであんなことしちゃダメやと。絶対に。」
「まあ、それはそうやな。」
「で、私もコンカフェ界隈、ちょっと色々調べてるけども。」
「うん。」
「やっぱぼったくりの店とかあったりとか、全体の流れを見たら、
あの店が安くて異質なだけで。私が見つけた中でね。」
おじいちゃんは、その説明を聞いて納得するように頷く。
「なるほどな。」
「だから、ご飯も美味しいところの店を、ちゃんとこっちは知ってたら
安く楽しめるっていうだけの話で。」
「うん。」
「あれが全てではないから。」
「そうやろな。」
「でも。」
博子は、少しだけ声に熱を入れる。
「もう私はあそこの店、気に入ってるから。」
「うん。」
「端っこで雑居ビルやけども、あの店をみんなにアテンドすることを決めてんねん。」
おじいちゃんが笑う。
「お前、また勝手に店の営業部長になってるやん。」
「そういうことや。」
博子は、そのまま続ける。
「いずれはちょっと時間貸ししてもらうみたいな感じで出来ればなーとか考えてる。」
「うん?」
「東京の座組とか行ってるやん。大阪の方も結局、たくさんの人回すようになってきてるから。」
「そうやな。」
「ちょっと早い時間帯、空いてる時間帯とかに、貸し切りみたいな感じで遊ぼうかなと思ってて。」
その言葉に、おじいちゃんは、ちょっと呆れたように、でも感心もしたように笑う。
「遊びの幅も広がってるけども、そういうのを組み込みながら座組回してる博子も怖いわ。」
「怖いってなんですか。」
「いや、普通そこまで見んやろ。」
「見るよ。」
「見すぎや。」
「だって、見といた方が後々楽やもん。」
「その発想が怖いわ。」
そんなやり取りをしながら、タクシーは店へと近づいていく。
おじいちゃんにとっては、今日は“コンカフェ初体験”やったけど、それがただの冷やかしで
終わらず、ちゃんと気付きになってる。
博子にとっても、“やっぱりここは使える”という確信をさらに深める時間やった。
鍋焼きうどんのおじいちゃんまで含めて、今日の二時間はかなり濃かった。
店にたどり着く頃には、二人ともすっかり“面白い体験をしてきた人間”の顔になっていた。




