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オムライスとたこ焼きを楽しむおじいちゃんと博子の隣で鍋焼きうどんを炊き始める同年代のおじいちゃん。カオスすぎて笑えてくるwww

おじいちゃんは、まずたこ焼きをひとつつまんで、ふうふうしながら口に入れると、

ちょっと目を見開く。オムライスもちゃんと美味い。

でも、それとはまた別で、このたこ焼きが思ったよりだいぶ強い。

外で焼いて持ってきてもらったやつやのに、ちゃんと熱があって、出汁の感じも残ってるし、

味付けがまた妙にええ。

「これ、美味いな。」

おじいちゃんが素直にそう言う。

博子も、そこは得意げに頷く。

「でしょ。」

「オムライスも美味いけど、このたこ焼きも美味いわ。」

「そうなんよ。」

「塩とポン酢か。」

「そう。」

「なかなかありやな。」

「ええやろ。」

博子は、そこでまた余計な一言を足す。

「これね、塩チーズにもできるわけよ。」

おじいちゃんは、そこで少しだけ身を乗り出す。

「え、それめちゃめちゃ美味そうやでな。」

「私はチーズ嫌いやから、チーズ抜いてもらってんねん。」

その一言で、おじいちゃんがすぐに突っ込む。

「お前、チーズ嫌いとか人生半分損してるぞ。」

博子は、たこ焼きをひとつつまみながら涼しい顔で返す。

「いや、残りの半分大事にするから私大丈夫です。」

「なんやその理論。」

「ちゃんと成立してるやろ。」

「してへんわ。」

そんなことを言いながら、二人でだらだらしゃべっている。

コンカフェの中で、ピカチュウのオムライスと、外から取ったたこ焼きをつまみながら、

チーズで人生の損得を語ってる。

もうこの時点でだいぶ訳がわからんのやけど、博子としては、その訳のわからなさ込みでおもろい。

おじいちゃんも、最初の緊張感はだいぶ取れていて、むしろこの雑多な感じを

少し楽しみ始めているように見えた。

で、ふっと横を見た時やった。

博子が、一瞬何を見てるのかわからん、みたいな顔になる。

おじいちゃんも、その視線につられて横を見る。

すると、同年代ぐらいのおじいちゃんが一人で、ガスコンロを焚いて、

鍋焼きうどんを作ってるところを見つけてしまうのである。

「……。」

「……。」

博子とおじいちゃんは、そろってちょっと固まる。

いや、見間違いかと思う。

でも見間違いではない。

ほんまに小さいガスコンロを前に置いて、鍋をぐつぐつやってる。

しかも本人は、めちゃくちゃ自然体である。

普通に店の中の一部としてその景色が成立してる。

「どういうことですか。」

博子は、思わずリーダーに聞く。

するとリーダーは、え、それが何か?ぐらいの温度で普通に返してくる。

「あのおじいちゃん、超常連で。」

「はい。」

「最近はね、鍋をすることにめちゃ凝ってるんですよ。」

その説明が、あまりに普通すぎて、逆に博子は戸惑う。

おじいちゃんも、たこ焼きを持ったまま固まってる。

「普通に話してますけども。」

博子は、思わず苦笑いしながら言う。

「あれ、なかなかパンチある動き方してますよね。」

リーダーも少し笑う。

「他の店やったら普通に怒られると思うんですけど。」

「ですよね。」

「うち自由やから。やってもらうのは全然大丈夫なんですけど。」

「はい。」

「そら常連さんじゃないと、さすがに無理ですよ。」

その言い方に、おじいちゃんがようやく我に返る。

「いや、衝撃やな。」

「でしょ。」

「コンカフェで鍋焼きうどん作るおっさんおるんか。」

「いるみたいやな。」

「なんでもありやんけ。」

博子は、そこで半分呆れたように、でもちょっと感心したように言う。

「やっぱりキャバの最大のライバルは、コンカフェやな。」

おじいちゃんが笑う。

「なんでもありのスナックみたいになってるやん。」

「ほんまそれ。」

「いや、でも。」

おじいちゃんは、鍋の方をちらちら見ながら続ける。

「ここまでいくと逆に強いな。」

「強いよな。」

「好きにしてええ空気を、あそこまで作れてるってことやろ。」

「そうなんよ。」

博子は、そこにかなり本気で頷く。

可愛い女の子がいて、チェキが撮れて、オムライスに絵を描いてもらえて、たこ焼きも食べられる。

それだけでも十分強いのに、常連になったら店の中で鍋までできる。

もうほとんど“概念としてのスナック”である。

いや、スナックよりも自由かもしれへん。

その柔らかさと懐の深さは、正直、キャバクラ側から見たらかなり脅威やった。

「これはあれやな。」

博子が、オムライスをひと口食べながら言う。

「最大のライバルやわ。」

「そこまでか。」

「いや、ほんまに。」

「そんなに。」

「だって、なんでもありやん。」

おじいちゃんも、たこ焼きをもうひとつつまみながら頷く。

「確かに。」

「キャバって、結局きれいに整えられた遊びやけど。」

「うん。」

「こっちは、雑多やけど自由やねんな。」

「そうやな。」

「その代わり、雑なわけじゃないっていうのがまた怖い。」

おじいちゃんは、そこで少し笑う。

「お前、ほんまにライバル分析しとるな。」

「してるよ。」

「こんだけ丁寧で自由やったら、そら若い子も流れるわ。」

「そりゃそうやろな。」

そんなことを言いながらも、二人は結局、目の前のオムライスとたこ焼きを

むしゃむしゃ食べるしかない。

横では鍋焼きうどんのおじいちゃんが、何食わぬ顔で鍋をつついている。

前ではリーダーが普通に接客している。

他の女の子たちも、別に大騒ぎするわけでもなく、その景色を日常として受け入れている。

その“なんでもない顔をしてる異様さ”が、余計にパンチがあった。

博子もおじいちゃんも、驚きを完全には隠せない。

でも、その驚きが嫌なものではない。

むしろ、ちょっと羨ましいぐらいの自由さやった。

コンカフェというより、もうひとつの小さい町みたいな感じすらある。

そう思いながら、博子は目の前のたこ焼きをまたひとつ食べる。

塩とポン酢のあっさりした味が、妙に今の状況に合っていて、

おじいちゃんもオムライスを食べながら何度も横の鍋を見てしまう。

そんな、驚きと可笑しさがずっと続く夜やった。

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