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弁護士先生お見送り後フリーの卓に戻りアルカちゃんさきちゃんと雑談。無理したらあかんよと心配される

弁護士先生をお見送りして、博子がフリーのお宅に戻ると、アルカちゃんとさきちゃんがいて、

またちょっと固まって話すというところやった。

店内はもう終盤の空気やけど、こういう、送り出した後のちょっとした雑談が一番本音っぽくなる。

アルカちゃんが、博子の顔を見るなり半分呆れたように言う。

「相変わらず弁護士先生、毎週よう持つな。」

さきちゃんもすぐに乗る。

「ほんまやで。なんかもう準レギュラー通り越してるやん。」

博子は、そこでちょっと笑う。

「まあ、明日朝イチで朝ご飯一緒に食べに行くからさ。」

「は?」

「それもでかいんちゃうかなって。」

その一言で、アルカちゃんとさきちゃんがそろって呆れる。

ほんまに呆れる、という感じである。

「どこまで丁寧に接客するの。」

「ちゃんねん。」

ヒロコが、ちょっと言い訳するように言う。

「金曜日の座組、昨日さ、めちゃくちゃ案出したのよ。税理士先生に。」

「うん。」

「コンカフェ貸し切るであるとか、有馬温泉、紅葉。で、いろいろ出して。」

「うんうん。」

「そしたら、僕にはないんですか?みたいな感じだったからさ。」

さきちゃんがそこで笑う。

「羨ましがってたんや。」

「そう。」

「で、私的にはなんか、ね。座組の方に力入れてたから、ちょっと、おまけみたいな形で出したんよ。」

アルカちゃんが、すぐに首を振る。

「そこまで考えへんけどな、普通。」

「いや、でも。」

さきちゃんが、少し冷静に言う。

「博子ちゃんはバランス型やからな。」

「そうなんよ。」

「東京だけっていうわけでもないし。」

「うん。」

「だからといって、大阪の中でもその集団と個人でまた違うからな。」

博子は、その言い方に頷く。

まさにそこやった。

東京の座組。

税理士先生の地場の座組。

弁護士先生、おじいちゃん、会計士先生みたいな個人の流れ。

全部同じようには扱えへん。

それぞれ温度も意味合いも違う。だから、その都度バランスを取っていかなあかん。

自分でもちょっとやりすぎかなと思う時はあるけど、結局そうせんと気が済まへんのや。

「っていうか。」

アルカちゃんが、少し真顔に戻る。

「今週土曜、東京の人たち来るで。」

「そうやねん。」

「そういうところもあるから、なんやかんやあんまりフルで休んでるってことないな。」

「そうやねん。」

「ほんまに、ちゃんと休んどかないやばいで。」

そこは二人とも、ちょっと本気で言ってくる。

博子も、それはわかってる。

わかってるからこそ、言われるとちょっと苦笑いになる。

「大丈夫。」

「ほんまか。」

「明日、弁護士先生と朝ご飯食べて。」

「うん。」

「で、コーヒー飲んで。」

「うん。」

「昼からは、ちゃんとぐっすり寝るから。」

さきちゃんが、それを聞いて「ほんまやな?」という顔をする

「で、今日もワンセット早めに帰るし。」

「そうしそうし。」

アルカちゃんが、そこでしっかり言う。

「あんまり無茶苦茶したら、ほんまに体持たんし。」

「まあ、それはそう。」

「だって、博子ちゃん、自分で思ってるより動いてるで。」

博子は、少しだけ反論する。

「でも、OLとかで言うたら、お昼バリバリ働くこと思えば、今日、一時間早めに帰るって

決めたから、実働は四時間やん。」

それを聞いて、アルカちゃんがすぐに突っ込む。

「いやいやいや。」

「何。」

「でも、ちゃんと同伴までの流れとか、店探しとか、移動とか、そういうの全部入ってるやん。」

「それはそうか。」

「そうやで。」

さきちゃんも頷く。

「短いように見えて、結構いろいろ動いてんねん、博子ちゃん。」

「うん。」

「私らも、そんなフル出勤はしてないのに、みたいな感覚あるけど。」

「そう。」

アルカちゃんが、自分のことに寄せる。

「私もだから、四日出勤にしてるけれども、結局実質アフターで持ってかれるからさ。」

「それな。」

「店の中だけで終わらへんのよね。」

「そうなんよ。」

三人とも、そこでしみじみしてしまう。

フル出勤ではない。

でも、フルで動いてないかというと、そうでもない。

同伴、アフター、店探し、連絡、予定の調整、反省会。

そういう“表に見えへん部分”が、じわじわ時間も体力も持っていく。

だから、単純な出勤日数では測れへん疲れ方をする。

「なかなか難しいところやね。」

博子がぽつりと言うと、二人も頷く。

「でもまあ、明日無理せずにね。」

「朝ご飯、行くのはいいけど、その後ほんまに寝なよ。」

「ちゃんとコーヒーで切り上げるんやで。」

「わかってるって。」

「ほんまに?」

「ほんまに。」

そうやって念を押されながら、博子はちょっと笑う。

こうやって言ってくれる人がいるのは、ありがたい。

自分一人やと、たぶんそのまま次のネタ考えたり、次の返信したり、気づいたら寝てへん、

みたいなことになりがちやからや。

「じゃあ、また戻るか。」

博子がそう言うと、アルカちゃんもサキちゃんも「やな」と頷く。

まだ閉店までは少しある。それぞれ、またフリーの卓に戻らなあかん。

でも、こうやって少し立ち止まって、今週のことと明日のことと、

自分の体のことを話せたのはよかった。

明日の朝ご飯。来週の東京組。金曜の座組の余韻。

休みたいけど、休みきれへん感じ。

そういうものを、三人で少しずつ言葉にしながら、またそれぞれの持ち場へ散っていく。

そんな月曜日の終盤やった。

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