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弁護士先生まさかの三セット目。博子との会話が尽きない。普通は通えば会話のネタが無くなるはずが増えていくwww

こんだけ盛り上がったから、もうワンセットぐらいいいよな、というふうに言って、

弁護士先生は珍しく三セットいる流れになる。

いつもなら二セットで綺麗に帰ることが多い。

それが今日は、明日の朝ごはんの話で予定決まってしまったし、なんとなく空気も良い。

だから、もうちょっとだけいいか、という感じで残る。

博子としても、こういう“もう一セットいたくなる日”っていうのはやっぱり悪くないなと思う。

三セット目に入って、少し空気が緩んだところで、弁護士先生がふと面白そうに言う。

「でも、毎週毎週会ってて、指名で来てるとなると。」

「はい。」

「もうどんどん喋ることって減ってくるはずなんですよね。」

博子は、その言い方に頷く。

「普通はね。」

「そう。」

先生は、そのまま少し笑う。

「どうでもいい話をするとか、あるいは僕は僕で、仕事の話ぐらいしか今ないから。」

「うん。」

「仕事の話と、博子さんと遊ぶぐらいしかないから、たぶんネタって減ってくはずなんですけども。」

博子は、その流れの先がなんとなく見えてきて、ちょっと笑う。

「はいはい。」

「博子さんと喋ってたら、ネタがどんどん増えてくのが面白いですわ。」

その言い方が、妙にまっすぐで、博子としては少し照れる。

でも、かなりありがたい話でもある。

「それはありがたいことです。」

「いや、ほんまに。」

ヒロコは、少し考えながら言う。

「座組を組んでいろいろ企画するから、その話をしていく中で、アンテナがウルトラ増えて、

喋ることが増えてくんですかね。」

弁護士先生も、そこは納得したように頷く。

「たぶんそうなんでしょうね。」

博子は、そこから自分でも整理するように続ける。

「だって、先生と私が、先生一人しか指名がなくて。」

「うん。」

「ずっと“お仕事どうですか”だけやってたら、確かにこんなに話は広がらないかもしれないですね。」

「それはそうやと思います。」

「その辺はバランスちゃいますか。まあ、潰れないようにはしますけども。」

弁護士先生は、そこで笑う。

「そうですね。確かに座組をやることによって、いろんな企画せなあかんっていうのは

あるんでしょうね。」

「そうなんですよ。」

「同じように卓で飲むだけじゃダメや、みたいな感じになってるから。」

博子は、そこにはかなり実感がある。

別に“卓で飲むだけ”が悪いわけではない。でも、それだけを繰り返してると、

やっぱり何かが止まる。それが自分の中でも怖いのだ。

「だから、そういう意味でゴルフコンペって楽なんじゃないですか。」

博子がそう言うと、弁護士先生が少し笑う。

「どういう意味です?」

「いや、毎度毎度、ゴルフをするっていうのが前提じゃないですか。」

「たしかに。」

「けど、私の座組の場合は、キャバクラに来るはそうなんですけども。」

「うん。」

「それ飽きられたら、キャバクラ来られなくなるんで。」

「なるほど。」

「なんとかこう、来てもらうための動線をめっちゃ整えるんですよ。」

弁護士先生は、その言い方にかなり納得したような顔になる。

博子は、そのまま少し熱が入る。

「で、女の子たちともそこら辺は共有してて。」

「はい。」

「一回一回反省会もするし、店もかぶらないようにするし。」

「そこがすごいですよね。」

「さすがに今回は。」

ヒロコは、ちょっと苦笑いする。

「税理士先生の座組について、もう半年ぐらい回したら、時々かぶりがあってもいいですよねって

いう、お伺いは立てました。さすがに。」

弁護士先生が吹き出す。

「そらそうや。」

「もうそんなネタないですよ、と。」

「たしかに。」

「でもなんかそう言われると、なんとなく理解ができます。」

先生は、少ししみじみした感じで言う。

「だから、その辺が指名で長続きするん違います?」

博子は、その言い方に少し考える顔をする。

「あー、私、だって指名の人ほぼ変わってないですからね。」

「そうでしょう。」

「だから、毎度毎度違う話しながらやってるからですかね。」

「うん。」

「飽きないっていうところでは、そうなのかもしれないですね。」それは、言われてみたらたしかにそうやった。

おじいちゃんもそう。弁護士先生もそう。会計士先生もそう。

税理士先生もそう。東京の社長たちもそう。

“同じ人が来なくなる”というより、“同じ人が別の話を持ってきて、

また別の流れになる”方に寄っている。

それは偶然ではなくて、たぶん博子が意識的に、あるいは半ば無意識に、

そういう流れを作ってきたからや。

「他のキャバクラの女の子とかも、指名が長くなることと会話のネタが減ることは

結構悩んでるところだと思うんですよね。」

博子がそう言うと、弁護士先生も頷く。

「でしょうね。」

「相手がガチ恋であれば、大丈夫なのかもしんないですけども。」

「いや。」

弁護士先生が、そこで少し笑いながら口を挟む。

「僕もなかなかのガチ恋のはずなんですけどね。」

博子は、その返しに思わず笑う。

「なかなかの、って何ですか。」

「かなりの方やと思いますけど。」

「自分で申告するんですね。」

「申告しとかんと、伝わらんかなと思って。」

「いや、伝わってますよ。」

「ほんまですか。」

「でも、ガチ恋だけで持ってるわけではないでしょ、って話なんですよ。」

「それはそうですね。」

弁護士先生も、そこは素直に笑う。

二人の間に、ちょうどいい冗談みたいな空気が流れる。

本気でもあり、軽口でもある。

その曖昧さが、またこの人との会話のやりやすさでもある。

「いやでも。」

弁護士先生が、最後に少し真面目な顔で言う。

「ほんまに、毎回違う角度で話が増えてくの、すごいと思いますよ。」

「ありがとうございます。」

「普通、減ってく方向やと思うんで。」

博子は、その言葉を聞きながら、少しだけグラスを回す。

たしかに、普通はそうや。

毎週会う。同じ店。同じ関係。そしたら、話は減っていく。

でも、自分は逆に、そこから増やす方に寄せてる。

それがしんどくもあるけど、面白くもある。

弁護士先生がそこをちゃんと拾ってくれるのは、やっぱりありがたいなと思う。

そんなふうに、三セット目もゆるく、でもかなり濃く進んでいく。

朝ごはんの約束から、座組の話、指名が長続きする理由、ガチ恋申告まで。

まったく話が尽きない。

むしろ、話せば話すほど、また次の話が増えていく。

それがおもしろいし、ちょっと不思議でもある夜だった。

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