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弁護士先先生とのニセット目。具体的な話が出てきたから明日行きますかと誘ってみる博子www

店の中で二セット目をしゃべっていると、朝ごはんの話がまだまだ続く。

博子も、こういう話をしだすと止まらへん。

弁護士先生もまた、それを嫌がるどころか、むしろ面白がって聞いてくれるから、

余計に話が広がっていく。

「まあ、シャケの美味しい店もあるんですよ。」

博子がそう言うと、弁護士先生がすぐ反応する。

「シャケ。」

「そう。九州の店なんですけども、京都に出してきてて。」

「へえ。」

「そこもね、チケット制で、二千五百円。めっちゃ並ぶんですけどもね。」

「そんな人気なんですか。」

「人気です。でもまあ、平日ぐらいやったら行けるかな、みたいな。」

弁護士先生は、それを聞きながらかなり乗り気な顔をする。

博子は、その顔を見ながらも、まだ現実的な話をちゃんと混ぜる。

「でも、先生と朝ごはん行くとなると、大阪の場合は、半日休みで行けるじゃないですか。」

「うん。」

「朝だけで言うたら、その後コーヒー飲んでも昼から働けるじゃないですか。」

「たしかに。」

「だから、できれば大阪探したいんですけども、今のところ京都かな、と。」

「なるほど。」

「京都やったら、まあ半日どころか、一日休んでもらおうな、とかになってくるから、

そこが悩ましいですね。」

弁護士先生は、そこを聞いて少し笑う。

「いやでも、博子さんと遊べるならね。」

「はい。」

「僕の趣味これぐらいしかないんで、全然休むんですけども。」

「またそんなこと言って。」

「でも、どっちかと言われたら、もし明日行くなら大阪がいいですね。」

その一言で、博子の頭の中で急に話が具体化する。

明日。大阪。朝ごはん。

さっきまで“いつか行きましょうか”やった話が、急に“じゃあ明日行きます?”の距離まで来る。

博子も、自分でちょっと笑いながら言ってしまう。

「じゃあ、明日の朝行きます?」

弁護士先生が、すぐに食いつく。

「え、めっちゃいいじゃないですか。」

「朝七時からやってますけど。」

「七時。」

「はい。」

「今日、じゃああれですか。早めに終わるんですか?」

ヒロコは、そこは少し現実に戻って言う。

「さすがに最後の一時間はちょっと早めに帰らせてもらいたいなと思ってるんですよ。行くならね。」

「なるほど。」

「七時から十二時ぐらいまでは朝やってるっぽいんですけども。」

「うん。」

「七時に行くのは、ちょっと私無理です。」

弁護士先生が笑う。

「なんでですか。」

「いや、すっぴんで行くにしても。」

ヒロコは、少し肩をすくめる。

「ちょっとやっぱり、多少先生の前ではカッコつけなあかんなと思ってるんで。」

弁護士先生は、それを聞いてほんまに気楽そうに返す。

「いやいや、全然ジャージでいいんですけど。」

「いや、それは男の人側が言うだけの話で。」

博子はすぐに切り返す。

「あの、女の子はね、“すっぴん”って言っても多少化粧してるんですよ。」

「そうなんですか。」

「そうなんです。」

「世の男たちに聞かせたい話ですね。」

二人で笑う。

でも、博子の中ではこの辺はわりと本気や。

朝とはいえ、会うなら最低限整えたい。

完全に気を抜いて行くのは、それはそれで違う。

この辺の感覚のずれも、なんかおもしろいなと思いながら、博子は続ける。

「だから、一セット早めに帰らせてもらうて。」

「うん。」

「で、まあ八時から九時ぐらい。」

「九時集合ぐらいですか。」

「そう。九時集合にしましょうか。」

弁護士先生は、その案にかなり満足そうやった。

「めちゃくちゃちょうどいいです。」

「新福島にあるんですよ。」

「新福島。」

「そこなら、お弁当箱みたいな感じで、小鉢が六個ぐらいあって。」

「おお。」

「お魚ついて、ご飯ついてで2500円っていうのがあるんで。」

「めっちゃええやん。」

「そこ行きましょうか。とりあえず初企画です。」

弁護士先生は、もうだいぶ行く気になっている。

博子も、その反応を見て、あ、これはほんまに明日決まりやなと思う。

「で、その後、余裕があればコーヒーで。」

「うん。」

「余裕なかったら、もうそのままお仕事行ってもらおうという形になるんですけども。」

すると弁護士先生は、そこで少し強めに言う。

「いや、余裕とってコーヒーも飲みますから。」

博子は、その言い方にちょっと笑う。

「そこ、そんな強く言います?」

「言いますよ。」

「じゃあ、ちゃんと時間取っといてくださいね。」

「取ります。」

「ほんまに。」

「ほんまに。」

なんか、夜に同伴してるのに、もう次の日の朝ごはんとコーヒーの段取りまで決まっていく。

この感じが、ヒロコとしては少し不思議で、でもかなりしっくりもくる。

派手さはない。

でも、こういう“明日の朝の小さな約束”って、なんか夜の延長と違う温度がある。

それが弁護士先生との関係にはかなり合ってる気がした。

「しかし、朝ごはんでこんな盛り上がるとは思いませんでした。」

弁護士先生がしみじみ言う。

「私もですよ。」

「でも、なんかええですね。夜遊ぶのと違って、ちょっと未来のある感じがする。」

「未来のある感じ。」

「うん。明日ちゃんと起きて、ちゃんと会って、ちゃんとご飯食べるっていう。」

ヒロコは、その言い方にちょっとだけ黙る。たしかにそうかもしれへんなと思う。

夜の約束は刹那的やけど、朝の約束って少しだけ生活に寄る。

その分、なんかちゃんとした感じがある。

「じゃあ、明日。」

ヒロコが、改めて言う。

「九時、新福島で。」

「了解です。」

「遅れんといてくださいよ。」

「そっくりそのまま返します。」

そんなふうに笑いながら、もうワンセット過ごす。

でも、この時点で二人の頭の中には、もう明日の朝の小鉢六個と魚とご飯、それから

コーヒーまでの流れが、うっすら出来上がっていた。

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