八月二週目土曜日。博子は昼までゴロゴロ。税理士先生からお手当の話くる。会計士先生の同伴の店決める
八月二週目土曜日。
博子は昨日の疲れを取りながら、ゆっくり過ごしていた。
金曜日は、山崎ウイスキー工場から始まって、それぞれの同伴、店での反省会、
カレンちゃんの投入まであって、かなり密度が高かった。
だから今日は、昼間までは無理に動かず、布団やソファの上でごろごろしながら、
会計士先生と何を食べようかな、ということだけをぼんやり考えている。
あれこれ悩んだ末、とりあえず刺身の美味しい店を一つチョイスして、
今日はそこにしようかな、という感じやった。
昼過ぎまで、ほとんど何もせずに身体を休める。でも頭の中だけは完全には止まらない。
昨日の流れはかなり良かったなとか、税理士先生の座組も次に繋がりそうやなとか、
カレンちゃんどうやったかなとか、そんなことをふわふわ思い返している。
そんな中、スマホに連絡が入る。税理士先生からやった。
博子は、ちょっと身体を起こしてメッセージを開く。
すると、まず昨日はめっちゃ楽しい時間ありがとう、という文章が入っている。
それだけでも十分うれしい。でも、その先がまたちゃんとしていた。
特に、やっぱり山崎ウイスキー工場が良かったと。
で、山崎十八年を買えた弁護士先生からも、あとでメールが来て、
もうめちゃくちゃ感謝されたということ。
あれ買えたことで、弁護士先生の中ではかなり大きい一日になったみたいやし、
楽しかったからまたやりたい、というふうに言ってくれたらしい。
だから今回、大成功やと。
税理士先生らしい、わかりやすい評価の仕方である。
博子はその文面を見て、思わず少し笑う。
ああ、ちゃんと向こうでも余韻が続いてるんやなとわかるからや。
さらに税理士先生は続ける。
カレンちゃんもちょっと混ざってもらったけど、なんとなく雰囲気いけそうやったら、
次も混ぜてもらうというか、社労士先生も入れて、なんか企画できたらいいなと思っている。
そこまで読みながら、博子は、やっぱり昨日入れてよかったなと思う。
完璧ではなかった。でも、いきなり崩れる感じでもなかった。
あの“少し緊張したけど、柔らかく終われた”ぐらいが、むしろ一番ええ入り方やったのかもしれん。
で、それと別枠で、麻雀。
もし座組組めるんやったら組んでくれ、とまで書いてある。
博子はそこでまた笑ってしまう。昨日の最後に出た話を、もうちゃんと拾ってきている。
税理士先生は、思いつきで言ってるようで、やっぱり楽しそうな球はすぐ次に繋げようとする。
その辺が、この人らしいなと思う。
そして最後に、お手当の件やけども、という本題が続く。
今回、すこぶる良かったから、という前置きがついていて、
さきちゃんとアルカちゃんが十。博子が十二。
これは座組分ね、とちゃんと書いてある。
さらに、カレンちゃんが二で期待を込めてという形。
その書き方が、なんか税理士先生らしくて、博子はまた少し笑う。
ちゃんと分けてる。ちゃんと座組分として見てる。
で、カレンちゃんにも少ないながら“入ってくれた分”を置いてる。
そこがまた、雑じゃない。
博子は、その文面を見ながら、ほっと息をつく。
昨日はかなり盛りだくさんやったし、工場の当たりや流れの良さもあった分、
逆にちゃんと向こうがどう感じたか少し気になっていた。
でも、こうやって“大成功や”と明言してもらえて、お手当もきっちり分けてくれて、
次の話まで入っているなら、もう十分や。自分の中でも、昨日の評価がちゃんと定まる。
博子は返信を考える。
昨日はありがとうございました。
弁護士先生にも喜んでもらえてよかったです。
山崎十八年はやっぱり大きかったですね。
カレンちゃんの件も、いけそうならまた無理のない範囲で混ぜていきましょう。
麻雀の件も承知しました、と。
そんな感じの、軽いけどちゃんと前向きな返しを頭の中で組み立てる。
その一方で、身体はまだ少しだるい。金曜日の疲れは、やっぱり残ってる。
だから博子は、スマホを置いて、また少しだけ横になる。
昨日の工場の高い天井。
弁護士先生のホクホクした顔。
カレンちゃんの固まり方と、そのあと少し笑えた感じ。
それを思い返しながら、今日は会計士先生には刺身のうまい店で、
少し静かに整える日にしようかなと思う。
土曜日の昼下がりは、そんなふうに、昨日の成功をじわじわ確認しながら過ぎていく。




