火曜日。博子の完全。午前中ダラダラしていたが午後からは直近の対応の論点整理をして終わる
火曜日。博子はオフだったので、今日は一日ゆっくりしようかなと思いながらも、
完全に何も考えないで休めるタイプではなかった。
午前中はとりあえずお風呂に入って、体を整えて、だらだらして、
少し眠気が抜けたところでまた横になって、という感じで、心身の熱を抜いていく。
土日月と、それなりに人と会って、それなりに喋って、それなりに頭を使っていたから、
まずは何より“整える”ことが先やった。
でも、整えば整うほど、逆に頭の中には次の段取りがふわっと浮かんでくる。
昼頃になると、もうこれは論点整理の日やな、というモードに自然と入っていった。
まず、水曜日はおじいちゃん。
おじいちゃんは、派手なことをしなくても満足してくれるし、むしろ話と空気と、
ちょっとした店選びの妙で喜んでくれるタイプや。
やけど、それに甘えて毎回雑にするのも違う。
ご飯どうするか。
最近の流れでいくと、京都方面、日本酒方面に寄せると刺さるのはわかっている。
でも、同じことを繰り返しすぎると、それはそれでルーティンになる。
おじいちゃんに対しては、おじいちゃん向けの“安心感のある意外性”が要る。
そこをどう作るかな、とぼんやり考える。
次に税理士先生の座組。
これは一応、ウイスキー工場に行って、西中島で受けるという形で流れは見えてる。
流れは見えてるけど、問題はトークをどうするかや。
工場見学それ自体は間が持つ。
でも、その後、三対三で散る時に、どういう話題の温度感でそれぞれを振り分けるか。
しかも、最近税理士先生は“もう一人増やしたい”みたいなことを言い出してる。
そこで商業高校出身のカレンちゃんをどういう形で誘って混ぜるか。
いきなり本番に突っ込むのは危ない。
でも、軽く顔を見せるぐらいならありかもしれない。
簿記ができる、商業系の話に入口がある、それだけでも税理士先生の座組には意味がある。
ただ、意味があるのと、実際に一日回せるのは別や。
だから、そこは追々。
でも、頭の中には置いておかなあかん。
そういう“まだ今じゃないけど、今から考えとかんと遅いこと”が、最近ちょっとずつ増えてきていた。
で、土曜日。
ここは今週は会計士先生に入ってもらうようにしている。
会計士先生は、弁護士先生と同じく、座組そのものが好きというか、博子がどう回してるか、
どういう発想で人をつないでるか、その辺を面白がってくれる。
だから話はする。
ただ、話をするだけやなくて、晩御飯どうするか。
会計士先生は派手な酒や派手な動線よりも、ちょっと落ち着いた、でもちゃんと
気の利いたところが刺さる。
その意味では、また基本に戻るのもありやし、逆にちょっとだけ意外性を混ぜるのもありや。
こういう“無理させなくていい相手ほど、逆に選択肢が多くて悩む”という感覚も、
博子の中にはあった。
さらに、その次の週の土曜日。
東京メイン社長を受ける。
ここもまた問題や。
個別で受けるか、全体で受けるか。
最近の手応えで言うたら、京都の980円の日本酒の店で一回全員を受ける形にしたら、流れは綺麗やし、女の子たちの負担も一か所で済むから、だいぶ楽や。
そのあと店に戻して、変に長引かせずに締める。
で、日曜日は酒蔵見学ツアーみたいな形にしたら、土曜の夜で全部やり切らなくていい。
そうすると、全体の負担も減る。
博子としては、そこにかなり魅力を感じていた。
でも問題は、過去どこに行ったかや。
東京の社長たちが二組あって、年齢も空気も違うのに、こっちが回しすぎてるせいで、
たまに記憶がごっちゃになる。
この人たちは伏見行ったっけ。
こっちは小籠包までやったっけ。
あの時オーパスワン開けたのはどっちやったか。
この辺を曖昧にしたまま進むと、次の提案が雑になる。
そこはちゃんと整えなあかん。
ノートに書くほどではないけど、頭の中の棚卸しは必要やなと思う。
そうやって考えているうちに、夕方になる。
火曜日は、表向きには何も起きていない。
でも、内側ではかなり色んなことが動いている。
水曜、おじいちゃん。
金曜、税理士先生の座組。
土曜、会計士先生。
次の週の東京メイン社長。
さらに、その先のカレンちゃんの混ぜ方。
ひとつひとつは小さいけど、全部つながっている。
で、その全部を、雑にせず、でも重たくしすぎずに回すにはどうしたらええかな、
ということを、博子はずっと考えていた。
で、結局最後は、やっぱり“種探し”に戻ってくる。
今ある引き出しで回していけるけど、いつまでもそれだけでは持たへん。
また何か、横っ面をぱんとはたけるような、気づきになるような、ちょっとした場所か、店か、流れか、制度ネタか。
そういうものを一個でも拾えたらええなと思って、スマホを片手にネットサーフィンしながら、
情報収集をする。
京都の新しい店。大阪の昼飲み。西中島の使える店。
酒蔵。工場見学。軽い観光。福利厚生ネタ。
社長たちがまた“それ面白いな”って言ってくれる種はないか。
そんなことをぼんやり探しながら、火曜日は静かに過ぎていく。
結局、完全に休んだとは言い切れへん。
でも、こうやって何も起きてへん日に論点整理をしておくから、週末にパニックにならずに済む。
そう思うと、この火曜日のだらだらした情報収集も、博子にとっては大事な仕事の一部やった。




