弁護士先生と博子の同伴後半戦。他の座組もうまいこと回してるwww死活問題なんですよと博子
「そのジグソーパズル理論でいくとね。」
博子が日本酒のグラスを軽く持ちながら、またひとつ話を広げる。
弁護士先生は、もうその言い回しにだいぶ慣れてきていて、「はいはい、また出ましたね」
という顔で笑う。
「実は、東京のもう一組の社長さんたちも、話し合いをさせてもらってて。」
「ほう。」
「女性陣で、下田に旅行行ったらどうですか、とか、山梨どうですか、とか、
多摩どうですか、とか言って、ボール投げてたんですよ。」
先生が少し目を細める。
「またちゃんと宿題出してるんですね。」
「そうなんです。」
博子は、そこがちょっと嬉しそうでもある。
「で、昨日連絡来たんですけど。下田に男三人でプチ日帰り旅行に行って、温泉入って、
アルカちゃんが提案した下田で、日帰りで満喫したよっていう話を連絡してきて。」
「ええ話ですね。」
「で、また大阪で遊びたいんだ、っていう連絡が来たんです。」
「なるほど。」
「今週末はね、ちょっと税理士先生の座組入れる予定なんで、来週、土日で受けようかなと
思ってるんです。」
そこまで聞いた弁護士先生は、思わず笑ってしまう。
「どんだけスケジューリングはめてるんですか。」
博子も吹き出す。
「そうなんですよ。」
「しかも、はめ方がまた全然かぶらないのがすごいですね。」
「いやいやいやいや。」
博子は、少しだけ肩をすくめながら言う。
「でもね、ここら辺は結構死活問題なんですよ。」
「死活問題。」
「結構カロリー消費するんで。東京の人たちは、なんか熱量が多いんで。」
先生は、その言い方にかなり納得している様子やった。
たしかに、話を聞いているだけでも、東京組は常に“次、次”で押してくる感じがある。
大阪の固定メンバーとは違う圧がある。
それを受けるなら、スケジュールの組み方からちゃんと考えんとあかん。
博子が“調整”をやたら重視する理由も、その辺にあるんやろうなと弁護士先生は思う。
「で。」
博子は、日本酒を少し飲んでからまた続ける。
「ついでに言うと、税理士先生は三対三で、今度山崎のウイスキー工場行くんですよ。」
「ああ。」
先生は、すぐに反応する。
「あそこは僕とも一緒に行きましたもんね。」
「そうですそうです。」
「で、あれを三人でやった後に、どっかで、三者三様で同伴して、店に戻るっていう形の
座組を考えてるんですけども。」
「かなり綺麗ですね。」
「綺麗でしょ。」
「はい。」
「でも、なんかメンツをもう一人増やしたいとかいう話をされてて。」
ここで博子は、ちょっと本気で困ったような顔になる。
「私たち三人の座組がようやく回り始めたのに、また一人増やさな、とかっていう話に
なりかけてて、ちょっと困ってるんです。」
弁護士先生は、そこは苦笑いしながら頷く。
「それはちょっとwww難しいこと言うてきてますね。」
「そうなんですよ。」
博子は、少しだけ愚痴るように話す。
「なんかやっぱり、地場の経営者層の集まりで、ゴルフとかは行くらしいんですけども。」
「はい。」
「こう、キャバクラを組み込んで、もっと親密になりたい人と、ここの座組で
混ぜたいんやと思うんですよ。」
「シャッフルしたい、と。」
「そうそう。同じように一緒に遊んで、共有して、もうちょっと仲深めたい、みたいな。」
先生は、そこで「ああ」とかなり納得した顔になる。
「それはそれで、理屈はわかりますね。」
「でしょ。」
「社交場としての機能を期待してるわけや。」
「そうなんです。」
博子は、そこをちゃんと言葉にしてもらえて少し楽になったように見える。
「だから、そういう役割で話いただいてるんで、ちょっと東京組とは違う意味合いですね。」
「うん。」
「まあ、回し甲斐があるなとは思ってます。」
先生は、そこで少し笑いながら言う。
「ヒロコさん、その辺の座組。ゴルフで一緒にこう、キャリー役みたいな感じでついていく
イメージとは、ちょっと違うかもしれないですけども。」
「はい。」
「そんな感じで、お手当渡すぐらいやったら、もう博子さんに全部回してもらおう、と。」
博子は、その言い方に笑ってしまう。
「言い方あれですけど、まあ近いかもしれないです。」
「全部回してもらった方が、お金の使いどころとしてはええわ、っていうところなんでしょうね。
税理士先生にしては。」
「多分その見方もあると思います。」
先生は、そこから少し楽しそうになる。
「なるほどね。」「だから、東京は東京で、向こうの社長さんたちを気づきで揺らす感じ。
大阪は大阪で、地場の経営者の関係性を、ちょっと深める感じ。」
「そうです。」
「役割が違うんですね。」
「そうなんですよ。」
「それ、だいぶ面白いですね。」
博子は、その言葉にちょっと嬉しそうに笑う。
「だから、同じように見えて、全然違うんですよ。東京は熱量が高くて、ちょっとイベントっぽくて。
大阪はもうちょいじわじわ系というか。」
「なるほど。」
「なんか、東京は“当てる”感じで、大阪は“馴染ませる”感じ。」
「おお。」
弁護士先生は、その表現に感心したように頷く。
「それ、わかりやすいです。」
「でしょ。」
「ますますキャバ嬢と違う動きしますね。」
そう言って、先生は笑いながら日本酒を飲む。
博子も、その言い方に笑うしかない。
「私も別に、こんなつもりじゃなかったんですけどね。」
「いや、でも。」
先生は、グラスを置いてやわらかく言う。
「それ、できる人少ないですよ。女の子として遊ばれて終わるんじゃなくて、
座組そのものの設計に入ってるんやから。」
博子は、その言葉を聞いて少しだけ目を伏せる。
ありがたい。でも、ちょっとこそばゆい。
ただ、そうやって言われると、自分がやってることの輪郭が少し見える気がする。
「まあ、だから。」
博子が最後に少し冗談っぽく言う。
「私もそろそろ、キャバ嬢っていう肩書きに補足説明つけた方がええかもしれませんね。」
「なんてつけるんですか。」
「座組設計付き。」
「それ、だいぶおもろいですね。」
二人で笑う。
福島の店の日本酒は、相変わらずきれいやった。週末の話も、東京組の話も、税理士先生の話も、
こうして弁護士先生に喋って整理していくと、また次の形が少し見えてくる。
弁護士先生は、ますますキャバ嬢と違う動きしますね、と笑いながら酒を飲み、
博子は、そうやって笑ってくれる人がいるから、また次も回せるんやろうなと思いながら、
月曜日の同伴をゆっくり続ける。




