東京イキリ社長、東京メイン社長の連絡を受けて女性陣で報告兼打ち合わせをする博子。金曜は税理士先生座組。来週土曜に東京メイン社長達を受ける
博子は、さきちゃんとアルカちゃんにLINEで同時につなぐと、軽く「やっほー」と
いう感じで入っていった。日曜日の、ちょっとだらけた空気の中やけど、
こういう話は早めに共有しといた方がええ。
向こうも多分スマホいじってるやろうなと思ってたら、案の定すぐに既読がついて、
二人とも反応が返ってくる。
「お疲れ様ー。」
「昨日おもろかったな。」
そんな流れの中で、博子は本題を切り出す。
「で、早速イキリ社長から連絡来たよ。」
その一言で、二人ともすぐ食いつく。
「はや。」
「何て?」
博子は少し笑いながら打つ。
「結局、第一ビルから第四ビル、めっちゃ楽しかったらしいで。」
するとさきちゃんがすぐ返してくる。
「やっぱりな。」
アルカちゃんも続ける。
「うわ、それちょっと詳しく聞きたい。」
「まあ、あれよ。」
博子は、ちょっともったいぶるみたいに返す。
「第一ビルから第四ビルの話は、また来た時にでも喋ってくれるやろし。」
「うん。」
「で、お手当の話が来たわ。」
そこは、二人ともやっぱり気になる。
すぐに「おお」とか「なんぼなん」みたいな反応が来る。
博子は、ちゃんと整理して打つ。
「アルカちゃん、さきちゃんが15。私が20っていう形やった。」
「おおー。」
「ありがたいな。」
「で、京都のあの店の気づきにプラス5やというところで、そこまで差はないかな、みたいな。」
二人とも、その配分には納得したようやった。
完全に博子だけ突出、という感じでもないし、でも博子の役割分はちゃんと見られてる。
その感じがちょうどええ。
「来てくれたことで10で。」
「うん。」
「早帰りさせたことで5だというところで。まあ妥当というか、毎度毎度ありがたいよなって感じ。」
アルカちゃんが、そこでしみじみ返してくる。
「いやいや、同伴なんて別にタダでやるようなもんやのにな。」
さきちゃんも乗る。
「そこら辺、社長は義理堅いな。」
その言葉に、博子も素直に頷く。ほんまにそうや。
ただ遊んで楽しかった、で終わらず、ちゃんと最後まで筋を通してくれる。
その辺は、やっぱり大人やなと思う。
で、話は当然、オーパスワンの方にも流れる。
「ていうか、オーパスワンすごい美味しくなかった?」
博子がそう打つと、二人とも一気にテンションが上がる。
「いやいやいや。」
「あれはすごい。」
「本物やな。」
アルカちゃんが、わりと真面目に言う。
「あんな味わえる機会なんかないから、まあそれはやっぱキャバ嬢冥利に尽きるよな。」
さきちゃんもそれに同意する。
「ほんまそれ。」
「正直、あれ裏で回してもらった方が金にはなったけど。」
博子がそう打つと、すぐにさきちゃんが返す。
「でも、あの感じの空気感は良かったよな。」
「うん。」
「なんか、普通に一緒に飲ませてもらって、しかもあの流れで出てくるのがよかった。」
そこは三人とも同じ感想やった。
金額だけで言えば、もっと露骨にバックに振った方が得やったかもしれへん。
でも、昨日のあの流れの中で、オーパスワンを一緒に飲んだという記憶は、たぶん金額以上に残る。
そういう場を経験できたこと自体が、けっこう大きかった。
で、博子はもう一個の報告も入れる。
「それと同時に。」
「うん。」
「下田に行ったよって話が、東京メイン社長から来て。」
「おお。」
「また遊びたいわって話来てんねん。」
それを見て、アルカちゃんがまず嬉しそうに返す。
「あ、私の案行ってくれたやん。ちょっと嬉しいわ。」
「やろ。」
博子も、そこは素直に返す。
「で、楽しかったけども、またこっちで遊びたいからって来てんねんけど。」
「うん。」
「私らも毎週相手してるし、ここは一回スキップして、金曜日の税理士先生の方の座組を回すって
いう感じで考えてんねんけど、いいかなって。」
そのあたりは、二人ともすぐ賛成やった。
「ああ、それがええわ。」
「土曜日、やっぱりにカロリー消費するからな。」
ほんまにそこや。
土曜は華やかやし、来る側も熱量高い。
でも、そのぶん受ける側の消耗もでかい。毎週バンバン入れるもんではない。
しかも今は、地元の座組も育ててる最中や。
東京組をすぐにまた受けるより、一回あけて、その間に金曜のウイスキー工場の流れを
回す方が全体としてきれいやった。
「まあでも。」
博子は、そこもちゃんと補足する。
「そうは言っても金曜日、一応三人でウイスキー工場に行って。」
「うん。」
「その後、三者三様で同伴して、店前同伴に戻るって感じやから、そこそこカロリーは消費すんねん。」
「そらそうや。」
「でも、金土で連チャンじゃないだけまだマシやん。」
その言い方に、二人も納得する。
土曜の大回転が毎週続くのと、金曜にちゃんと組んだ座組が一回入るのとでは、
意味合いがだいぶ違う。こっちは準備もできるし、回し方もある程度読める。
だから、忙しくはなるけど、まだ“仕事”として処理しやすい。
「いうて私らも、なかなか忙しくなってきたしな。」
さきちゃんがそう言うと、アルカちゃんも「ほんまや」と返す。
少し前まで、同伴一個入るだけでもありがたかったのに、今はどの順番で誰を受けるか、
みたいな話をしてる。それがちょっと可笑しくもあり、ありがたくもある。
「その辺のところは、まあ抜かりなくと。」
博子がそう締めると、二人ともスタンプでも返せそうな勢いで「了解」と返してくる。
「最悪。」
博子はもう一歩現実的な話をする。
「店とかも選びづらかったら、お互いで店のシェアし合って、うまい具合に回してこうや。」
「それ大事。」
「ほんま、引き出しの共有しといた方がええな。」
「うん。」
そんなふうに話がまとまって、三人とも、来週に向かう感じになる。
まだ全部が決まってるわけではない。でも、流れは見えてる。
金曜は地場の座組。東京組は、その次の週あたりで受ける。
お店も、流れも、役割も、少しずつ固まってきている。
博子はスマホを見ながら、ああ、こうやって共有できるようになってきたのはでかいなと思う。
全部を自分一人で抱え込まなくていい。アルカちゃんもさきちゃんも、それぞれちゃんと
戦力になってる。そういう意味でも、日曜のこのLINEは、ただの報告ではなくて、
次の週に向けた小さな作戦会議になっていた。




