一方の博子の日曜日。休日を過ごしながら東京イキリ社長の様子と東京メイン社長の動きをぼんやり気にしている
日曜日。博子は、久しぶりに少しゆっくりしていた。
昨日の土曜日は、京都で迎えて、大阪まで戻して、店でオーパスワンまで入って、
かなり濃い一日やった。でも、その分だけ、日曜日はちゃんと“放出できた”感じがあった。
社長達三人を、こっちが全部抱え込むんじゃなくて、日曜は男三人で遊んでもらう。
その形が、やっぱり正しかったなと、博子はぼんやり思っていた。
もちろん、楽しんでるかなというのは気になる。
第一ビルから第四ビル、ちゃんと刺さってるかなとか、サシスや夢ゴリラの流れを自分たちなりに
受け止められてるかなとか、そういうのは少し気にはなる。
でも、気になるからといって全部博子が管理するのは違う。
あそこで放して、自分たちで遊ばせたからこそ、あの三人にも残るもんがある。
そういう意味では、この“放し飼いスタンス”というか、“話して、渡して、あとは
自分で遊んでもらう”というやり方は間違ってないな、と改めて思った。
昨日のオーパスワンの余韻も、まだ少し身体に残っている。味そのものもそうやけど、
あの場であれを開けた流れとか、社長たちの返し方とか、そういう“文脈ごと高級やった感じ”が、
なんとなくじわっと残ってる。
ああいうのはやっぱりありがたい。
単純に金額がどうこうというよりも、ちゃんと場の流れを見て、返し方まで考えてくれてる
感じがある。その辺は嬉しい。
そんなことを思いながら、博子は日曜日をだらだら過ごしていた。
午前中はほとんど何もせず、昼も軽く済ませて、ベッドに寝転がって、
スマホを見たりする。外は静かやし、自分の中もまだ少し土曜の余韻でぬるい。
こういう時間も、やっぱり必要や。
で、そんな中、イキリ社長から連絡が来た。
博子は、画面を見て、あ、来たか、という顔になる。
内容を開いてみると、まず楽しかったということ。
そこはまあ予想通りやった。でも、そのあとがちゃんとしていた。
個別のお手当として、アルカちゃん、さきちゃんが十五万ずつ。博子が二十万。
で、それとは別で、コンサルティングの費用として、例の奨学金肩代わりの話が進んだから
ということで、さらに二十万。そういう話が入っていた。
「……ああ。」
博子は、小さく息をつく。
正直、ちょっとほっとする。
もちろん昨日のオーパスワンで十分インパクトはあったし、別に金額だけの話やない。
でも、それはそれとして、ちゃんと分けて、ちゃんと評価して、しかもコンサル分を
別枠で置いてくれてるのは大きい。やっぱりこの人たち、筋は通してくるな、と思う。
しかも最後に、また何か提案くれるもんあったらよろしくお願いします、みたいな言い方が入っている。
ここで博子も、少し笑ってしまう。ああ、種まいてきよったな、と。
でもそれに対して、自分もまた種を返すのは嫌いではない。
そういうキャッチボールができてる感じは、今の自分にとって結構気持ちいいところやった。
とはいえ、これで来週すぐ来ることはないやろう、とも思う。
さすがに二週間連続やし。向こうも向こうで、昨日今日でかなり遊んでる。
だから、しばらくは間が空くやろうな、と思っていた。
で、むしろ気になるのは、東京メイン社長たちの方やった。
あっちはあっちで、女性陣が多摩、山梨、下田とボールを投げて、それをこなしながら
また大阪に来ようとしてる流れがある。
下田、どうなったかな。ちゃんと行ったんかな。刺さったんかな。
そういうことをなんとなく思いながら、また二時間ぐらい、博子はごろごろしていた。
すると、案の定というか、そっちからも連絡が入る。
下田に行ってきて、結構楽しかったけども、また遊んで欲しいなという気持ちになってるから、
という内容やった。それを読んだ瞬間、博子はちょっと笑う。
ああ、ちゃんとこなしてきたんやな、と。
しかも、ただこなしただけじゃなくて、そこを通ったからこそ、また大阪に来たい
という気持ちにちゃんとなってる。そこはかなり理想的やった。
博子は、少しだけ考えてから返す。
「来週はちょっとわからないですけど、来週か再来週で予定調整してみます。」
そんなふうに、すぐに飛びつきすぎず、でも冷たくもせず、ちょうどいい温度で返す。
返しながら、ああ、うまい具合にさばけてるな、と自分でも少し思う。
社長たちを待たせすぎず、でも毎週土曜にイベントをバンバン入れるほど、自分たちも無理はせん。
その塩梅が、今のところちゃんと取れている。
博子は、そこでちょっとニヤニヤする。
イキリ社長たちには、土曜の濃い流れを返してもらった。
若手の社長たちは、下田をこなしてまた戻ってこようとしてる。
それぞれ別の熱量やけど、どっちもちゃんと繋がってる。
その感じが、ちょっと面白い。
でも、毎週土曜日に何か大きいイベントを入れるのも、やっぱり違う。
自分も疲れるし、他の大阪のお客さんにも影響が出る。
とりあえず、来週は金曜日の座組を回して、その次の週に土曜日、東京メイン社長たちを受け入れる、
でいいかな。そんな感じで、ざっくり頭の中のカレンダーを組み始める。
そう思ったら、もう次は共有や。
博子はスマホを持って、アルカちゃん、さきちゃんに連絡を入れ始める。
来週の東京勢の枠は一旦土曜日流す代わりに、その次の週あたりで東京メイン社長を受ける方向。
下田、ちゃんと行ってきたみたいやで。
そんな報告を入れながら、日曜日の夕方は少しずつ、また次の土曜に向かって
動き始めていく。




