オーパスワンの余韻でニセットで帰る流れになる東京イキリ社長達。空気を察して女性陣も今日は全員帰宅することにするwww
「まあ今日は、あと半セットで帰るか。」
オーパスワンを飲んだあと、社長たちの中で、なんとなくそういう空気が出てきた。
さっきまでワインの余韻に浸りながら、酒の話、遊び方の話、京都大阪の話をじっくり
していたけれど、ここでダラダラ居続けるのは違うな、という共通認識が、
自然にできていたのである。イキリ社長がグラスを置きながら言う。
「なんかここで、ダラダラいるんじゃなくて、もう今日はここで締めて帰ろうか。」
横の社長もすぐに頷く。
「俺もここらで締めよっか、って感じやな。」
「そうそう。せっかくここまで綺麗に来たんやしな。」
その言い方に、博子も「それはそうですね」と素直に返す。
ピークを超えて、無理にもう一段何かを足す必要はない。
むしろ、今日はこの“いい終わり方”を守った方が、明日にも繋がる。
そんな空気やった。
で、その流れの中で、イキリ社長がふと思い出したように言う。
「で、博子ちゃん。明日の話なんやけども。」
「はい。」
「おすすめの店と、あの、なんかこの選び方とか、コツみたいなんはあんの?」
博子は、そこはもう用意していたみたいにすぐ返す。
「おすすめの店は、二つあります。」
「おお。」
「さしすっていうところが、結構安くて海鮮うまいっていうのと。」
「うん。」
「ゆめゴリラっていう店があると。」
社長たちが、すぐにスマホを構えそうな顔になるのを見て、博子は笑う。
「メモらんでええです、あとで送りますから。」
「助かるわ。」
「で、この二つは、まあ鉄板やし、並ぶと。」
「やっぱり並ぶんや。」
「早い時間でも並ぶ。ゆめゴリラは昼過ぎぐらいからやから、言うたら一軒目に行く必要は
ないですけど。サシスはね、最近何件か出てて、ちょっとチェーン化もしてるんだけども、
魚が美味しくて、結構並ぶ店です。」
「なるほどな。」
「で、あとは。」
博子は、少し指を立てる。
「ハズレのない店を選ぼうと思ったら、とりあえず混んでるところに行ってください。」
「シンプルやな。」
「大阪民、結構その辺シビアですから。ガラガラの店と、混んでる店の差が激しいんです。
だから、迷ったら混んでる店行ってください。」
「なるほどね。」
「あと、ハイボール50円とか、生190円とか。」
「出た。」
「早い時間帯、特に社長たちが行く朝昼やったらあるんで。それに関しては、お金捨てに
行くもんやと思って。それ飲んで、ちょっとつまんで楽しむぐらいでもいいと思います。」
イキリ社長が吹き出す。
「最後、雑やな。」
「いや、でも大事なんですよ。」
「まあ、たしかに。」
「“ちゃんと選ぶ”と“雑に楽しむ”を両方持っといた方が、次に繋がるんで。」
そんな話をしながら、もう二セット、綺麗に流れていく。
オーパスワンまで入ったあとやのに、変に場が壊れず、最後までちゃんと心地いい。
それが今日の一番ええところやった。
で、いよいよお見送り、という段になって、イキリ社長がしみじみと言う。
「いや、今日ほんまに、同伴からこの最後のオーパスワンまでの流れ、めっちゃ良かった。」
「ありがとうございます。」
「ほんまやったら、もっといたい気持ちあるけど。」
「はい。」
「もうこれ以上やると、ピーク過ぎてまうから、ここで終わらせなあかん。」
博子は、それを聞いてちょっと笑う。
「私らも、もう今日帰ろうかなと思ってます。」
「お。」
「このええ酒飲んで、この後また雑な仕事するぐらいやったら、さっさと帰った方が
いいかもなと思って。」
社長たちも、そこはすぐに賛成する。
「そうしよ、そうしよ。」
「その方がええ。」
「今日はもう、これで締めや。」
そういうわけで、お見送りをしたあと、女の子三人も少しだけ集まって相談する。
さきちゃんが、まだ少し名残惜しそうに言う。
「いや、これはほんまに帰った方がいいかな。」
アルカちゃんも、少しだけ揺れる。
「なんなら、ちょっと反省会みたいな形で軽く飲みに行かへん?みたいな気持ちもあるけど。」
博子が、そこで首を振る。
「いや、違うな。」
「うん。」
「もう帰ろうか。」
二人も、それには納得する。
今日のピークはもう終わった。
ここでさらに女の子三人だけで飲みに行って、だらっと喋っても、
それはそれで楽しいかもしれんけど、今日の“綺麗な終わり方”を濁らせる気もする。
だったら、もう今日はそのまま帰る。
それが一番ええ。
社長たちは社長たちで、明日楽しく遊べたらええなと思いながら帰っていく。
第一ビルから第四ビル。サシス。ゆめゴリラ。
混んでる店を選べ、という博子の雑やけど鋭い教え。
それを頭に入れながら、男三人でまたわちゃわちゃやるんやろう。
女の子も三人、それを少しだけ願いながら、それぞれ帰る。
土曜日は、そんなふうに、かなり気持ちよく締まった。




