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京都駅で東京イキリ社長三人組をお出迎えする。タクシーで博子と話したがる社長陣。チーム戦だと釘を刺す博子。清水五条に到着

土曜日、京都で東京イキリ社長三人組を、博子たちが三人で出迎える。

京都駅のあの独特の、人が多いのにどこか観光の浮つきがある感じの中で、博子たち

三人は先に着いて待っている。

さきちゃんもアルカちゃんも、今日はちょっと気合い入ってる。

先週に続いての東京イキリ社長三人組。

しかも今回は、イキリ社長だけやなくて三人そろって、また来るという流れや。

そら、空気も少し張る。

で、向こうから社長三人組が見えてくる。

もう顔が、完全にご機嫌さんである。

博子はそれを見て、半分あきれ、半分ありがたいなと思いながら、ちょっと笑って言う。

「来たで来たでって感じ出してますけど、先週も会ったじゃないですか。」

するとイキリ社長が、いきなり楽しそうに返す。

「いやでもええねん。」

「何がですか。」

「楽しかったし、みんなに言うたらさ、こうやって来てんねんからええやん。」

横の社長も、にやにやしながら頷く。

「そうそう。」

もう一人もすぐ乗る。

「別に卓が埋まるは置いといて、こうやっておじさんたちに好かれる

博子ちゃんも、別に気ぃ悪ないやろ。」

博子は、それに苦笑いする。

「悪くはないですけども。でも、先週も今から行く店行ったんですからね。」

「でもまた違う銘柄の酒飲みたいからさ。」

その一言で、三人とももうこっちにどはまりしてる感じが見える。

早よ案内してくれや、みたいな空気や。

博子も、そういう圧を感じながら、でもここで変に煽らず、いつもの感じで落ち着いて返す。

「わかりました。じゃあまず荷物置きましょう。」

言うたら京都駅のところに荷物を預けて、そこからタクシーで向かう流れや。

博子が助手席に座って、後ろにおじさん社長三人がぎゅっと乗る。

さきちゃんとアルカちゃんは、そのあとから別のタクシーでついてくるという段取りや。

「じゃあアテンドしますね。」

博子が、少しだけ仕事っぽい声で言うと、イキリ社長が嬉しそうに笑う。

「頼むわ。」

「さきちゃん、アルカちゃんは、このタクシーの後ろついてきてくれますから。」

「了解了解。」

タクシーが動き出す。

京都駅の混み合った空気を抜けて、清水五条の方へ向かう。

車内はもう最初から、かなり盛り上がっている。

「でもほんま、よく来ていただいてありがとうございます。遠路はるばると。」

博子がそう言うと、後ろからすぐに返ってくる。

「いやいや、それを乗り越えるだけの熱量で、うちの社長がめっちゃ喋ってくんねん。」

「私のことですか。」

「そうや。」

横の社長もすぐに続く。

「その九百八十円の十四代、新政、而今はマジずるいぞ、っていう話やし。」

「そこ、ずるいでまとまるんですね。」

「まとまるまとまる。」

もう一人が、少し真面目な声で割って入る。

「で、社長に詳しい見積もりしたって話。」

「奨学金のやつですね。」

「そう。奨学金返済の詳細の見積もり書やろ。あれ、ChatGPTで作ったらしいけども、結構

ええもんができてるっていうの聞いてさ。」

博子は、そこで少しだけ笑いながら返す。

「まあ、プロンプト頑張ったんです。」

「それも含めてな。」

イキリ社長が楽しそうに言う。

「しかも社内で回して決済までして、っていう話まで聞いたら、ほんま楽しそうでな。」

「当てられてもうたんですね。」

「当てられてもうたんよ、こっちも。」

車内で笑いが起こる。

でも、その笑いの中に、単なる酒のノリ以上のものがある。

この人たちは、本気で“遊び方ごとが更新された”感じになっている。

博子としては、それを横目で見ながら、ありがたいけどちょっと重たい日やなと思っている。

でも、その重さを受けるのも今の仕事や。

「いや、ほんまはあれやで。」

イキリ社長が少し声を落とす。

「ヒロコちゃんの話も聞きたいけども、やっぱりチームで動いてるからさ。」

ヒロコは、その言い方をすぐ拾って釘を刺す。

「そうですよ。そういうことは、さきちゃん、アルカちゃんの前であんま言っちゃダメですよ。」

三人が、ちょっと子どもみたいに笑う。

「あの子ら二人も可愛いんですからね。言うても。刺さり方が違うだけで。」

「それはわかっとる。」

「うん、そうそう、わかっとる。」

「だから、楽しく行きたいな思って。」

そういう言い方をしてくれるから、まだ救いがある。

博子もそこは少し安心する。

三人とも、少なくとも“博子だけでええ”という空気ではない。

チームで来て、チームで受けることの面白さも、もうかなり理解してきてる。

そこはこの数週間でだいぶ育ったところやなと、博子は思う。

「で、その代わり。」

一人の社長が、急に少し前のめりになる。

「明日、男三人でまたちょっと遊びに行くから。その辺のヒントもちょっとちょうだいよ。」

博子は、そこでちょっと口元を上げる。

「わかってます。」

「お。」

「任してください。そら、次の遊びが楽しくなるように私もいろいろ考えるの、お仕事ですからね。」

イキリ社長が、後ろで大きく笑う。

「出たで。」

「言うと思った。」

「でも、それがええねん。」

そうこうしているうちに、タクシーは清水五条のお店の方に到着する。

京都の道は、東京に比べるとどこか時間がゆるい。

そこに、東京のおっさん社長三人と、博子たち三人の熱が流れ込んでくる。

今日の土曜日も、また濃い一日になるなと、博子は助手席で小さく息を整えた。

そしてドアが開いて、六人の座組が、また一つ動き出す。

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