税理士先生帰宅。来週か再来週に座組やろうよ。女性陣のメンバー一人追加考えておいてとの伝言をもらう
税理士先生に帰りしな、「これ、いつやります?」っていう話になった。
博子が、店先の空気の中で軽く聞くと、先生は少し考える顔をしてから、
「来週か再来週かなあ」と言う。
そこまで急ぎではないけれど、熱が冷えないうちに一回はやりたい、
そんな感じの口ぶりやった。
「時間決まったら、また教えてくださいね。」
博子がそう言うと、先生もすぐに頷く。
「女の子たちの座組もあるからな。」
「そうなんですよ。東京の人たちの予定と調整しながら、ちょっと考えますわ。」
「頼むわ。」
そんなふうに軽く握って、お見送りをした。
博子としては、また一個仕事が増えたなという感じもあるけれど、
こうやって次の流れが見えてる方が、逆に気は楽やった。
何もないところから考えるより、相手がこうしたいと言ってくれてる方が、むしろ組みやすい。
そのあと博子は、アルカちゃんとさきちゃんのところに行って、卓で軽く連携する。
金曜の最後らしい、ちょっとゆるんだ空気の中で、三人で顔を寄せて話す感じになる。
「でな。」
博子が切り出す。
「こういう形で、一応また座組を一回やります、っていうことで。来週か再来週に
ちょっとやろうか、って話になった。」
さきちゃんがすぐに「お、もう次か」と言って、アルカちゃんも「早いな」と笑う。
博子は、その反応を見ながら続ける。
「一旦、三人でやって。今度の座組はウイスキー工場に行こうって話はしてんねん。」
「え、それいいやん。」
アルカちゃんがすぐ食いつく。さきちゃんも「それめっちゃええやん」と頷く。
三人とも、そういう“外で動いてから、店に戻す”流れが最近しっくり来ている。
「じゃあ、夕方にウイスキー工場行って。」
博子が整理するように言う。
「全員で一緒に行きながら。で、帰ってきて、三人今度は別々で分かれて、いろんなところに
三者三様で同伴に行って。その帰りに店前同伴に戻り、卓で一緒に遊ぶ、みたいな形にする。」
さきちゃんが、そこで「おお、流れとしてきれいやな」と言う。
アルカちゃんも「それオッケーやな」と素直に頷く。
前みたいに、ただみんなで一緒に動いて終わりやなくて、途中で散って、それぞれの
組み合わせでまた話を深めて、最後に店で回収する。
その方が、社長側も満足感が増すし、女の子側も役割が立ちやすい。
博子の中でも、その組み方はかなりしっくりきていた。
「で、もう一個。」
博子が、少し顔をしかめながら言う。
「なんか、社労士の先生も混ぜたいって言ってる。」
「えー。」
「増やすん?」
アルカちゃんとさきちゃんが、少しだけ同時に反応する。
博子は苦笑いする。
「将来的には、言うたら自分の地場の経営者仲間の中で、仲良くなりたいメンツ十人ぐらい集めて。
適度に四人ぐらい集めて、うちらの座組でシェイクしたいと。混ぜたいと言うてるんよ。」
「シェイクて。」
さきちゃんが吹き出す。
アルカちゃんも「発想はわかるけどな」と笑う。
博子も頷く。
「そう。だから、私たちにもう一人、言うたらサブメンバーみたいな形でちょっと探さな、
ってことは言われてる。」
「うわ。」
「でも別に、すぐやる必要はないけども。」
そこは博子も強調する。
今いる三人のバランスですら、やっと少しずつ整ってきたところや。
そこにさらに一人足すとなると、当然また空気は変わる。
だから、焦る必要はない。
でも、頭の片隅には置いておかないとあかん。
「で、できれば。」
博子が少し呆れたように言う。
「ビジネスライクな話ができる子がいいな、とか言うてた。」
アルカちゃんが即座に突っ込む。
「そんな都合のええ女の子おるんかいな。」
「ほんまそれ。」
さきちゃんも笑う。
でも、そこで博子が「あ」と思い出したような顔になる。
「でも、一人。」
「え?」
「商業高校出て、簿記ができる女の子おるやん。」
その一言で、アルカちゃんがすぐ反応した。
「ああ。」
さきちゃんも「あー、あの子か」と声を漏らす。
「その子ならは、税理士先生とかとちょっとだけ相性いいかもね。」
博子がそう言うと、二人も真面目に考え始める。
簿記ができる、宅建持ってる、商業系の話が少しできる。
そういう入口があるだけで、年齢が遠い経営者のおじさん達との会話の滑り方が少し変わる。
もちろん、それだけで一日回せるわけではない。
でも、入口としては強い。
「私らぐらいの年齢で、それ持ってたら強いよな。」
「うん。」
「じゃあ。」
アルカちゃんがぽんと手を打つ。
「商業高校のカレンちゃんが、多分簿記持ってたと思うから、カレンちゃん入れようか。」
博子が、それを聞いて少し安心したように笑う。
「それ、ええかも。」
「すぐじゃなくてええけどな。」
「そうそう。今度ちょっと様子だけ聞いとく。」
そんなふうに話をまとめながら、三人とも、なんやかんやでまた一歩先のことを考えている自分たちに、少し笑いたくなる。ウイスキー工場。
三人座組。社労士の先生。サブメンバー候補。
金曜の夜の最後にする話としては、だいぶ濃い。
でも、それが最近の三人には普通になってきていた。
「まあ、今日はこんなもんか。」
博子がそう言うと、さきちゃんもアルカちゃんも「やな」と頷く。
店の空気も、もう終わりに向かっている。
フリーの卓も散り始めていて、今夜はここで引き上げかなという感じや。
「また来週、濃そうやな。」
「濃そうやね。」
「でも、ちょっと楽しみやわ。」
そんなことを言いながら、三人は軽く片付けるように身支度を整える。
次の座組も、次の候補も、全部まだ確定ではない。
でも、こうやって話しておけば、いざ動く時の足は軽い。
博子も、さきちゃんも、アルカちゃんも、それぞれまた一個ずつ役割を持って帰る感じで、
その日の店を引き上げた。




