火曜日。博子の休みの日。ダラダラしながら打てる手をぼんやり考える休日
火曜日。洗い物をして、散歩がてら外に出て、帰ってきてお風呂に入って体を整える。
実はこういう日が大事やなっていうことを、最近の博子はわかってきている。
午前中は頭を使うというより、身体の感覚を元に戻す日やった。
社長たちのことも、お店のことも、ネタのことも、全部ちょっと横に置いといて、
今日はまず自分の生活を整える方を優先しようかなという感じである。
午後になってから、今度は金銭的なところを整理する時間に入る。
7月分の給料とお手当て、それと必要経費分を全部引いて、それでもだいぶお金の方が残ってきた。
そこで博子は、前からうっすら考えてたことを、ようやく実行に移すことにした。
100万円、一括で繰り上げ返済しようと。サラ金の残高に対して、まずドンと100万円ぶつける。
よくよく考えたら、こんな15%もついてる金利のやつを、以前の博子はようほっといたなと、
ちょっと呆れる。でも、ここ最近の動きで、ようやくそれを動かせるところまで来たんやなとも思う。
実際に返して、頭の中で計算する。
15%。100万円返したら、単純に年15万円分は浮いたことになる。
「あー、ちょっと得したかな」
そういう、地味やけど確実な実感がある。
派手に増やすとか、夢のある儲け方とか、そういうのも嫌いじゃない。
でも、こうやって高い金利を潰していくのも、それはそれでええ手やなと思う。
残債は、ざっくり180万ぐらい。
でも、今のペースでいったら、まあ年内にはなんとか片付くかな、というところまで見えてきた。
イデコもやり始めた。小規模共済もやり始めた。
そうやって、目の前の借金を削りつつ、将来に向けた土台も少しずつ作り始めている。
生活基盤が、ようやくじわっと整い始めたなという感覚があった。
その上で、何をしていくか。
キャバ嬢をやりながら、社長たちへの差し込みっていう、今の自分の手の内にあるものを磨く。
それはもう一つの武器になりつつある。
ただ、それに安心しきるわけにもいかん。
次に打てる一手は何か。
福利厚生の話か。社食の補助か。
あるいはもっと、遊びの延長線上で刺せるようなネタか。
そういうのを、家でコーヒーを入れて、マグカップを持ちながらぼんやり考える。
で、ふと博之でやってた時の感覚を思い出す。
知的で、ちょっといいところ。
京都の寺社仏閣とか、あるいは博物館とか、そういう“知の匂いがする場所”と、
ご飯屋さんを組み合わせた、社長たち向けの接待プランみたいなものも、ありなんちゃうかなと。
ちょっとずつ新しい場所を仕込み、新しい“気づき”を拾っていかないといけない。
そんなことを考えながら、結局、火曜日の博子は夕方までゴロゴロしていた。
考えては休み、休んではまた少し考える。それぐらいのゆるさでちょうどよかった。
無理に何かを形にする日じゃない。
ただ、生活の土台を一個整えて、頭の中の引き出しを少し増やす方向だけ見ておく。
そういう一日やった。
派手ではない。でも、こういう日があるから、また社長たちに向けて、
面白い球を投げられるんやろうなと、博子はコーヒーを飲みながら思っていた。




