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日曜日の東京イキリ社長とのアフターのあと家で落ち着く。流れを思い返しながら反省しながらゴロゴロする

土曜日、日曜日と、東京行きの社長一人を受けて、京都で迎えて、大阪で落として、

次の日は梅田で小籠包を食べて、グラングリーンの芝生を見ながらコーヒーを飲んで、

新大阪で見送る。たったそれだけの流れやけども、その中に入ってる気遣いとか、

段取りとか、会話の温度とか、そういうものを全部含めると、やっぱりそれなりに神経を使っていた。

だから、家に帰って風呂に入った時点で、博子の中ではもう今日は終わりやった。

湯船に浸かりながら、なんとなく一泊二日のこの東京イキリ社長との動きを思い返す。

反省点はあったかな、と。ぼんやり考える。

でも、正直なところ、大きく「あそこ失敗したな」というところは、あんまりなかった気がする。

何回も使ったパターンという感触はある。

駅で迎えるところから始まって、日本酒の店でちゃんと気分を戻してもらって、

大阪の店でも話をつなげて、翌日は無理に詰め込まず、梅田の小籠包と芝生で抜いていく。

その流れ自体は、かなりきれいにハマってたと思う。

「ま、ようやった方かな。」

湯船の中でそう思う。点数をつけるなら、九十点ぐらいは取れてるかな、と。

百点ではない。百点ではないけど、九十点ぐらい。そんな感じや。

じゃあ、残りの十点は何やねんって考えた時に、やっぱり出てくるのは、

さきちゃん、アルカちゃんとの関係性とか、他の社長二人との温度感とか、

そういう横のところやった。今回来たのは一人。それ自体はしょうがない。

銀座でへこんで、電話してきて、こっちに流れてきた。

そういう一人の揺れを拾うのは、博子の役割やし、実際うまく拾えたとは思う。

でも、その一方で、帰りの電車を一人で帰らせるっていうのは、全体の座組として見ると、

やっぱりちょっとマイナスやなとも思う。

三人で来て、三人で反省会しながら帰るのと、一人で帰るのとでは、帰り道の温度が全然違う。

勢いが落ちることもあるし、冷静になることもある。

今日の社長に関しては、そこまで大きくは落ちへんやろうけど、それでも、

全体として見たら“集団で来て集団で帰る”方が、やっぱり強い。そこは改めて感じた。

ただ、その辺を全部自分が管理できるわけでもないしな、とも思う。

社長たち同士の会話もあるし、さきちゃん、アルカちゃんのそれぞれの距離感もある。

自分が前に出すぎると、またそこで差が出る。

でも出さなさすぎると、刺さるものも刺さらへん。

そのへんのバランスが、ほんまに難しい。

結局、自分だけうまくやればいいって話じゃない。

チームで回してる以上、他の二人の熱量とか、安心感とか、その辺まで見ながらになる。

そこはもう、ずっと課題やなと、湯気の中で考えていた。

風呂から上がって、髪もそこそこ乾かして、布団に入る頃には、身体の方がもう限界を迎えていた。

スマホを見る気もあんまりせず、そのまま横になる。で、気がついたら、本当に泥のように眠っていた。

夜に一度目が覚めて、また少しゴロゴロする。

もう一回目を閉じる。身体は休みたがってるけど、頭の方はまだ完全には止まっていない。

今回の流れで、向こうが求めてるものは何やったんやろうな、とか。

ただ癒されたいだけやなくて、やっぱり“考えてくれてる感じ”とか、

“入口を見せてくれてる感じ”とか、そういうものなんやろうな、とか。

銀座で雑に扱われて、こっちで整えられて、また次の扉を開かれる。

あの社長が喜んでたのは、多分そこや。だとしたら、自分が今後やることも、

結局そこから大きくは変わらへん。

「丁寧にやってくしかないよなあ。」

口に出すでもなく、そんなことを思う。

一発で終わる派手なネタもいる。でも、それだけやと続かへん。

向こうが求めてるものを、その時その時で少しずつ見ながら、刺しすぎず、

でも忘れられへんぐらいには残して、また戻ってきてもらう。

その積み重ねなんやろうな、と。

昼の光がカーテンの隙間から少し入ってきている。

部屋の空気は静かで、頭の中だけがまだ薄く動いている。

今回の一泊二日は、たぶん悪くなかった。

むしろ、かなりうまくいった方や。

でも、そこで満足しきらずに、次はもっと面白い動きができたらええなとも思う。

清水五条も、小籠包も、グラングリーンも、ちゃんと刺さった。

じゃあその次は何やろう。

向こうの温度がまた少し変わった時、自分は何を出すんやろう。

そんなことを考えながら、博子はもう一度、ゆっくり目を閉じた。

反省よりも、次の手をぼんやり考えながらする睡眠は、意外と気持ちよかった。

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