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月曜日の東京メイン社長。機嫌がいいからお茶会の流れから博子の奨学金肩代わりの資料を出して相談してみる。若手の反響がすごい

東京メイン社長は、月曜日の朝、かなり気分よく会社に出勤した。

顔つきがいつもより明るい。休み明け特有のだるさみたいなものがなくて、むしろ少し機嫌がいい。

それを見て、近くにいた部下がすぐに気づく。

「あれですね。どっかでリフレッシュしてきたんですね。」

メイン社長は、少しだけ笑う。

「やっぱわかる?」

「わかりますよ。だいたい社長、機嫌いい時って、どっかでちゃんと遊んできた時多いですもん。」

「そうそうそう。」

そう言いながら、メイン社長は上機嫌で席につく。土日で、別の社長たちとも結構遊びに行ってて、

かなり楽しかった。しかも今回は、ただの遊びやなくて、気づきも多かった。

だから余計に、頭が変に重くない。抜けた感じがある。

「またその話も聞かせてくださいね。」

「うん、またな。」

そんなやり取りをしてから、昼過ぎにメイン社長は思い出したように言う。

「今日お茶会するから。」

そう言って、一万円をぽんと渡して、「ケーキとか買ってきて」と軽く指示を出す。

社内のちょっとしたお茶会や。こういうのも、メイン社長の機嫌のよさがそのまま空気になる。

だから部下たちも、なんとなく和やかになる。

三時ぐらいに、ケーキとお茶が並んで、会議室とも休憩室ともつかんような場所で、

一時間ほど雑談形式で喋ることになった。

最初はほんまに雑談やった。

土日のこと、最近の採用のしんどさ、若手の空気、そういうのをゆるく回していた。

でも、メイン社長の中には、どうしてもあの紙のことが残っている。

博子からもらった、奨学金肩代わりの話の簡易試算。

あれを、一回見せてみたかった。

「ちょっとこれ見て。」

そう言って、知り合いの子からもらった体で、名前を伏せたまま資料をばらっと出す。

当然、博子の名前は隠す。夜の場でもらったものやなんて、さすがにそのままは出せない。

でも、数字の叩き台としては十分や。

それを見た若手寄りの社員が、まず目を丸くした。

「え、ていうかシミュレーションえぐいっすね。」

「やろ。」

「いやいや、こんなん作れるんですか。」

メイン社長は、少し笑う。

「ChatGPTで作ったらしいで。」

「いや、じゃあプロンプトえぐいですね。」

「そうなんかな。」

「ていうか、ここまで丁寧に出せるんや。」

その反応を見て、メイン社長は内心ちょっと嬉しい。

自分だけが面白がってるんじゃなくて、普通に見ても“資料としてちゃんとしてる”

と受け取られている。そこがでかい。

「この前、ちょっと話してたやつあるやろ。」

メイン社長が、少し身を乗り出す。

「奨学金の肩代わりしたら、どれぐらい利益出るか云々って。あれと別に、

この数字がそんなに違わへんのやったら、もうやっちゃおうか、みたいな話やねんけど。」

「え、やるんですか。」

「いや、まあ、やれそうなら。」

そこで、半分冗談みたいに聞いてみる。

「この話、喜ぶ人どれぐらいいる?」

すると、思ったよりも素直に、半分ぐらいの人が手を挙げた。

その反応を見て、メイン社長はちょっとびっくりする。

「そんなおるんや。」

「いますよ。」

「全然います。」

「若手にはこれ、でかいっす。」

その声を聞いて、メイン社長は「なるほどな」と思う。頭ではわかってた。

でも、こうやって目の前で反応を見ると、実感が違う。やっぱり刺さるんやなと。

「じゃあ、若手にはええんやな。」

「ええと思います。」

「しかもこれ、多分あれですよ。普通に給料で上げると厚生年金や社会保険料で手取り減るけど

税務上そのデメリットなくなるはずです。奨学金肩代わりの制度での会社の費用計上は金額的に

痛いけど採用のしやすさとかも考えたら、全然ありやと思います。」

そこから話が一段進む。若手の一人が、少し遠慮がちに言う。

「これって、うちの友達とかにも使えます?」

「友達?」

「いや、その、よその会社にいて、ちょっと転職考えてる子とか。こういう制度あるって話、

してもいいですか?」

メイン社長は、そこで即答した。

「全然いいで。」

「ほんまですか。」

「なんなら、あれやで。俺の方にちゃんと話通して、最終的に採用されるとかになったら、

全然お小遣いあげるよ。」

その場が、一気にざわっと明るくなる。

「え、めっちゃいいじゃないですか。」

「それは強い。」

「ていうか、普通に紹介したくなる。」

メイン社長は、その反応を見ながら、少しだけ内心で思う。

これ、もっと早くやればよかったな、と。

今この場でこれだけ反応があるなら、遅いぐらいやったかもしれん。

「へえ。」

と、表向きは少し軽く流しながらも、内心ではかなり手応えを感じていた。

「なんかまた、気づいたら教えて。」

誰かがそう言うと、他の社員も頷く。そこから話は、単なる制度の話から、

会社の空気の話にずれていく。

「ていうか、そもそも社長がこういうことやってくれるっていうのが、なかなかないですよ。」

「そうなん?」

「ないです。会話も結構、現場レベルの話じゃないですか。トップ層がこんなにざっくばらんに

喋れる職場って、結構珍しいんですよ。」

メイン社長は、そこで少しだけ照れくさそうに笑う。

「まあ、そうかもな。」

「しかも、こういうプラスのことを、さっさと決めてくれるっていうのも、すごいありがたいです。」

「それはあるかもな。」

「だって、これ一か月でも早くやればやるほど、月一万五千円出るわけじゃないですか。」

「出るもんな。」

「出すしな。」

メイン社長も、そこでちゃんと現実の話に戻る。制度って、決めるまでが遅い。

でも、決まってから一か月早いだけで、社員の手元に落ちる金は変わる。

だったら、組合とか折衝ごとがあるなら、その辺もさっさと回した方がええ。

「ほな、もうちょっぱやでやります。」

誰かが半分冗談、半分本気でそう言って、その場がまた笑いに包まれる。

でも、笑いながらも、話はちゃんと前に進んでいた。気づきが、実際の制度の動きになる。

メイン社長は、その流れを見ながら、土日に大阪京都で遊んできたことが、

こんなふうに月曜の会社に返ってくるのかと思って、少しだけおかしく、でもかなり満足していた。

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