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新幹線で土日の女性陣の評価ポイントを細分化して評価。一人五十万渡すことに決定。メールする

新幹線の中で、白州の炭酸割りをちびちびやりながら、三人の社長は改めて

「今回、いくらどう渡すか」を本気で整理し始めた。さっきまでは「楽しかったな」

「また来るな」で回ってたけど、ここから先は、ちゃんと数字に落とす時間やった。

メイン社長が手帳を出して、ペンを走らせる。

「じゃあ、中身もう一回整理するで。」

イキリ社長が、項目を読み上げる。

「まず、昨日の夜の同伴。これ、楽しかったで十。」

「うん、十。」

「これは全員一致やな。」

「昨日の夜、三人ともちゃんと当ててきたしな。」

そこにまず10。これは“一日目の入り”の評価や。

それぞれの街、それぞれの角度で、東京にはないもんを見せてきた。

その掴みとしては、文句なしやった。

「で、次。」

イキリ社長が少し笑う。

「三セットで女の子たちがスパッと帰った、あのトリッキーな動き。あれ、効いたやろ。」

「効いた。」

「めちゃめちゃ効いた。」

「ほな、あれ五。」

そこに5。あれは、ただ帰ったんやない。“明日に備えて引く”“余韻を残して終わる”っていう、

向こうの設計やった。東京の感覚やと、あそこで引くのはありえへん。せやのに、

それが逆に効いた。だから、ちゃんと値段をつける。

「次。日曜日、一日付き合ってくれたこと。これ十。」

「うん。」

「朝から夕方まで、別々に動いて、また合流して、見送ってやもんな。」

「普通に考えたら、これだけで十ある。」

そこに10。時間、移動、気遣い、段取り。

それを“アフターの手間賃”として見るなら、むしろもっとあってもええぐらいやけど、

まずは十に置く。三人とも、そこはわりと迷わへんかった。

「で、昼の座組。」

ここで三人が少し前のめりになる。

今日の京都。

伏見、嵐山、祇園。

あれが、今回の核やった。

「昼の座組で十。」

「うん、十。」

「これはもう、別々に回って、最後合流して、話まできれいにつながったからな。」

「十でええ。」

そこに10。

“観光”やなく、“体験として設計された昼”やった。

それぞれ違うのに、全体としては一本のテーマになってる。それがほんまにえぐかった。

「最後。」

メイン社長が笑いながら書き足す。

「博子のウイスキー。五。」

三人とも吹き出す。

「出た。」

「最後まで座組。」

「ソーダは自販機で買ってくださいね、はずるいわ。」

でも、笑いながらも全員一致で、そこは5。

あれは、ただのおまけやない。

帰りの新幹線まで余韻を伸ばす、一番最後の一手やった。

だから、ちゃんと価値がある。

メイン社長が、そこで紙を見せる。

「ほな、これで四十。」

夜の同伴 10

三セットで引いた動き 5

日曜日一日付き合ってくれた 10

昼の座組 10

ヒロコのウイスキー 5

「四十万や。」

二人が頷く。

「うん。四十は固い。」

「中身としては、まずそこ。」

でも、話はそこで終わらへん。イキリ社長が、少し悪い顔で言う。

「ただな。これで終わったら、俺らちょっとやられっぱなしでムカつかへん?」

「わかる。」

「めっちゃわかる。」

「向こう、ちゃんと汗かいてるけど、余裕見せて帰りよったしな。」

「そうや。だから、こっちも“ぶちかましたい”やん。」

その一言で、三人とも笑う。見栄でもええ。プライドでもええ。

でも、今回みたいにちゃんと刺された時に、“それに恥ずかしくない額”を出すのも、

こっちの流儀やった。

「ほな、そこに十足す。」

「うん。」

「四十に十で、一人五十。」

「それを三人に渡す。」

つまり、一人50万 × 3人 = 150万。

そこが決まると、妙にすっきりした。雑に“楽しかったから多めに”やなくて、

ちゃんと項目を積み上げたうえで、最後は自分らの意地で十を乗せる。

その決め方が、この三人らしかった。

「で、昨日の夜の飲み代が、だいたい四十ぐらいやろ?」

「ボトルとかセット代とかで、そのへんやな。」

「ほな、今回のトータルは……」

メイン社長が手帳に書く。

150 + 40 = 190

「二日で百九十。」

「二百万いってへんやん。」

「そう。これでも、俺らが普段遊んでる中では、まあ余裕の範囲内や。」

そこに三人とも納得する。東京で一晩百使うとか、一日百万使うとか、散々イキってきた。

その自分らからしたら、二日かけて百九十でこの満足度なら、むしろ安い。

しかも今回は、ただ高級で殴られたんやなくて、ちゃんと考えて作られた時間に対して払う金や。

そこがまた気持ちよかった。

「よし。ほな、ヒロコに連絡するか。」

メイン社長がスマホを出す。

文面を考えながら、二人が横から口を出す。

「ちゃんと“三人それぞれに五十”って書けよ。」

「誤解されたらあかんからな。」

「昨日の店の分は別で、今回は今回って分かるようにな。」

メイン社長は、うなずきながら打ち込んでいく。

――今回の分は、三人で話した結果、

夜の同伴、三セットで引いた動き、日曜一日、昼の座組、最後のウイスキーまで含めて、一人五十ずつ、三人に渡したい。

昨日の夜の店の分を合わせても二日で百九十ぐらいで、俺らの感覚では十分納得してる。

だから、三人で話し合って受け取ってほしい。

打ち終わると、三人で一回確認する。

「ええんちゃう。」

「うん。」

「送れ。」

送信。

それでようやく、この二日間が一つの数字に着地した。

でも不思議と、冷たい精算って感じはなかった。

むしろ、“ちゃんと払える”ことが気持ちよかった。

三人はまた、紙コップの白州を少しだけ飲んで、小さく笑った。

今回は、ほんまにようやられた。

せやけど、それが悔しくて、面白かった。

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