表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

48/154

清掃会社社長視点。週末に京都の花見を博子としたい。

日曜か。曜日の中でも、日曜いうのは特別や。

仕事の電話もほとんど鳴らん。現場も動いてへん。せやから頭が空く。

空くからこそ、余計なことも考える。火曜、木曜、日曜。

博子が言うてた日程を思い返す。その中でも、やっぱり日曜やなと思う。

京都。哲学の道。出町柳。正直に言えば、二十歳の女の子と歩いたら、

楽しいに決まってる。桜の下を歩くのもええし、川沿いでぼーっとするのもええ。

喋らん時間があっても、気まずくならん場所や。

ただな、とも思う。博子はキャバ嬢や。しかも、今ちょうど上り始めとる。

そんな時期に、丸一日空けさせるのは、店のことを考えたら、正直負担や。

日曜とはいえ、完全オフにするのは簡単やない。そう考えると、

それなりの“返し”は必要になる。シャンパン一本。最低でもそれくらいは下ろさな、

バランスが取れへん気もする。せやけど、「じゃあシャンパン開けて解決」

いうのも、なんか違う。博子は、煽らん。急かさん。金の匂いを前に出さん。

せやからこそ、金で縛るみたいなことはしたくない。じゃあどうするか。

夜を長くする。回数を細かく刻む。無理のない形で、ちゃんと店にも返す。

その選択肢もある。どっちがええか。それは——ヒロコに選ばせた方がええ。

そう思う。あの子は、自分の都合だけで動くタイプやない。

ちゃんと全体を見て、一番角が立たんとこを選ぶ。そこが、ええ。

大勢呼んで、にぎやかにやる。それも、たしかに楽しい。

けど、それは「わしの楽しみ」やない。それは、見せるための時間や。

京都で二人、まったり歩く時間。あれは、誰に見せるもんでもない。

頭の整理がつく。次の現場の段取りも、自然と考えられる。

仕事柄、常に人に気を使う。現場でも、客先でも、家でも。

せやから、気を使わん時間いうのが、何よりありがたい。

博子とおると、不思議とそれができる。べったり来ん。

でも、突き放しもせん。距離感が、ちょうどええ。

だからこそ、独占したくなる気持ちも、正直ある。

けど、それを前に出したら壊れる。せやから、「一日空けてくれ」とは言わん。

代わりに、「どうしたい?」と聞く。京都か。大阪か。短く刻むか。長く取るか。

選ばせる。それが一番や。この季節だけや。桜は待ってくれへん。

せやけど、焦らんでもええ。この関係は、急がん方が、長う続く。

そう思いながら、日曜の予定表を、そっと閉じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ