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京都駅で全員集合。旅を満喫した社長たちは機嫌よく帰る。最後にウイスキー瓶まで用意する博子の座組に笑うwww

三人で――いや、正確にはそれぞれ二人ずつで京都駅に戻ってきて、

最後は新幹線口のあたりで合流した。伏見から戻ってきた博子とイキリ社長。

嵐山帰りのアルカちゃんと社長。祇園から帰ってきたさきちゃんと社長。

昼の京都をそれぞれ別々に回ったはずやのに、改札前で顔を合わせた瞬間、

なんか一日がまた一本につながる感じがした。

「いやー、今日はめっちゃ楽しかったわ。」

一人の社長が、もう隠す気もなくそう言う。それにつられて、他の二人も頷く。

「ほんまやな。」

「これは正直、予想より全然上やった。」

博子たち三人は、ちょっとだけ顔を見合わせて、小さく笑う。その反応がもう、十分やった。

メインのイキリ社長が、荷物を受け取りながら言う。

「お手当のことはな、また俺ら新幹線でベラベラ喋りながら、思い出話しながら決めるから。

それはちょっと待っといてくれ。」

「はい。」

「でも、これはまた次も来たいなって気には、めっちゃなったぞ。」

アルカちゃんもさきちゃんも、そこは素直に嬉しそうやった。

今日一日動いて、結局それを言わせられるかどうか。そこが一つの答えや。

そこでイキリ社長が、少し悪い顔で笑って、他の二人に向かって言う。

「いや、今日はあれやで。センチュリーホテルで、博子とお茶飲みながら、奨学金返済肩代わり

の話とか、ちょっと仕事の話も結構しててん。」

「またお前だけ何聞いてんねん。」

「ちゃうちゃう、別に抜け駆けして言うてるわけちゃうで。」

そう言いながらも、顔がちょっと楽しそうやから、余計に二人が食いつく。

「で、なんの話なん。」

「奨学金返済の肩代わりとか、就労不能とか、仮眠室とか。なんかその辺の見積もり後で出して、

浮く分があるなら、その差額をコンサルフィーで払うみたいな建て付けもありちゃうかって

話しててん。」

「なんやそれ。」

「その話、また教えてくれ。」

そう言われて、イキリ社長が「まあまあ」と笑う。

博子は横で、ちょっとだけ申し訳なさそうな顔になる。

「いや、ほんま、別取りみたいになってしまってすいません。」

するとアルカちゃんが、すぐにフォローを入れる。

「いや、でもその発想はまた別やし。そこは別取りでええわ。」

さきちゃんも頷く。

「そうそう。それはうちらの昼プランとはまた違う話やし。

博子ちゃんの頭の中からしか出てこーへんやつやと思う。」

博子は、そこでちょっとむず痒そうに笑う。

「いや、でも、みんなで回す方がいいんで……。」

「そこまで気ぃ遣わんでええって。」

社長たちも、その辺は妙に納得していた。

今日一日で、それぞれの役割が違うことも分かったし、全部を完全に平等にする必要が

あるわけでもない、とちゃんと腹落ちし始めている。

イキリ社長が、そこでさらに続ける。

「でもな。そうやって包んでくれるのはええけど、それをちょっと少なくしてでも、

一回銀座六本木行って、この味を比較した後に、またきてくださいって、ちゃんと言われたからな。」

「え、そんなこと言うたん?」

「言うた。」

博子が平然と頷くと、アルカちゃんもすぐに手を挙げる。

「私も言いました。」

「私も。」

さきちゃんまでそう言うから、社長たちが一斉に吹き出す。

「お前ら、どこまで俺らをコンサルしていくねん。」

「最後までです。」

博子が真顔で返すと、また笑いが起きる。

その笑い方はもう、昨日の“探り”とか“値踏み”の笑いじゃない。ほんまに一緒に遊んだ後の、

ええ空気の笑いやった。

「じゃあ、そろそろ帰るわ。」

「はい、お気をつけて。」

そんな流れになったところで、博子が「あ、そうそう」と言って、バッグをがさごそやり出した。

出てきたのは、拍手――いや、ハイボールでも日本酒でもなく、まさかの小さなミニボトル。

さらに紙コップが三つ。

社長たちが「なんやねんそれ」となる。

ヒロコは、にやっとして言う。

「これで帰り、一杯やりながら帰ってください。」

「は?」

「ソーダは別で自販機で買ってくださいね。」

その一言で、三人の社長が爆笑した。

周りの人が少し振り向くぐらいには、きれいに笑っていた。

「最後まで抜け目ないな!」

「そこまでやるか普通!」

「なんやねん、お前らほんま。」

アルカちゃんも、その流れに乗っかるみたいに笑ったあと、少しだけ本音を漏らす。

「いや、今日ちょっと私、ヘマしたから、その分ありがたいわ。」

「何がや。」

「嵐山、想定以上に混んでたんで。待たせたし、切り替え切り替えでやってたから。」

するとサキちゃんも手を挙げる。

「私も。ポワロ、めっちゃ並んでて、急に切り替えたりしてたから。

あれ、ちょっとポカしてるんで、そのミニボトルめっちゃ助かるわ。」

社長たちが、また呆れたように笑う。

「なんやねん、お前らすごいな。そこまで反省してんのか。」

「そらしますよ。」

「だって、今日の印象、最後まで綺麗にしたいですもん。」

博子がそう言うと、三人とも一瞬だけ黙って、でもすぐに「ほんまやな」と頷いた。

京都駅の新幹線口は、人の流れが絶えへん。観光帰り、出張帰り、家族連れ。

その中で、この六人だけちょっと違う余韻を抱えて立ってる。

昨日の大阪、今日の京都、店の中と外、反省会と昼のプラン。

全部がちゃんと一続きになっていた。

最後に社長たちが荷物を持ち直して、またそれぞれに声をかける。

「じゃあ、また来るわ。」

「お手当は新幹線で会議して決める。」

「次もなんか考えとけよ。」

「任せてください。」

「次はもっとチューニングします。」

「今度はポカ減らします。」

そんなやり取りのまま、社長たちは改札の向こうへ消えていった。

三人の女の子は、その背中を見送りながら、ちょっとだけ肩を抜く。

「あー、終わったな。」

「終わったな。」

「でも、でかかったな。」

博子が、そこで小さく笑う。

「うん。めっちゃ疲れたけど、ええ感じやった。」

京都駅のざわざわの中で、三人はしばらくそのまま立っていた。

今日の勝負は、ちゃんと“次に繋がる形”で終わった。それだけで、十分やった。

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