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日曜日、社長3人組を京都でおもてなしする。待ち合わせ~サンダーバード~別行動

日曜日の朝。社長たちは、前の日に言われた通り、十時半に大阪駅の改札前でちゃんと待っていた。

三人とも、昨日は昨日で気持ちよく終われたからか、顔つきが悪くない。しかも、ちゃんと寝た。

酒も引きずってない。そういう“大人の遠足”の朝の顔やった。

改札の前で、イキリ社長が時計を見ながら言う。

「昨日、あれで帰されたの、正解やったかもな。」

もう一人が笑う。

「なんか悔しいけどな。でも、ゆっくり寝れたし。」

三人目も頷く。

「朝飯もまあまあうまかったしな。……ただ、今日は楽しみすぎて、

朝はちょっと抑えめにしようかってなったな。」

「昨日の夜で飲みすぎると、今日の情報量に負けるからな。」

そんなことを言いながら、三人で立っていると、ちょうど五分前ぐらいに女の子たち三人が現れた。

博子、アルカちゃん、さきちゃん。

昨日と同じドレス姿ではなく、今日は“街に連れ出す顔”をしている。ちゃんとおしゃれやけど、

やりすぎてない。歩くのに困らん服、でも手抜きじゃない。そこがまた、昨日の続きみたいで良かった。

三人は社長たちの姿を見つけると、ぱっと笑顔になる。

「おはようございます。」

「ちゃんと寝ました?」

「今日は頑張ろなって言いながら来ました。」

その軽いやり取りだけで、改札前の空気が一気に和らぐ。

社長たちも自然に笑ってしまう。昨日の夜の余韻が、そのまま朝に繋がってる感じやった。

博子が改札の向こうを指しながら言う。

「とりあえず、下道で行くのもありなんですけど……サンダーバード乗りましょう。」

「サンダーバード?」

一人の社長が、ちょっと意外そうに聞き返す。

「普通に京都行くだけやろ?そんな遠いわけでもないし、電車でええんちゃうん。」

博子は、その言葉を待ってたみたいに笑う。

「いや、京都駅までなんですけど。こっちの方が、お互い喋れるでしょ。」

その一言に、三人の社長が揃って「なるほど」となる。

たしかに、ただ移動するんやなくて、“喋る時間まで設計されてる”。昨日からずっとそうや。

イキリ社長が、少し感心したように言う。

「……金の使い方がうまいな。」

博子は肩をすくめる。

「そこ、褒めてもらえると嬉しいです。高いもん使うんじゃなくて、“使う場所”ですよ。」

「それそれ。」

「また出たな。」

「ほんまに、全部に意味つけてくる。」

そんなことを言いながら、みんなでサンダーバードに乗り込む。

指定席の並びで座ると、自然と会話が始まる。昨日の振り返り、今日の予告、京都の話。

ただの移動時間やのに、もう半分イベントみたいになってる。

「最近、この三人組の鉄板コースなんです。」

さきちゃんがそう言うと、社長の一人が笑う。

「お前ら、ほんまに“組”として回してるんやな。」

「だって、その方が面白いじゃないですか。」

アルカちゃんが、当たり前みたいに言う。

その“当たり前”が、もう昨日までの東京の感覚とは違っていた。

京都駅に着くと、まずは駅のコインロッカーに向かう。

三人の社長はそれぞれキャリーや手荷物を持っていて、そのまま別行動に入るにはちょっと邪魔や。

博子が先に段取りを切る。

「荷物、ここで預けます。ここで預けといた方が、みんな別々で動けますし。

最後また戻ってきやすいんで。」

「なるほどな。」

「京都駅って、結局ここを起点にした方が、全部きれいに回るんですよ。」

三人の女の子たちは、荷物を預けるところまで含めて、もう手慣れたもんやった。

社長たちも、言われるままに動く。

でも、その“言われるまま”が嫌やない。むしろ、自分で全部考えんでええのが楽やった。

荷物を預け終わったところで、いよいよ別行動や。

博子がメイン社長の方を見て言う。

「じゃあ私は、伏見です。」

「来たな。」

イキリ社長の顔が、昨日の夜からもうずっと楽しそうや。酒蔵、地酒、伏見の流れ。

昨日の予告が効いてる。

アルカちゃんも、別の社長に向き直る。

「私は嵐山です。今日は、保津川から川を使う方でいきます。」

「急流やったっけ?」

「そうそう。その後ご飯行って、最後お茶まで。」

その社長も、もうすでに“今日は東京の遊びと違う日”って顔をしてる。

最後にさきちゃんが、三人目の社長へ笑う。

「私は祇園です。王道に見えて、ちょっとだけずらします。」

「それが一番怖いな。」

「大丈夫です。ちゃんと着地させます。」

三人の女の子が三方向。

伏見、嵐山、祇園。

京都駅を起点に、それぞれのコースが枝分かれしていく。

「じゃあ、また夕方に。」

「いや、その前に戻ってくるか。」

「まあ、とにかく生きて帰ってきてください。」

そんな軽口を叩きながら、六人はそこで一度別れる。

昨日は大阪で三者三様。

今日は京都で三者三様。

でも、全体としてはひとつの“座組”の続きやった。

博子は伏見線の方へ歩き出しながら、横の社長の様子をちらっと見る。

完全に期待してる顔や。その期待を、今日は“酒の街”で受け止める。

アルカちゃんは、嵐山へ向かうルートを頭の中で再確認しながら、社長に歩幅を合わせる。

今日も“高いもの”じゃなく、“手触りの残る時間”を渡すつもりや。

サキちゃんは祇園方面へ向かいながら、王道をどう王道のまま終わらせんかを考えてる。

昨日のふぐで少し崩した価値観を、今日もう一段だけ深くする。

京都駅の人波の中で、それぞれが別々に散っていく。

でも、そのバラけ方すら、もう“設計”の一部やった。

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