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店内の裏側。女性陣で情報共有と東京の社長達に何らか刺せたことを共有。卓では情報を混ぜるで

三者三様。

アルカちゃん、さきちゃん、博子。

それぞれ別の角度から、でも同じ芯で――「東京に比べて、大阪の遊びって楽しいでしょう?」

を、ちゃんと刺しにいった夜やった。

店に戻ってきて、三人とも一度裏へ下がる。

ドレスに着替えながら、もう顔がちょっと上気してる。酒というより、

うまく球を投げられた時のあの高揚感や。

「どうやった、みんな。」

博子が先に聞くと、アルカちゃんがすぐ笑う。

「社長、東京より大阪の方が楽しいかも、ってとこにめっちゃ寄ってた。楽しいっていうか、

東京のキャバ嬢に軽く扱われてるんちゃうか、っていう気づきは投げといた。」

「私も私も。」

さきちゃんがすぐ乗る。

三人とも、結局そこに行き着いてるのがおもろい。

博子はピアスをつけながら頷いた。

「やっぱそこやんな。寿司と焼肉ばっかり行ってるって聞いた時点で、そらそうなるわって

思ったもん。」

アルカちゃんが笑う。

「そうそう。店の予約も、流れも、全部社長側がやって、女の子は乗っかるだけって聞いたから。

それ、私らの苦労からしたら、ちょっとありえへんなって思って。」

「私もそこチクチク刺した。」

さきちゃんも同意する。

「せっかく来てくれるんやったら、こっちも調べるし、考えるし、なんか返したいって思うやん。

それがないって、怠慢やなって。」

三人がそこで自然に同意形成する。別に打ち合わせしてたわけやない。

でも、やっぱり同じ店で、同じような温度でやってると、見てる景色が似てくる。

博子がそこで少し真面目な顔になる。

「これ、今日の反省会で使えるかもね。私らがそれぞれ別の角度で投げた“気づき”を、

店でぐるぐる回して、お互いの社長に持って帰らせる。」

アルカちゃんが「ああ、それあり」とすぐ頷く。

「私の社長には、“東京の女の子に軽く扱われてる”って線を入れた。

さきちゃんのところでは、“大阪はもてなすのが普通”って話になってる。

博子ちゃんのところは、あの天満の相場観からやろ?」

「うん。」

博子は、笑いながら返した。

「三円の日本酒、三円のマグロ、五十円ハイボール。あれ、ちゃんと刺さった。

“下町の雑多さ”見せてから、“ちゃんとしてる立ち飲み”に着地したから、文脈で食わせられた感じ。」

さきちゃんが楽しそうに言う。

「それ、絶対あとでみんな聞きたがるやつやん。」

「うん。そこ起点に話盛り上げてもええかもね。」

アルカちゃんも、自分の球を整理し始める。

「私は、マクドナルドで同伴しますよ、って話したら、めっちゃびっくりされてた。

そこ、一発かました感じある。」

博子とさきちゃんが同時に笑う。

「わかる、強いわそれ。」

「東京の人、そこ想像つかへんもんな。」

アルカちゃんは肩をすくめる。

「いやでも、ほんまやし。“来てくれる”ってことがすごいっていう感覚、

向こうにはあんまりないねんな。」

さきちゃんも続ける。

「私のところも、そこまでは言うてないけど、焼肉・寿司NGで、私ら三人で場を回そうと

してるとか、店を調べてるとか、その辺話したら結構驚いてた。“そんなこと女の子同士で

交換してんの?”って。」

「してるよな。」

「してるしてる。」

三人でまた同意形成する。結局、三人とも違う球を投げてるようで、根っこは同じやった。

東京の遊び方を否定したいわけやない。

でも、その中で“軽く扱われてる側面”とか、“女の子が苦労してない構造”とか、“大阪の方が

人間っぽい余白がある”っていうところを、それぞれの言葉で見せた。

その意味では、三人とも「なんらかは刺せた」感触があった。

博子がリップを引き直しながら言う。

「じゃあ反省会では、私らの店外の話をそれぞれちょっとずつ交換させるの、ありかも。

“私以外の二人の気づき”も持って帰らせる。それやったら、全員私ありきじゃなくなるし。」

さきちゃんが「それや」と指を鳴らした。

「価値観をちょっとずつ分からせる、みたいな。」

アルカちゃんも頷く。

「そうそう。“今日の自分の同伴”だけで終わらせんと、“他の子の考え方”も

聞いて帰ってもらう。それだけで、チームでやってる意味出るし。」

博子は、その言葉に少しだけ安心する。昨日までの嫌な流れもあった。

でも、こうやって三人で“今夜の刺さり”を共有して、次の打ち手まで見えてる。

それだけで、だいぶ違う。

「とりあえず、なんらかは刺せたな。」

「刺せた。」

「刺せたと思う。」

三人がそれぞれ頷いて、最後にもう一度鏡を見る。

ドレスも、顔も、空気も整った。ここからは店内。

次は、“別々で作った気づき”を、一つの場に持ち込む番や。

「ほな、戻ろか。」

博子がそう言って扉の方へ向く。

アルカちゃんとさきちゃんも、それぞれ小さく息を整えて後ろにつく。

それぞれの同伴で投げた球。

それぞれの街で拾った温度。

それを抱えたまま、三人はもう一度卓へ戻っていった。

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