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博子20才4月2週目月曜。清掃会社社長との同伴きまり店手配。証券外務員2種試験

日曜日の夜。家に帰って、メイクを落として、ソファに沈んだ頃にメッセージが来た。

「今日楽しかったわ。月曜日、同伴いけるで。おっさんやし、箸の店がええな」

短い文やけど、余計な駆け引きがない。私はその文面だけで、

「あ、この人はちゃんと“続ける前提”で考えてるな」

とわかる。「ありがとうございます。

 予算、どれくらい考えたらいいですか?」

そう返すと、すぐに返事が来る。

「高すぎなければ、なんでもええよ」

一番助かる答えや。無理に背伸びさせず、

かといって安さだけを求める感じでもない。

私はすぐに頭の中で候補を整理する。月曜日。

18時半スタート。仕事終わりのおっさん。

落ち着いて、騒がしくない。箸で食べられる。

説明しなくていい店。——おばんざいのカウンター。

個室ほど距離は離れない。でも横並びで、会話は静か。

料理の話もしやすい。すぐに予約を入れる。

18時半。カウンター2席。「こんな感じのお店、押さえました」

そう送ると、「ええやん。楽しみやな」と返ってきた。

その一文で、月曜日の夜が“仕事”じゃなく、“約束”に変わる。

———月曜日。4月二週目のはじまり。朝は早めに起きる。

証券外務員二種の試験日や。もう何度も受けてきたテストセンター。

場所も流れも、体が覚えてる。だから緊張はない。

軽く復習する。制度、ルール、商品。昔取った資格の延長線。

42歳のおっさんの頭が、そのまま残ってるのはありがたい。

電車に乗って向かう途中、ふと「今の自分」を客観視する。

20歳の体。昼は資格試験。夜は北新地。変な人生やけど、

不思議と違和感はない。テストセンターに着くと、

周りは保険会社の人が多い。年上のおばさん、お姉さん。

業界の匂いがする。でも、物怖じはしない。

昔、何十回もこういう空気の中にいたから。

試験はあっさり終わる。引っかかるところもなく、

淡々とクリックしていく。終了。画面に表示される「合格」。

思わず小さく息を吐く。やっぱりな、という感覚。

これは夜にYouTubeで話そう。派手じゃないけど、

積み上げてる感は伝わる。テストセンターを出て、

少しだけ外を歩く。頭を切り替える時間。

夜は同伴。焼肉でも酒でもなく、おばんざい。

派手な演出はいらない。今日は“安心感”を積む日や。

帰宅して、軽く休む。動画の構成を考えながら、呼吸を整える。

——4月二週目の月曜日。昼は資格で地盤を固め、

夜は人との関係を積む。流されすぎたらあかん。

でも、止まりすぎても意味がない。今はこのペースでええ。

静かに、確実に。そう思いながら、夕方の支度を始める。

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