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清掃会社社長は博子をチェンジしたあと機嫌悪く当たり散らして帰宅。博子と黒服の乾いた笑い。NGでお願いします。

チェンジが入ってから、清掃会社の社長はあからさまに機嫌を悪くした。

フリーでついた女の子に対しても、別に露骨な暴言を吐くわけではないけれども、

空気でわかるぐらいには当たり散らしていた。返事は雑、相槌も浅い、で、酒だけはちびちび進める。

黒服から見ても「ああ、今日はもうあかんな」という感じやったらしい。

結局、ワンセットだけで帰ることになった。

帰り際、社長は黒服に向かってぶつぶつと文句を言っていた。

「俺が苦労してる時に拾ってやったのに、あいつは義理がないわ。」

「売れてへん時にようしてやったのに、あの態度はなんやねん。」

「まあもうええわ。よそで女探すし。」

そういう悪口じみた言葉を残して、社長はそのまま帰っていった。

その話を、後で黒服から聞いた博子は、メイク直しの手を止めて、ふうっと小さく息を吐いた。

怒りというより、やっぱりそう来たか、という冷めた納得の方が大きい。

「義理がないって言われてもなあ……。」

確かに、売れてなかった時期に拾ってくれたのは事実や。

でも、だからといって、こっちも店外をちゃんとしてきた。同伴もした。旅行もした。

時間も割いた。何も返してなかったわけではない。

それに、今は状況が変わってる。

東京の社長たちは、もう外遊びの一日だけで五十万近く積む。もちろん、それはただの散財やなくて、

博子の座組とか、中身とか、気づきとか、そういうものを含めて「価値」として見てくれてるからや。

そこまでいかんでも、少なくとも弁護士先生やおじいちゃんは、博子の中身を見てくれてる。

話し方、段取り、座組の発想、視点。

そういうところを面白がってくれてるから、外遊びに誘われても、そこにちゃんと意味がある。

でも、清掃会社の社長は違う。

ヒロコは鏡越しに自分の顔を見ながら思う。この人は、自分の中身を見てくれてたわけやない。

ただただ「外で遊べる女の子」が欲しかっただけや。それなら、別に自分じゃなくてもええ。

もっと安くて、もっと素直に付き合ってくれる子なんて、探せばいるやろう。

「……この人はもう無理やな。」

黒服が近くでうなずく。

「まあ、そうやらしゃあないよな。状況変わったし。博子ちゃん今めっちゃ人気やし、

そんなおっちゃんに時間も割けへんしな。」

博子は苦笑いする。

「そうなんですよね。だからといって、弁護士先生とかおじいちゃんみたいに、

私のことをよう見てくれてる人らには義理果たしたいんですよ。外で遊ぼうって言われても

全然遊ぶし。でもあの人はちょっと無理だわ。なんか“ガワ”だけ見られてる感じがして。」

黒服は笑う。

「たしかにそうやと思うで。話に中身がないから、そういう関係になるんやろうし。」

博子もつられて笑った。

「しかも最後、逆ギレやで。あれはちょっと……器の小ささ感じましたわ。」

「そこが一番まずいな。」

二人で、ちょっと乾いた感じで笑う。

怒ってはいるけど、どこかでもう終わった話として処理し始めてる笑い方やった。

そのうち、本当に社長は帰っていった。

「よそで女探すわ」と、最後まで捨て台詞みたいなことを言って。

でも博子の中では、むしろそれでよかった。

ここで変にすがられても困るし、曖昧に続ける方が面倒や。

大事にしたい人は、ちゃんといる。自分の中身を見てくれる人。

今の動きを面白がってくれる人。その人たちに時間も気力も使いたい。

「NGでお願いします。」

博子がそう言うと、黒服は軽く手を上げた。

「了解。もうええやろ。」

それを聞いて、博子はやっと少し肩の力を抜いた。

ひとつ、切るべき縁が切れた。痛くないわけではない。

でも、必要な整理やったと、今は思えた。

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