東京メイン社長と京都駅でお別れ。大満足の社長を京都駅でお見送り
紅茶をゆっくり飲みながら一時間ほど過ごすと、
社長はポットの最後の一杯をカップに注いで、満足そうに息をついた。
「いやぁ……」
少し間を置いて言う。
「ほんま、今日来てよかったわ。」
博子が笑う。
「そうですか。」
社長が続ける。
「土日やろ?正直、他の社長二人を置いてでも、一人で来て正解やったわ。」
博子が肩をすくめる。
「そんな大げさな。」
社長が首を振る。
「いやいや、大げさちゃう。」
少し指を折るようにして言う。
「天満の3円の店の話、あれめっちゃ面白かったし。」
博子が笑う。
「ありましたね。」
社長が続ける。
「その後の炭火焼きも美味かった。」
「はい。」
「で、北新地の博子ちゃんの店も楽しかった。」
社長が笑う。
「店なんか、銀座で遊ぶのと比べたら――」
少し考えて言う。
「ワンタイムくらいの金額やろ?」
博子が頷く。
「まあ、それくらいですね。」
社長が言う。
「それであんだけ遊べたら、もう十分やわ。」
博子が笑う。
「コスパいいでしょ。」
社長が続ける。
「今日の朝ごはんも美味かったし。」
博子が軽く頷く。
「モーニングですね。」
社長が言う。
「昼もリーズナブルで、しかも気づきも多かった。」
少し紅茶を飲みながら言う。
「いやぁ……」
社長は改めて博子を見る。
「これは普通に探そうと思っても出来へんわ。」
博子が笑う。
「そうですか?」
社長が言う。
「やっぱ博子ちゃんがすごいんやろうな。」
博子は少し照れたように笑う。
「いや、まあ……」
少し間を置いて言う。
「そうでもありますけどね。」
社長が笑う。
「自分で言うた。」
博子が肩をすくめる。
「でも普通に暮らしてたら、この座組は組めないですよ。」
社長が頷く。
「まあ、それはそうやな。」
博子が言う。
「店も、場所も、タイミングも、全部合わせないといけないですから。」
社長が言う。
「確かに。」
博子が続ける。
「でも、それはまあ……」
少し笑って言う。
「私の仕事というか。」
社長が笑う。
「出た。」
博子が言う。
「そういうところもありますから。」
少し前に身を乗り出して言う。
「また遊んでください。」
社長が頷く。
「もちろんや。」
博子が続ける。
「まだまだ引き出しありますから。」
社長が笑う。
「どれくらい?」
博子が少し考えるふりをする。
「半年くらい持つんちゃいますかね。」
社長が吹き出す。
「半年!」
ヒロコも笑う。
社長が言う。
「それは俺の来る頻度によるやろ。」
博子が頷く。
「それはそうです。」
少し紅茶を飲んでから、ヒロコが言う。
「今度はあれですよ。」
社長が聞く。
「何?」
博子が言う。
「他の社長さんたちも、時々でいいから連れてきてください。」
社長が笑う。
「営業きたな。」
博子が笑う。
「営業じゃないです。」
少し真面目な顔で言う。
「別に私は待ってますから。」
社長が頷く。
「わかったわかった。」
少し立ち上がりながら言う。
「また声かけるわ。」
二人は席を立ち、ラウンジを出る。センチュリーホテルの静かな空間を抜けて、
京都駅の人の流れの中へ戻る。
駅前の広場に出ると、人の数が一気に増える。観光客が写真を撮り、スーツ姿の人たちが
足早に歩いている。社長が立ち止まる。
「ほな、ここでええか。」
博子が頷く。
「はい。」
社長が笑う。
「今日はほんまにありがとう。」
博子が軽く頭を下げる。
「こちらこそです。」
社長が言う。
「また来るわ。」
博子が笑う。
「お待ちしてます。」
社長は手を軽く振って、新幹線の改札の方へ歩いていく。
人混みの中に少しずつ紛れていく背中を、博子はしばらく見送った。
やがて姿が見えなくなると、博子は小さく息をつく。
「……よし。」
そうつぶやいて、駅前の人波の中へ、ゆっくり歩き出した。




