店でプレートランチを頼み写真を見て驚く。8品はあるぞこれ。実物見て鯛茶漬けの説明されて興味津々の社長
暖簾をくぐって中に入ると、店の中は思ったよりもこじんまりしていた。
カウンターが少しと、奥に掘りごたつの席が並んでいる。広くはないが、
どこか落ち着いた雰囲気がある。
社長が店内をぐるっと見渡して、小さくつぶやく。
「ちょっと手狭やな。」
博子が笑う。
「まあ、烏丸御池の路地の店ですからね。」
案内されたのは、奥の掘りごたつの席だった。靴を脱いで座ると、足がすっと伸ばせる。
社長が言う。
「お、掘りごたつか。これはありがたいな。」
博子が頷く。
「長居するには、この方が楽ですからね。」
社長は周りを見ながら、ぼそっと言う。
「まあまあまあ……こじんまりしてるけど、ありっちゃありやな。」
博子は軽く笑って、メニューを手に取る。といっても、頼むものは最初から決まっている。
店員が来た。
「ご注文はお決まりですか?」
博子が言う。
「ワンプレートの普通のメニューでお願いします。」
店員が確認する。
「千円のランチですね。二つでよろしいですか?」
「はい、それで。」
店員が下がると、社長はテーブルの上のメニュー写真をじっと見ている。
そして次の瞬間、目を丸くした。
「え、ちょっと待って。」
博子が笑う。
「どうしました?」
社長が写真を指差す。
「ワンプレート言うてるけど……これ、めっちゃ乗ってるやん。」
博子が覗き込む。
「そうですね。」
社長は数え始める。
「揚げ物あるやろ。野菜あるやろ。小鉢みたいなんもある。え、これ一品二品ちゃうで。」
博子が言う。
「八品くらいありますね。」
社長が笑う。
「ワンプレート言うて八品って、だいぶ豪華やな。」
写真を見ながら、社長はさらに観察する。
「揚げ物ついてるし、野菜もあるし、ちょっとした一品もある。
これだけでもまあまあ満足しそうやん。」
博子が頷く。
「そうなんですよ。」
社長は中央の丼の写真を指差す。
「で、これがメインやな。」
博子が言う。
「そうですね。」
社長は少し考えながら言う。
「海鮮丼いうか……これはあれやな。」
博子が笑う。
「なめろうっぽいやつですね。」
「そうそう。細かくして上に乗ってるやつやな。」
社長は腕を組んで、改めてメニューを見る。
「いや、それでも……」
少し間を置いて言った。
「京都の真ん中で千円は安いぞ。」
博子が軽く笑う。
「ですよね。」
社長が続ける。
「湯葉とか豆腐食いに行ったら、三千円とか普通にするやろ。」
博子が頷く。
「最近どこも値段上がってますからね。」
社長がため息混じりに言う。
「ほんまやで。最近、千円前後で満たされる店って、マジで減った。」
博子が同意する。
「減りましたね。」
社長はメニューを見ながら言う。
「ここ、いつ値上げしてもおかしくないんちゃう?」
博子が笑う。
「そうですね。」
社長が言う。
「普通に千五百円でも、全然客来るやろ。」
博子が言う。
「来ると思いますよ。」
社長はうんうん頷く。
「それくらい今、物価上がってるからな。」
そんな話をしながら待っていると、社長の顔はだんだん楽しそうになってきた。
「いや、ちょっとワクワクしてきたわ。」
博子が笑う。
「まだ出てきてないのに?」
「写真見ただけで腹減る。」
少しして、店員がトレーを持ってやってきた。
「お待たせしました。」
テーブルの上に置かれた瞬間、社長が思わず声を出す。
「おお。」
ワンプレートの皿には、小鉢がきれいに並んでいる。揚げ物、野菜、おひたし、小さな副菜が
いくつも乗っていて、その横に海鮮の乗った丼が置かれている。
社長が言う。
「写真よりええやん。」
博子が笑う。
「そうなんですよ。」
店員が説明を始める。
「まずこちら、普通に海鮮丼としてお召し上がりください。」
社長が頷く。
「はい。」
店員が続ける。
「食べ終わったら、ご飯のおかわりをお持ちします。」
社長が少し驚く。
「おかわり?」
「はい。そのあと、こちらの出汁を入れていただいて。」
小さなポットを指す。
「最後に、横についている鯛のお刺身を乗せてください。」
社長が目を丸くする。
「ほう。」
店員が笑う。
「それで鯛茶漬けの完成です。」
社長はヒロコを見る。
「なるほど。」
博子が笑う。
「でしょ。」
社長は少し嬉しそうな顔をして言った。
「ちょっと楽しみになってきたな。」




