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332/729

京都で全員集合。東京3人社長とのお別れ。博子は最後に山崎と白州のセットを渡してお見送り

京都駅の中央口。人の波の中で、さきちゃんとアルカちゃん、それぞれの

社長たちが合流する。六人が輪になった瞬間、空気が少しだけ和らいだ。

「どうでした?」

博子が笑顔で聞く。

「楽しんではったみたいで何よりです。」

それぞれの社長たちの顔を見る。

どの顔も、どこか納得している。

ただ――ヒロコの隣の社長だけは、明らかに満足の度合いが違った。

表情が柔らかい。目が少し潤んでいるようにも見える。

「ほな、新幹線乗り場行きましょうか。」

京都駅の構内を六人で歩く。

観光客のざわめき。

お土産の匂い。

エスカレーターを上がり、新幹線改札へ向かう。

改札手前で、メインの社長が足を止めた。

「ちょっとええか。」

三人の女の子と三人の社長が向き合う。

「今回な。」

「人件費として、10ずつ払うのは決めてた。」

三人の社長がうなずく。

「で。」「こっから上の部分は。」

「それぞれ感じたことが違うから。」

「個々判断で銀行振込にさせてもらいたい。」

博子は表情を変えずに聞く。

社長は続ける。

「正直な。」「博子ちゃんの設計、刺さりすぎた。」

少し笑う。

「俺が想像してたより、だいぶ上行ってた。」

周りの二人も苦笑いしながらうなずく。

「だから、その分は出したい。」

「今、博子ちゃんがめちゃめちゃ忙しくなってるって聞いた。」

「それに見合うもんは出したい。」「頻度が少ない分な。」

博子は深くお辞儀をする。

「ありがとうございます。」

社長は続ける。

「あと。」「京都でまだ刺さる店あるんやろ?」

博子が笑う。

「ありますよ。」

「俺、個別で来るかもしれんな。」

すかさず他の社長が突っ込む。

「何抜け駆けしてんねん!」

笑いが起こる。

「いやいや、皆さん楽しかったでしょ?」

博子が柔らかく言う。

「体験とか。」

「どっか行って、味わって。」

「それぞれ感じ方違うと思うんで。」

メインの社長が言う。

「感想は帰りの新幹線でゆっくり話すわ。」

博子はバッグを開ける。

「それなら。」

白州と山崎のミニセット。

紙コップ。

「え、なにそれ。」

「新幹線用です。」

三人の社長が爆笑する。

「どこまで設計やねん!」

アルカちゃんとさきちゃんは、本気で驚いている。

「マジでありがとう…」

手を合わせるようにしてお辞儀をする。

「最後まで抜かりないやん。」

社長たちは嬉しそうに受け取る。

「確かに。」

「三人席でベラベラ喋りながら。」

「感想戦やな。」

「遠足の帰りや。」

皆が上機嫌だ。

博子が最後に言う。

「チケットとソーダは忘れないでくださいね。」

「はいはい!」

改札を抜ける三人の背中。手を振る。

「またな!」

「次は泊まりや!」

「抜け駆けすんなよ!」

笑い声が残る。

新幹線のホームへ向かう三人を見送りながら、ヒロコは大きく息を吐く。

改札の人波が戻ってくる。アルカちゃんがぽつりと言う。

「終わったな…」

さきちゃんも小さくうなずく。

「なんか、すごい一日やった。」

博子は少しだけ空を見上げる。

「うん。」

三人で改札から離れる。

少し歩いたところで、自然と足が止まる。

誰からともなく、深く息を吐く。

「はぁーーー…」

安堵。緊張がほどける。

「刺さってたな。」

アルカちゃんが言う。

「刺さってた。」

さきちゃんが続ける。

博子は静かにうなずく。

「とりあえず、今日の分は越えた。」

三人で顔を見合わせる。

小さく笑う。

京都駅のざわめきの中で、女の子三人はようやく肩の力を抜いた。

遠足は終わった。でも、何かが確実に動いていた。

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