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322/731

同伴後の反省会を店でする。全員の結果発表と感想を言い合い温度が上がる。

腹八分目。ほろ酔い。

フグの余韻を残したまま、博子は社長と店へ向かう。

道すがら、社長は何度も言う。

「今日、もうええ空気やな。」

「明日、楽しみや。」

ヒロコは笑う。

「今日はウォーミングアップですよ。」

店の前に着くと、ちょうどタイミングよく、さきちゃんとアルカちゃんも

それぞれの社長と合流していた。三人とも、すでにいい距離感。

固さはない。笑い声が自然に混ざる。

「じゃあ入りましょうか。」

博子が軽く仕切る。

席につくなり、前回開けてもらったボトル三本がパッと並ぶ。

氷の音。グラスの音。団体戦、スタート。

「じゃあまず同伴の報告やな。」

社長の一人が笑う。

「博子ちゃん、どうやった?」

博子は軽くグラスを持ちながら言う。

「私はテッサとフグちりでした。」

「おお。」

「贅沢やな。」

「いや、ほんま綺麗でしたよ。」

「東京で食うたらなんぼほどするんやろって。」

社長たちがうなずく。

「大阪来る価値あるよな。」

続いて、アルカちゃんの社長が身を乗り出す。

「こっちはな。」

「北浜の鯛飯屋。」

「めちゃくちゃ良かった。」

アルカちゃんが少し照れながら笑う。

「ほんまにアットホームで。」

「手込んでるのに、めちゃくちゃ高いわけじゃない。」

「鯛飯屋やしな、ってとこもあるけど。」

社長は続ける。

「でもな。」

「東京であの空気とあのスペース感出そう思たら、えぐいで。」

「空気がめちゃくちゃ良かった。」

博子が頷く。

「この前が川沿いでパスタでしたもんね。」

「そう。」

「和かと思いきや、鯛飯ぶつけてくる。」

「アルカちゃんらしいな。」

アルカちゃんは少し肩をすくめる。

「いや、ギャップ出したくて。」

社長が笑う。

「刺さったで。」

続いて視線がさきちゃんへ向く。

「さきちゃんは?」

さきちゃんは落ち着いた声で言う。

「私はおばんざいで。」「丁寧に進めました。」

出汁巻き。里芋の煮っころがし。茄子の煮びたし。

いたってノーマル。

社長の一人がうなずく。

「それがええねん。」

「二人が変わり種で来てる中で、ストレート。」

「しみるわ。」「味も全然外さんしな。」

「これはこれで、ありや。」

さきちゃんは少し驚いたように笑う。

「ありがとうございます。」

博子は横で思う。

三者三様。

ヒロコは設計で刺す。

アルカちゃんはギャップで刺す。

さきちゃんは真っ直ぐで刺す。

社長たちも、それをちゃんと感じ取っている。

「やっぱ面白いな。」

「同じ“団体戦”でも全然違う。」

「博子ちゃん、言うてた通りやな。」

博子はグラスを傾ける。

「だから、差も楽しんでもらえたらって言ったんですよ。」

社長たちは笑う。

「今日の反省会やな。」

「俺は鯛飯、想像以上やった。」

「テッサはやっぱ王道や。」

「おばんざいは安心感やな。」

それぞれが、自分の時間を振り返る。

女の子たちは、軽く目を合わせる。

手の内は全部明かさない。でもヒントは出す。

「そこどう考えたん?」

「動線どうやった?」

「温度どう上げた?」

店の中で、小さな反省会。

社長たちは楽しそうに語る。

女の子たちは、少し目を細めながら聞く。

計算。感覚。刺さり具合。

「結局な。」

社長の一人が言う。

「大阪、正解やわ。」

「六本木抑えてこっち来て、ほんま良かった。」

ボトルが進む。グラスが空く。空気はどんどん柔らかくなる。

「明日どうなるやろな。」

「京都、楽しみや。」

博子は笑う。

「今日で温度上がってますからね。」

三人の社長。三人の女の子。三者三様。

でも一つのテーブル。

団体戦の醍醐味。それぞれの色が混ざりながら、夜は深くなっていく。

そして、静かに思う。

明日が、本番だ。

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