土曜日、新大阪で合流。わくわくした気持ちを胸にタクシーに乗り込み個別同伴
新大阪駅の少し人の流れから外れた場所で、博子、アルカちゃん、さきちゃんの
三人は先に合流していた。
「ちょっと、これ見て。」
博子がスマホを差し出す。
グループラインに上がっている写真。
前回、東京の社長が来たときに、北極星でさっと撮った一枚だ。
6人で、少しラフな感じで笑っている写真。
「いや、この写真マジで撮っといてよかったな。」
アルカちゃんが言う。
「空気感がわかるもんな。」
「うん。こういうのって、言葉より強い。」
さきちゃんも頷く。
「でもさ、これ一か月も間空いたら難しくない?」
「そうやねん。」
博子が笑う。
「熱があるうちにやらんと、同じテンションは出せへん。」
三人ともわかっている。今日も、どこかで一枚は撮る。
でも、狙いすぎると冷める。自然に、流れの中で。
「とりあえず、今日は流れ優先でいこ。」
博子がまとめる。
改札口の方を見ると、新幹線の到着表示が出ている。
「来るな。」
しばらくして、改札の向こうに三人の姿が見える。
少しテンション高めの表情。
キャリーケースと、手にはアタッシュケース。
「いやいや、待った?」
一人が大きく手を振る。
「全然待ってないですよー。」
三人そろって営業スマイル。
自然に距離を詰める。
「今日それぞれお願いしますね。」
博子がさらっと言う。
三人の社長もニヤリとする。
団体戦。でも今は分散。
キャリーケースを引いている社長たち。
「今日は泊まりやからな。」
「ANAホテルか、近くのアパホテルか迷ったわ。」
「まあ飲むの確定やし、近いとこやろな。」
そんな会話をしながら、自然とタクシー乗り場へ誘導する。
「荷物あるし、タクシーで移動しましょうか。」
博子が言うと、社長たちもすんなりうなずく。
「個別で店予約してるんで、ここから別行動で。」
「8時、店前待ち合わせで大丈夫ですか?」
段取りはシンプル。迷わせない。
「めちゃめちゃ楽しみにしてましたよ。」
社長の一人が言う。
「こっちもです。」
アルカちゃんが軽く返す。
さきちゃんは少し柔らかい笑顔で、「今日はゆっくり楽しみましょ。」と添える。
三者三様の温度。でも、空気はいい。タクシー乗り場。
週末にしては混んでいない。ガラガラとキャリーケースの音が響く。
アタッシュケースを運転手が後ろに積み込む。
それぞれペアになって乗り込む。
博子は、自分の社長と目を合わせる。
「今日はどう攻める?」
小声で聞くと、社長は笑う。
「任せるわ。」
「期待してる。」
その一言に、少し背筋が伸びる。
ドアが閉まる。
タクシーがそれぞれ別方向へ動き出す。
一瞬、三台が並ぶ。そして、分かれる。
夜はまだ始まったばかり。団体戦の前の、個別ラウンド。
それぞれの店。それぞれの空気。それぞれの刺し方。
博子は窓の外を見ながら思う。
まずは一対一。ここで温度を上げる。
8時、再集合。その時の空気で、今日の流れは決まる。
新大阪の街が流れていく。決戦の土曜日。
静かに、でも確実に動き始めていた。




