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日曜日の晩。博子はベットに横になりながら腹案3つを思い浮かべながらカードの使い方を迷う

日曜の夜、博子はベッドに横になりながら、頭の中でプランを転がしていた。

(とりあえず、3つはある。)

まず一つ目。

東京のイキリ社長に刺さった、あの鉄板コース。

フグのコースから入って、京都駅で一旦落ち着かせる。

そこからタキモトで酒を買う。

六条の酒屋の空気。銘柄を選ぶ時間。

そして、五条の隠れ家ランチ。派手じゃない。

でも、静かに満足度が上がる流れ。

最後は出町柳の手前。川沿いで、買った酒を少しだけ開ける。

観光地の真ん中じゃない。

「ちょっと手前」。

そこがいい。

(これは鉄板やな。)

一回は絶対入れたい。

二つ目。

嵐山。JRで行く。

嵐電でも阪急でもなく、あえてJR。

観光客が並ぶラーメン屋の前を通り過ぎる。

「うわ、めっちゃ並んでますね」と言わせながら、

ヒロコが押さえている湯葉豆腐と天ぷらの店へ。

座敷があって、3,000円ちょい。

リーズナブル。でもちゃんとしている。

そこから福田美術館。展示よりも、

カフェから見る桂川と渡月橋。

あの景色は、強い。

(あれは刺さる。)

写真じゃなく、体感。ゆっくり座って、コーヒーを飲む。それでいい。

三つ目。仁和寺。

中に入る。観光というより、空気を吸いに行く。

その中の、ちょっと新進気鋭の茶室サロン。

古民家改装。お寺改装。

二階に上がると、意外なほど静か。

あの“間”。あの余白。そこを堪能してもらう。

(これも強い。)三つ、ある。

十分ある。でも。

(狙いすぎたら、またしんどなるな。)

設計しすぎると、息が詰まる。詰め込みすぎると、余白が消える。

東京の人には、まだ言わない。ネタは見せすぎない。

女の子同士で、ぐるぐる回す。

アルカちゃんが体験系をやる。

サキちゃんが人間関係寄りで回す。

博子は設計寄り。それぞれを混ぜる。

(混ぜる、か。)

一人で完璧を目指すより、みんなで8割を混ぜる方が、深みは出る。

「あれ、いいやん。」

「これ、使えるやん。」

その会話自体が、座組の厚みになる。

フグ×タキモト×出町柳。

嵐山×湯葉×福田美術館。

仁和寺×茶室×余白。

単品で強い。

でも、ぐるぐる混ぜたら、もっと立体になる。

今月は、この3本柱でいく。

横流しもする。連続で来る東京勢に、

テーマをずらしながら当てる。

(問題は、体力やな。)

でも今は、不安よりも少し楽しい。

考えている時間は、嫌いじゃない。

借金のことも、頭をよぎる。でも、今は回っている。

回っているうちは、大丈夫。

一番怖いのは、座組が止まること。

人が離れること。

札束で殴る人たちが、次へ行くこと。

それは、わかっている。

だからこそ、

余白で勝負する。

(どこまでいけるやろな。)

天井を見上げながら、

博子はスマホのメモを閉じる。

明日、また動く。

月曜、新井社長。

水曜、おじいちゃん。

金曜、接待会社の社長。

土日、東京社長3人。

スケジュールは埋まっている。

でも、心はまだ少し余白がある。

三つのプランを、頭の中で、何度も混ぜる。

福田美術館の景色。

仁和寺の静けさ。

出町柳の川風。

そのイメージを抱えたまま、

ヒロコはゆっくり目を閉じた。

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