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焼き鳥同伴の後半戦。団体の座組や設計に会計士先生は感心

炭火の煙が、ゆらゆらと天井に上がっていく。

芋焼酎のグラスを軽く回しながら、博子は少し真面目な顔になる。

「座組みの話で言うとですね。」

先生が静かに視線を向ける。

「やっぱり社長さんの座組みが多いです。」

「東京からの社長さんたちの座組みが、今ふたつ来てまして。」

「定期的に回してほしいって言われてるんですけど。」

博子は少し苦笑する。

「結構、苦労してます。」

先生が頷く。

「札束で殴る世界ですからね。」

「そうなんです。」

「六本木とか銀座みたいに、お金で派手にやるっていうやり方もあるけど。」

「それを、京都とか大阪で受けて立つって感じです。」

先生が興味深そうに聞く。

「どう受けて立つんですか?」

博子は、言葉を選びながら話す。

「お金じゃなくて。」

「落ち着いて、ゆっくり、丁寧な接客。」

「京都の路地裏とか。」

「観光地の中の、ちょっと静かな場所。」

「余白を作る感じです。」

「気づきを与えられたらいいなって。」

先生はグラスを置く。

「それ、相当考えてますよね。」

「でも私だけで回してるわけじゃないんです。」

「他の女の子たちともチームでやってるんで。」

博子は少し不安そうに言う。

「内容の差が出すぎるのも、どうかなって。」

「私だけ100点で、他が50点やったら、逆に変になるし。」

先生が小さく笑う。

「だから、別行動にしてるんですね。」

「そうです。」

「それぞれ社長さんが別ルートで動いて。」

「最後に新幹線で反省会。」

「山崎と白州を渡して。」

先生が声を出して笑う。

「それ、起承転結しっかりしてますね。」

「六本木とは違う方向でやろうと思ってます。」

博子が言うと、先生は真顔で言う。

「そもそも、そんなことを考えるのがすごいですよ。」

「普通のキャバ嬢、そんなことしません。」

博子が少し照れる。

「そうですか?」

「私も地方、何回か行きましたけど。」「ピンで動いてる人がほとんどです。」

「アフターで、次の日どこそこ行こうや、なんて人はいなかった。」

先生は続ける。

「もちろん、私がたまにしか行かないからかもしれませんが。」

「でも、そこまで設計する人はいませんよ。」

博子は少し考える。

「貴重って言われると、なんか照れます。」

先生ははっきり言う。

「貴重です。」「それに乗ってくれる周りも、博子さんの人望ですよ。」

博子は小さく息を吐く。

「どこまで還元するか、まだ悩んでますけどね。」

「お手当てで還元するのか。」

「座組をどう形にするのか。」

「起承転結どうするのかも、まだわからないし。」

先生が頷く。

「でも、二つ三つあれば十分です。」

博子は続ける。

「大阪の方では、税理士の先生が。」「顧問先で被ってる同業の先生とか。」

「弁護士、社労士の先生と仲良くなりたいから。」

「きっかけ作りに座組回したいって言ってはって。」

先生が目を細める。

「それ、需要ありますよ。」

「大阪京都界隈で、先生同士の仲を取り持つ。」

「かなり意味あります。」

博子が言う。

「じゃあ先生も、将来独立したら需要あるかもですね。」

先生は少し笑う。

「そうですね。」「ゴルフばっかりじゃ、ネタ不足ですし。」

「麻雀も限界あるし。」「何か場を作れる人は強い。」

博子は頷く。

「その一つに、北新地を使ってもらえたらなって。」

先生は、少し冗談っぽく言う。

「じゃあ、将来そういうふうにやるなら。」

「博子さんともっと親密になりますかね。」

博子は即座に返す。

「今でも結構、まあまあ親密ですけども。」

二人で笑う。

「それ以上深めていただけるなら、歓迎します。」

先生が苦笑する。

「でも先生あれでしょ。」

博子がニヤリとする。

「私にガチ恋というより。」「私の座組にガチ恋でしょ。」

先生は声を出して笑う。

「半分本気で、半分そっちですね。」

博子も笑う。

「やっぱり。」

「博子さん個人も魅力的ですが。」

「仕組みを作る人って、やっぱり面白いんですよ。」

博子は少し真顔になる。

「仕組み。」

「人を動かす構造。」

「それを考えてる時間が、楽しいんですよね。」

先生は頷く。

「だから、楽な人が増えてきたんですよ。」

「博子さんが構造で回してるから。」

炭火の火が、ぱちっと音を立てる。

芋焼酎の香りがふわりと立つ。二人は静かに笑い合う。

恋とかガチ恋とか。それも悪くない。

でも今は。設計にガチ恋してくれる人がいる。

それが、少し誇らしかった。

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