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博子が今後複数で接待することも想定し、アルカちゃん、さきちゃんも卓に呼び明日の流れを社長に話す

博子はグラスを置き、少しだけ間を取った。

「ちなみに、社長。」

「ん?」

「余裕があるならなんですけど。」

社長は面白そうに見る。

「なんや。」

「明日、東京で来られる3人のメンツを見繕う際に。」

「うん。」

「3人で来られる場合、私も3人でやろうと思ってるので。」

社長は眉を上げる。

「ほう。」

「他の女の子2人、ここに呼んで、明日の座組、軽く共有してもいいですか?」

一瞬、沈黙。社長は酒を口に含み、ゆっくり飲み込む。

「なるほどな。」

ヒロコは続ける。

「多少、明日の種明かしもします。」

「全部やないやろ?」

「もちろん。」

社長は笑う。

「博子ほどではないやろうな。」

「それはそうです。」

「でも共有することで、博子のレベル感があの子らにもわかる。」

博子は静かにうなずく。

「それも狙いです。」

社長は頷く。

「他の社長と接待するとき、個々で対応する可能性あるしな。」

「はい。」

「それを見るのも悪くない。」

博子は黒服に目配せする。

数分後、アルカちゃんとさきちゃんが入ってくる。

空気を察している。顔が少し硬い。

「よろしくお願いします。」

声が少し上ずる。社長は軽く手を振る。

「そんな取って食うわけちゃうから。」

場が少し和む。

「取って食うのは博子や。」

博子は苦笑する。

「やめてください。」

少し笑いが起き、空気がほぐれる。博子は姿勢を正す。

「今日の座組、ざっくり説明します。」

アルカちゃんとさきちゃんが真剣に聞く。

「まずテッサから始まり、ふぐちり、唐揚げ。」

「大阪を軽く満喫してもらう導入です。」

社長は頷く。

「社長は東京の六本木、銀座の飲み方には慣れてる。」

博子は続ける。

「だから違うものを出したいって感じでした。焼肉・スシはNGって話も前もってありました。」

アルカちゃんが小さく息を呑む。

「明日の予定、社長も今聞いた方が想像できると思って。」

博子は具体的に話す。

「明日、朝10時半、京都駅待ち合わせ。」

さきちゃんが目を丸くする。

「早っ。」

「タクシーで六条河原町の酒屋の問屋へ。」

社長は興味深そうに聞く。

「日本酒を一緒に選びます。」

「銘柄候補は既にいくつかあるけど、あえて一緒に選ぶ。」

「四合瓶を。」

アルカちゃんが小声で言う。

「参加型ですね。」

博子はうなずく。

「その後、五条の小民家風イタリアン。」

「昼8000円ぐらいのプチコース。」

社長がニヤリとする。

「夜やともっとするな。」

「そうです。」

博子は続ける。

「前菜、パスタ2種ハーフ、肉と魚もハーフ。」「デザートまで。」

パスタ、メインを2人でリザーブするとハーフで2種類堪能できます。

さきちゃんが呟く。

「結構ちゃんと食べるんですね。」

「観光じゃないですから。」

博子は穏やかに言う。

「会話の密度を上げるための設計です。」

社長は腕を組む。

「コロナの頃は安かったやろ。」

「3000円とかでした。」

「今は?」

「インバウンドでめちゃくちゃ上がってます。」

社長は小さく笑う。

「時代読むのもカードやな。」

博子は続ける。

「ランチ後、京都御所横の河川敷。」

アルカちゃんが少し驚く。

「外ですか?」

「はい。」

「買った日本酒をそこで開けます。」

社長の目が光る。

「外で?」

「鴨川のゆっくりした感じを味わってもらう。」

博子は少し照れながら言う。

「今日、昼に肉じゃが作ってきました。」

アルカちゃんとさきちゃんが同時に博子を見る。

「え?」

「肉じゃが?」

「はい。」

社長が笑う。

「家庭か。」

「その他のつまみに熊本の山ウニ豆腐買ってます。」

「ちょっとしたつまみとして用意。」

博子は静かに言う。

「豪華さじゃなくて、温度です。」

場が静まる。社長はゆっくり言う。

「なるほどな。」

アルカちゃんは緊張しながら聞く。

さきちゃんは目を真剣にしている。

ヒロコは最後に言う。

「明日は、六本木や銀座と違う時間を出します。」

「速さじゃなく、余白。のんびり。」

社長は小さく笑う。

「博子、ほんまに俺の心を取って食う気やな。」

博子は微笑む。

「取って食いません。ただ出来事で巻き込みます。」

アルカちゃんとさきちゃんは息を飲む。

空気はまだ張っている。でもそこに、期待も混じっている。

明日の京都。鴨川。日本酒。肉じゃが。

東京では味わえない時間。

博子の最強カードは、派手さではなく、設計だった。

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