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荒い社長との2セット目、博子のサロン計画は劇薬や。荒い社長の分析

荒い社長との二セット目。

酒も進み、場の空気が少し柔らかくなった頃。

博子はふと思い立って口にした。

「この前、私のファンだけのサロンみたいなの、どうかなって話、別のお客さんとしてたんですよ。」

「ああ、さっき話してた中ででたブレストの芋焼酎のやつな。」

「そうです。芋焼酎を中心にして、ちっちゃい箱で。」

荒い社長は一瞬、真顔になる。

「あれな。」

「はい。」

「面白いのは間違いない。」

博子はうなずく。

「でもな。」

「でも?」

「やり方間違えたら、博子の価値下げるで。」

博子は眉をひそめる。

「それ、どういう意味ですか?」

荒い社長はグラスを置き、少し声を落とした。

「成功するやつはな、2種類おる。」

「2種類?」

「新しい気づきとか人脈を共有したいタイプ。」

「はい。」

「もう一つはな。」

博子の目を見る。

「博子を独占したいタイプ。」

博子は一瞬、黙る。

「……。」

「起業家・成功者同士横でつながりたい奴もおる。でもな。」

「でも?」

「博子を“自分の特別”にしたい奴もおる。」「時間か身体的か両方かは知らんが」

博子は小さく息を吐く。

「だから混ぜるって行為は劇薬や。」

「劇薬。」

「相手をマジで見なあかん。」

博子は真剣に聞く。

「屈折してる奴も多い。成功者ほどな。」

「屈折。」

「だから基本は1on1が一番満足度高い。」

博子はうなずく。

「確かに。」

「それを複数人入れるってことはな。」

荒い社長は続ける。

「博子がその他の人の面倒も見なあかん。女の子を追加で混ぜるならその面倒もみなあかん。」

「……。」

「それやるぐらいなら、スナックやキャバクラのママになった方が早い。」

博子は苦笑する。

「そこまで行きますか。」

「行くで。」

少し間を置いて。

「でもな。」

荒い社長はニヤリとする。

「そういう連中は、安っぽいスナックには行かん。」

博子は反射的に言う。

「安っぽいって。」

「見栄や。」

博子はハッとする。

「見栄。」

「日常をこだわるなら、出費はでかい方がええ。」

「……。」

「でも安い方が合理的やってのもわかっとる。」

博子はうなずく。

「でも“そんな安いとこに俺が行けるか”って思う。」

荒い社長は肩をすくめる。

「そこが悩みどころや。」

博子は考え込む。

「だから北新地の細路地でも、あの値段がする。」

「ステータスや。」

「北新地にいること自体が。」

「せや。」

荒い社長は静かに言う。

「俺がなんぼほど稼いでると思ってんねん。」

博子は思わず笑う。

「自信満々ですね。」

「当たり前や。」

少し真面目な顔になる。

「種はな、金が集まるとこに集まる。」

「種。」

「人も、情報も、縁も。」

博子は静かに聞く。

「博子みたいなメンツが集まるのもな。」

「メンツって。」

「北新地の給料がいいからや。」

博子は苦笑する。

「華やかさもある。」

「せや。」

「場末の細路地とかに最初から行って伸びる奴、あんまり見たことない。」

博子は驚く。

「そんなもんですか。」

「一回ここ通る。」

荒い社長はゆっくり言う。

「通ってから、場末に行く。」

博子はグラスを握る。

「だからな。」

「はい。」

「今はここにおれ。」

「……。」

「網張っとけ。」

博子は一瞬、言葉を失う。

「網?」

「人も金も寄ってくる。」

博子は静かに笑う。

「社長、めちゃくちゃ見てますね。」

「当たり前や。」

荒い社長は胸を張る。

「何べんも言うけどなんぼほど稼いでると思ってんねん。」

博子は苦笑しながらも、心のどこかで納得していた。

サロンは面白い。でも劇薬。1on1の濃度。見栄の世界。

北新地という看板。博子は荒い社長を少し見直していた。

ただの傲慢じゃない。ちゃんと俯瞰している。

「とりあえず、ここで張る。」

博子は小さく言う。

「それがええ。」

ネオンの光が揺れる。劇薬か、ステータスか。

ヒロコは荒い社長の言葉を胸に、静かに次の一杯を注いだ。

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