表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

260/724

店内で同伴の話の続き。博子の将来像についての悩み相談。清掃会社社長の分析

店に入ってからも、さっきの話の続きになった。

席に着いて、最初の一杯を合わせたあと、清掃会社の社長が言う。

「さっきの横軸と縦軸の話やけどな。」

博子はうなずく。

「はい。」

「横軸ってのはな、流行りや。」

「流行り。」

「SNSマーケティングとか、タピオカ屋とか。今ウケてるもん。」

博子は笑う。

「タピオカ、もう古いですよ。」

「そういうことや。」

社長は指を立てる。

「横は移ろう。」

「なるほど。」

「で、縦も横も共通してるのは、何かを解決することや。」

博子はグラスを持ちながら聞く。

「大きく言えば、コンサルや。」

「コンサル。」

「コンサルにも縦と横がある。」

博子は少し身を乗り出す。

「横のコンサルは、流行りを追うタイプや。SNS運用、美容、ネイル、キャバクラのオーナー業とか。」

博子は苦笑する。

「思いつきそうなやつですね。」

「せや。博子ちゃんの経歴を活かして、ふわっとしたオーナー業に行く。」

「ふわっと。」

「悪くないけど、差別化が難しい。」

博子は黙る。

「で、縦。」

社長は少し声を落とす。

「縦は二つある。」

「二つ。」

「一つは士業や。」「会計士、税理士、弁護士。」

「資格がないとできへん。特定の知識を積み上げる。」

博子はうなずく。

「もう一つは?」

「マインドフルネス的なもんや。」

博子は目を細める。

「気づき?」

「そう。根源的な気づき。深いテーマ。」

博子は少し考える。

「博子ちゃんは、たぶんこっち行きたいんやろ。」

博子は正直に答える。

「……そうかもしれません。」

「でもな。」

社長は苦笑する。

「そんなのができる奴がおったら、もう仕事になっとる。」

博子は笑ってしまう。

「身も蓋もないですね。」

「20歳の女の子が考えてどうこうできるもんちゃう。」

博子はグラスを見つめる。

「ですよね。」

「せやからな。」

社長は続ける。

「ミックスや。」

「ミックス?」

「横と縦を混ぜる。」

博子は首を傾げる。

「例えば?」

「自分が全部やるんやなくて、専門家につなぐ。」

博子は反応する。

「弁護士、税理士、保険会社の人。」

「ファイナンシャルプランナーもや。

博子はゆっくりうなずく。

「ネットワーク。」

「せや。根を張る。」

社長は笑う。

「サロン的なもんや。」

博子は苦笑する。

「それが簡単にできたら、苦労せんですよね。」

「せやろ?」

しばらく二人は笑う。

「だからな。」

社長はグラスを置く。

「悩み続ける必要はある。」

博子は真顔になる。

「でも答えを出す必要はない。」

「……。」

「答えなんか出えへん。」

博子は少し肩の力が抜ける。

「流動的や。」

「その時その時で、形は変わる。」

博子は静かにうなずく。

「一定、納得しました。」

「難しいやろ?」

「めちゃくちゃ難しいです。」

一セット目が終わる頃、博子は少し落ち着いていた。

二セット目。社長がふと聞く。

「博子ちゃん、将来的に何したいんや?」

博子は一瞬、言葉に詰まる。

「正直、悩んでます。」

「ほう。」

「店の外で、なんかやりたい気持ちはあります。」

「具体的には?」

博子はゆっくり言葉を探す。

「人と人をつなぐとか、場を作るとか。」

社長は黙って聞く。

「でも、それって抽象的すぎて。」

「うん。」

「資格もないし、専門もないし。」

社長は笑う。

「今はな。」

博子は小さく笑う。

「縦に行きたい気持ちはあるけど、縦に行けるほど深くもない。」

「横に行くと、浅い気がする。」

社長はうなずく。

「だから詰まる。」

博子は息を吐く。

「でも、今は目の前の最強カードを出すしかない。」

社長はニヤリとする。

「せや。」

「明日やろ?」

「はい。」

「縦も横も、明日の一晩では決まらん。」

博子は笑う。

「そうですね。」

「でもな。」

社長は少し優しい声で言う。

「悩んでる博子ちゃんは、悪くない。」

博子は目を伏せる。

「ありがとうございます。」

「20でここまで考えとるだけで、十分や。」

ネオンの光がグラスに映る。

横軸と縦軸。士業と気づき。サロンとネットワーク。

答えは出ない。でも、話すことで少し輪郭が見えた。

二セット目は、まだ続いていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ