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博子の自問自答。キャバ嬢。20才。若い。かわいいで成立するが、30では通用しない。別の芽も考える

博子は、家に帰ってからしばらく天井を見つめていた。

新幹線を見送って、スタバで反省会をして、封筒をしまって、電車に揺られて帰ってきた。

シャワーを浴びて、髪を乾かして、ベッドに腰を下ろした瞬間、急に静かになった。

「……とりあえず、借金なくなるまでは、これでええか」

現実的なライン。今の流れは悪くない。むしろ上出来だ。

東京勢は価値を理解している。座組は回せる。

お手当ても跳ねた。リピートの気配もある。

「でもな」

天井に向かって、ぽつり。

「これだけやと、30超えたらジリ貧やな」

冷静な自己分析だった。

今は“設計士”として光っている。

場を読む力、温度を整える力、関係性を編む力。

でも、それは“体”と“若さ”と“空気感”に依存している。

時間は止まらない。

「なんか手打たなあかん」

けど、有効打が見えない。

不動産?

保険代理店?

「……ありふれてるな」

社長らと飯食って、座組回して、経営の話聞いてると、どうしても見えてしまう。

不動産も保険も、“やる人がやると強い”世界。でも、差別化は難しい。

しかも、営業はレッドオーシャン。紹介回し?

今の関係性を金に変える?

「それ、雑にやったら全部壊れる」

社長らは、“遊び”として楽しんでくれている。

そこに“営業”の匂いが入った瞬間、空気は濁る。

「せっかく楽しくやれてるのに」

これを“活かす”とは何なのか。

営業することか?

紹介を回すことか?

顧問料を取ることか?

違う気がする。

博子は、スマホを手に取る。

博子としてのLINE。

博子としての銀行アプリ。

残高と、借入残高。

「借金なくなるまでは、この流れでええ」

キャッシュを作る。種銭を作る。

でもその先。

「私が強いのは、設計やろ?」

場を読む。人を組ませる。温度を整える。

それは、不動産でも保険でもない。

「じゃあ何やねん」

イベント企画?

接待設計コンサル?

富裕層向けアテンド?

「……ちょっと怪しいな」

でも、本質はそこに近い。

社長三人が言っていた。

“設計士”

あれは冗談半分、本音半分だ。

六本木で100万使う世界の人たちが、

“気づきが多かった”と言った。

それは金じゃない。

「体験の設計」

この言葉が、頭の中でゆっくり浮かぶ。

不動産はモノ。

保険は商品。

博子がやっているのは、“時間の編集”。

「でもそれ、どうやって金にする?」

そこが見えない。

今はキャバクラという器があるから成立している。

座組も店があるから回る。

外に出たら?

「……だから、いきなり飛ばれへん」

借金がなくなるまで、実験や。

今の東京勢を丁寧に回す。体験の型を作る。

何が刺さるか、データを取る。

ウイスキー工場。体験型。歴史建築。価格バランス。

「私、何が強い?」

静かに考える。

・相手の消費基準を読む

・過去の遊び方を把握する

・“ちょうどいい”を作る

・過不足なく余韻を残す

これ、普通の営業ちゃう。

「これ、横展開できるんちゃうか?」

東京勢の横の紹介。税理士のネットワーク。“大阪アテンド設計”。

でも、がっつりビジネスにしたら壊れる。

「匂わせぐらいがええか」

今はまだ、遊びの延長線上。

博子はベッドに横になり、目を閉じる。

借金ゼロまでは、この流れでいく。その間に、“設計”を言語化する。

不動産も保険も、悪くない。でも、それは逃げ道。

「私は、ありふれたくない」

静かな夜。次の設計を、もう考え始めている自分に気づき、

博子は小さく笑った。

「有効打は、まだ先やな」

でも、芽は出ている。今はまだ、ぼんやりでいい。

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