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大阪での接待にご満悦の東京組。ただこの座組の前提条件の多さを博子に言語化されることでよりハマる

「いやあ、ま大阪でのこの1日は、めちゃくちゃ楽しかったし、印象深いわ」

幹事社長が素直にそう言うと、ほかの二人も大きくうなずく。

「正直、ここまで設計されてるとは思わんかった」

「六本木とは全然ちゃうな」

博子は、グラスを指でくるりと回しながら、少しだけ笑う。

「東京でこの形がないのは、なんとなくわかりました」

「ほう?」

「でも、大阪でこうやって楽しめたってことは、地方でまだくすぶってる可能性も

あると思うんです。博多とか札幌とか。東京で3,40万おろすくらいなら、旅行込みで行って、

ゆっくり遊ぶっていうのもありじゃないですか」

イタリアン社長が笑う。

「営業やなあ」

「営業じゃないです」

博子は首を振る。

「大阪は、そのうちの一つに入れてもらえたらいいなってだけです」

すると幹事社長が、少しだけ真顔になる。

「でもな」

空気が少し締まる。

「博子ちゃんもわかってるやろ。この座組、特殊やで」

博子は目を逸らさない。

「はい、わかってます」

「これな、前提条件が多すぎる」

天ぷら社長が指を折り始める。

「接待を理解して回せる女の子が複数いること」

「まったり系が複数おること」

「横の連携が取れてること」

「それなりに売れてて、余裕があること」

幹事社長が続ける。

「若い子がやろう思ても、個人事業主感が強すぎて無理や。自分の客優先になる」

イタリアン社長も頷く。

「ほんでレベル高い子に頼んだら、値段がガンと上がる」

「そうですね」

博子は素直に肯定する。


「ほどよい値段で同伴含め回してくれて、反省会まで付き合ってくれて、

明日も設計してくれる。これ、札幌でも博多の中州でも、簡単ちゃうと思う」

「わかってます」

博子はゆっくりと言葉を重ねる。

「加えて言うなら、ニーズが複数件ないと無理なんです」

三人が顔を上げる。

「この座組のため“だけ”にやるなら、労力が大きすぎます。私、

今は東京からのニーズがいくつかあるんです」

「ほう?」

「それに、大阪の税理士さんとか、横つながりで仲良くなりたい人たちが、

“明日抜きで今日の座組だけでもやりたい”って言ってくれてるんです」

「明日抜きで?」

「はい。今日みたいな流れを回したいって」

場が静かになる。

「だから成り立ってるんです」

博子は淡々と続ける。

「複数件、このニーズが把握できて、それを受け止められる人間じゃないと無理なんです」

幹事社長が大きく息を吐く。

「博子ちゃん、やばいぜ」

「何がですか」

「経営者感覚、半端やない」

三人が笑う。

「今日の流れだけでも完成形やのに、明日までやるって派生系やろ?」

「はい、派生系です」

博子はさらりと言う。

「そこまでやったら、多分よそ真似できないと思ったんで」

「こわっ」

天ぷら社長が笑う。

「でもお試しですよ」

博子は少し肩をすくめる。

「ほかにも何件か、この企みで回せそうな話が来てるんで、回してみようかなって」

「店の子全員賛同するんか?」

「わかりません」

博子は正直に言う。

「全員がやれるわけじゃないし、上手く回るかも未知数です」

イタリアン社長がグラスを持ち上げる。

「つまり実験中やな」

「そうです」

幹事社長が笑う。

「でもな」

「はい」

「ここまで聞いたら、やっぱりここ来るしかないやん」

一瞬の静寂のあと、三人が同時に笑い出す。

「札幌?博多?」

「いや、まず大阪やろ」

博子もつられて笑う。

「依存しすぎたらあきませんよ」

「それも含めてや」

天ぷら社長が言う。

「この“特殊”が体験できるんやったら、そらまた来る」

幹事社長が締める。

「結局な、金の額やない。設計や」

イタリアン社長が頷く。

「ほんで、俺らはその設計にハマった」

博子は静かにグラスを持ち上げる。

「じゃあ、次の実験にも付き合ってくださいね」

「当たり前や」

笑い声が重なる。

この座組は、偶然ではない。

ニーズと余裕と連携と設計。

全部が噛み合って、初めて動く仕組み。

そしてそれを理解した三人は、もう半分、次の大阪を予約している顔をしていた。

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