表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

234/727

土曜日。東京社長3人組を博子達3人で個別同伴→店集合で接待。負けられない戦いがある

金曜日のフリーを流して、静かに締めたあと。

土曜日の朝は、目覚ましもかけずにゆっくり起きた。

今日は勝負の日。とはいえ、朝から気合いを入れすぎると夜までもたない。

昼までは徹底的にゴロゴロする、と決めている。

布団の中でスマホを開き、東京三人組のLINEに一本だけ送る。

「本日はよろしくお願いします。大阪満喫してくださいね♪」

すぐに既読が三つ。

「めちゃくちゃ楽しみにしてます!」

「大阪でこんな設計された接待初めてです」

「今日は忘れられへん夜にしましょう」

テンションが高い。

博子は短く返す。

「お待ちしてますね♡」

それ以上は書かない。熱量に引きずられない。

昼過ぎまで体を休め、夕方前にシャワー。メイクは少し丁寧に、でもやりすぎない。

今日は“自分が目立つ日”ではなく、“回す日”や。

待ち合わせは淀屋橋寄りの川沿い。

博子が着くと、すでに三人組は揃っていた。

きちんとスーツで、少しだけ落ち着かない様子。

そして、その少し後ろに――

さきちゃん。アルカちゃん。

今日は六人で顔合わせや。

「今日はよろしくお願いします」

博子が言うと、三人とも丁寧に頭を下げる。

「こちらこそです!」

幹事社長が言う。

「大阪でこんなに手厚く迎えてもらえるとは思ってなかった」

博子は横目でさきちゃんとアルカちゃんを見る。

軽くうなずき合う。

今日は三人を、一人ずつ、別々に。

最初に軽く全体で話す。

「今日はそれぞれ違う店に行きますので」

博子が説明する。

「テーマは“東京にない時間”です」

三人が少しざわつく。

「東京にない?」

「派手な店は東京のほうが多いですからね」

博子は笑う。

「今日は東京の夜とは違う“でこぼこ”を楽しんでもらえたら」

さきちゃんが続ける。

「私は天ぷらです。カウンターで、揚げたてをゆっくり」

アルカちゃん。

「私は川沿いのイタリアン。夜景とワインでゆっくり」

博子は自分の番。

「私はおばんざい。ナスの煮びたしとか、揚げ出しとか。派手じゃないけど、沁みるやつです」

三人組が顔を見合わせる。

「全部違うんですね」

「だから反省会ができるんですよ」

博子が言う。

「後で店で集合して、どれが一番良かったか、ゆっくり話してください」

幹事社長が笑う。

「それ、めちゃくちゃ面白いですね」

博子は心の中で小さく頷く。東京ではなかなかやらない設計や。

六本木や銀座は、“一番いい席を誰が取るか”の戦い。

今日は、“どの体験が一番沁みたか”の共有。それが新鮮になるはず。

川沿いの風が吹く。

「では、そろそろ」

さきちゃんが一人を連れて歩き出す。

アルカちゃんも、川沿いへ。

博子の前には、幹事社長。

「博子さんのおばんざい、めちゃくちゃ楽しみです」

「期待しすぎないでくださいね」

「いや、もう設計の時点でワクワクしてます」

博子は少しだけ緊張する。

自分の店は決めている。ナスの煮びたし。

里芋の煮っころがしの揚げ出し。出汁の香り。

東京では出てこない、地味で丁寧な時間。

さきちゃんとアルカちゃんの具体的な料理までは把握していない。

あえて細かく共有していない。

被らないことだけ確認して、あとは“ものの流れ”に任せる。

それぞれの感性で作る同伴。

博子は歩き出す。少しだけ鼓動が早い。

三人を別々に回す。夜に再集合。その後、どう転がるか。

忘れられへん夜、はじまるで。

暖簾の見える路地へ、博子は幹事社長を案内する。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ