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月曜日。同伴を黒服に褒められる。税理士先生と店外体験型ツアーの設計図を練る

月曜日。店に入ると、黒服さんがニヤッとする。

「相変わらず同伴作ってくれてありがとうやな。」

「いやいや、税理士先生から連絡来ただけですよ。たまたまです。」

私は肩をすくめる。

「最近、アフターケアが多くて。自分から積極的に指名入れるのはちょっと

控えてるんです。固定の人もできてきましたし。」

黒服さんはうんうんと頷く。

「前の不人気嬢からここまで来るとはな。見ててめちゃめちゃ嬉しいわ。」

その一言が、じんわり沁みる。

卓に着くと、税理士先生が待っている。

「さっきの続きやな。」

焼酎を一口飲んで、私は本題に入る。

「動線、まず第一段階はシンプルです。」

指で空中に線を引く。

「税理士先生が、こっちのお店にお客さん連れてきてもらう。フリーの子何人か

つけて、気に入った子と仲良くなる“きっかけ”を作る。」

先生は静かに聞いている。

「で、保険会社の人と同じように、ダブル同伴。それぞれ同伴して、ここに戻って反省会。」

「うんうん。」

「これが第一段階。」

私は少し身を乗り出す。

「第二段階は、体験型です。どこかに行く。半日。そこで距離を縮める。」

先生の目が光る。

「なるほどな。」

「誰もがアルカちゃんだけ好きってわけじゃないですし。他にもいい子いるかもしれません。

あかんかったら別の子。都度都度一緒にツアー組んで回せばいいだけの話です。」

先生は笑う。

「さすがやな、博子ちゃん。組み立てるのうまいわ。」

私は淡々と続ける。

「私とアルカちゃんは、保険会社の人との関係性があるから、もう第二段階行きやすいです。

あっちは先に進めましょう。」

「で、俺は?」

「ウィスキー工場は、もう数人“行きたい”言うてる人おるんで。」

先生は苦笑い。

「人気者やな。」

「なので税理士先生と保険会社の方は、方向変えましょ。日本酒か焼酎。」

私はスイッチが入る。

「伏見。酒蔵見学。黄桜ファクトリーでランチ。地ビールも美味しいですし。

月桂冠の大倉記念館もあるし、観光要素もある。」

先生が身を乗り出す。

「半日コースやな。」

「4人で行く。アルカちゃんにはまだ言うてませんけど。」

私は一度区切る。

「ちゃんとお手当て包んでくれて、店外の返し同伴があって、継続的に来てくれる

確証があれば、多分乗ります。私は乗ります。」

先生は大きく頷く。

「確かにな。」

少し真面目な顔になる。

「保険会社の給料やとその費用出すの難しいかもしれんけど、

俺の方で必要経費で出しゃええだけや。」

経営者の顔。

「経営者向けの保険一本でも決まれば余裕で回収やしな。」

私はにこっとする。

「回収できて、関係性深まって、日本酒の会が面白かったら、また別の会に横展開。」

「モデルやな。」

「それを先生自身が体験して、弁護士先生や社労士先生巻き込んでいけば、勝手に広がりますよ。」

先生は笑う。

「体験組で飲みに行って、妄想話したら膨らむしな。」

2セット目。設計図の話が止まらない。

「これ、実践で一周してもらえたら面白さと理解が早いです。」

私は周りのフリー席を横目で見る。

「体験型に不満持ってる女の子も、裏でちゃんとお手当て入って、店外返しの同伴がある

ってわかれば、味方増えるかもしれません。」

先生が感心する。

「内部対策まで考えてるんか。」

「当然です。」

私はグラスを回す。

「自分だけ走ったら、軋みますから。」

「だから売れるんやな。」

私は首を振る。

「売れるとかじゃないです。持続可能にしたいだけです。」

先生はしみじみ言う。

「博子ちゃん、もはやキャバ嬢ちゃうな。」

「ちゃんとキャバ嬢です。」

「いや、プロデューサーや。」

博子は笑う。

「でも最終的に店でちゃんと飲んでくれな意味ないですからね。」

「そこも含めてや。」

焼酎が進む。

「伏見、やろか。」

「日程、早めに押さえましょ。」

先生は頷く。

「アルカちゃんにも打診頼むわ。」

「条件整えたら動きます。」

2セット終わり。

先生は満足げに立ち上がる。

「博子ちゃん、これは面白いで。」

「実験です。」

私は淡々と答える。

頭の中では、もう次の段取り。

フリーの子の顔。内部の空気。お手当ての水準。

継続性。淡々と。感情は静かに。

設計図だけが、はっきりしていく。

積み上げる。焦らない。でも止めない。

静かに、場を作る。それが、今の博子の仕事や。

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