日曜日の晩。有馬温泉小旅行に疲れて眠る
日曜日の夜、有馬から戻った私は、シャワーもそこそこにベッドへ倒れ込んだ。
ほんまに、泥のように。気づいたら夜中の2時を回っていて、喉が渇いて目が覚める。
スマホを手に取ると、LINEが一件。
弁護士先生。
丁寧な長文やった。
「今日は本当にありがとうございました。ここ数年で一番、時間がゆっくり流れた一日でした。
仕事を頑張る理由がまた一つ増えました。また必ず行きましょう。」
スクロールして読み終えたあと、私はしばらく天井を見つめる。
……なんやろ、この感覚。こっちはお手当もらってる側やのに。
しかも、10万渡そうとしてきた人やで?
それを8万もらって、2万返して、次の資金に回して。
完全に商売の流れの中にいるはずやのに。
「ありがとう」って、なんか不思議や。
私はため息をつく。
嬉しい、というより、妙に静かになる。
お金はもらった。
時間も使った。
でも、先生は本気で「時間」を受け取ってる。
それがちょっと、想像以上やった。
「まあ、ええか。」
私は軽く返信する。
「こちらこそありがとうございました。お仕事頑張ってくださいね。
次のウィスキー楽しみにしてます。」
重くならない。軽すぎない。ちょうどいい距離。それが今の正解。
スマホを置いて、もう一度布団に潜り込む。
頭の中で予定を整理する。再来週は、東京の3人組。
あれは、戦いや。土曜夜の同伴バトル。日曜の半日デート三本勝負。
あれは体力も頭も使う。
絶対、引き出しの回転勝負になる。
来週は――
おじいちゃんと、ウィスキー工場。
そのあと日曜日、会計士先生とも行く。
……散らした方が良かったな。
日程、ちょっと固めすぎたかもしれん。
「まあ、しゃあないwww」
思わずひとりで笑う。こういうのは勢いや。
散らしても、詰めても、結局やることは同じ。コツコツ。
積み上げるだけ。
売れてなかった時期が長かった。
だから急に増えたからって、浮かれたら終わる。
引き出しは、使えば滑らかになる。
でも、使いすぎたら枯れる。
そのバランス。
月曜日。
まだ同伴は入れない。
あえて、空ける。
「空白」も戦略。
最近はありがたいことに、向こうから動いてくる。
だからこそ、こちらから焦らない。
荒い社長も、遺品整理会社社長も、清掃会社の社長も。
来たら受ける。
来なければ、待つ。
主導権は、静かに持つ。
弁護士先生は、少し沼に入りかけてる。
会計士先生も、体験型にハマり始めてる。
おじいちゃんは、もう半分遊びの達人。
東京組は、六本木との比較でこちらに寄ってきてる。
流れは悪くない。でも、調子に乗らない。
私はもう一度目を閉じる。
お金の匂いはする。
でもそれ以上に、構造の匂いがする。
バカ売れじゃない。爆発でもない。
でも、回る。静かに、回る。
「0から1はできたな。」
ぼそっとつぶやく。
あとは、1を積むだけ。
急がない。焦らない。
月曜日は、まだ何も入れない。
空けたまま、整える。
疲れた身体をそのまま布団に沈めながら、私はゆっくり眠りに落ちた。
来週も、戦や。でもその前に、まずは一日、何も入れない。
それが今の私の余裕や。




