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弁護士先生とのやりとり。日曜日有馬温泉日帰り観光決定。先生婚活休会したってばよ

火曜日の夕方、博子がソファでゴロゴロしながらスマホを眺めていると、

弁護士先生からメールが入った。

「土曜日の夕方以降と日曜日、空いてます。あと、婚活女性が嫌すぎて休会しました」

思わず「うわぁ…」と声が出る。困った、と思いつつも、こういう時こそ

“お品書き”の出番だと切り替える。

博子は一度体を起こし、指先で軽くトントンと考えながら返信を打つ。

「じゃあ、土曜日なら

・手品レストラン

・串しゃぶの落ち着いた店

・大阪第一ビルの評判の立ち飲み屋

・天満の焼酎が美味しい立ち飲み屋

日曜日なら

・香水作り体験

・難波の川沿いのリーズナブルなアフタヌーンティー

・ジオラマカフェ

・陶芸体験

・有馬温泉

この辺ですかね」


まだ書ける。

川床風のカフェ、昭和レトロ喫茶巡り、ワイン角打ち、クラフトビール巡り…。

でも、あまり並べすぎると逆に迷わせる。そこで一旦止めた。

しばらくして、すぐに返信が来る。

「有馬温泉、気になる」

やっぱりそこに食いつくか、と博子は笑う。

「高いですよ?」

そう返すと、間髪入れずに、

「婚活休会したから任せろ(笑)」

と返ってきた。

ああ、もう完全に逃避モードやな、と博子は内心苦笑する。

「温泉入るなら化粧崩れます。足湯と観光くらいが現実的です」

「それでいい。ゆっくり話せれば」本音が出てるな、と博子は思う。

「梅田から直通バスありますよ。片道1,300円。1時間くらいで着きます」

「え、そんな安いん?楽しそうやな」

テンションが一段上がる先生。

博子は続ける。

「足湯→炭酸せんべい→太閤橋あたり散策→軽くお蕎麦か洋食→夕方戻る、みたいな半日コースですね」

「完璧やん。それでいこう」

即決。

「でも一応言っときますけど、観光扱いですよ。デートじゃないですからね」

「わかってる(笑)」

ほんまにわかってるんか、と博子は思う。

婚活休会。受け身の女性、専業主婦志望、金目当て。

その愚痴を言いたい気持ちもわかる。

でも、ここで博子に依存されても困る。

「先生、ガチ恋はまだ早いですよ。引き出し、全然開いてないですから」

そう送ると、「ほな全部開けるまで通うわ」と返ってきた。

商売上手やな、と思いながらも、博子は少し真面目な文を打つ。

「ただ、今ちょっと私も体調整えながらなので、日曜日の半日くらいで

お願いします。無理はしません」

「そこは守る。壊れたら困る」

この一言は、少しだけ本気だった。

博子はスマホを置き、天井を見上げる。

婚活休会した男が、有馬温泉に食いつく。

1300円のバスに喜ぶ弁護士。足湯で何を話すんやろう。

これもまた“お品書き”の一つ。

外での時間は、店とは違う。

セット料金もボトルもない。

だからこそ、価値は言葉と空気で作るしかない。

「足湯だけで3時間しゃべる可能性あるな…」

そう呟いて、博子は小さく笑った。

困ったと言いながら、もう段取りを組み始めている自分がいる。

壊さず、積み上げる。依存させず、満足させる。

人気が出ると、客と嬢の立場が逆転する。

でも最後の主導権は、まだ自分が握っている。

「よし、有馬は観光。商売。半日。足湯。」

そう整理して、博子は再びソファに沈んだ。

日曜日は温泉。

土曜日はまだ空いている。お品書きは、まだまだある。

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