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金曜日。グループ同伴。それぞれの内容発表会と合流してから改めて話す。3セット

店に戻って、少ししてからアルカちゃんも保険会社の人と合流してきた。

「お待たせしましたー。」軽やかな声と一緒に、空気が少し明るくなる。

四人が揃ったところで、博子がグラスを持ち上げた。

「じゃあ改めて、乾杯しましょうか。」「お疲れさま!」

カチン、とグラスが鳴る。テーブルには、さっきから残っている森伊蔵。

完全に空ではない。まだいける。博子がちらっと残量を見る。

(よし、まずはこれを使い切ろう。)

税理士先生も同じことを考えたのか、「まだ残っとるし、これ飲み切ろか。」

「ですね。もったいないですもんね。」自然な流れで注ぎ足される。

まずはそれぞれの同伴報告会。

税理士先生が笑いながら言う。

「博子ちゃんは、相変わらずしっぽりやったな。」

「今日はほんまにまったりでしたよ。お刺身と日本酒で、近況報告みたいな感じで。」

「仕事の話、だいぶ聞いてもろたわ。」

「先生の話、いつも勉強になりますし。」

保険会社の人が横から覗き込む。

「え、どんな話してたんです?」

「業界の流れとか、繁忙の波とか。キャバクラも税理士業界も、

似てるところあるんちゃいますかって。」

「分析モードやなあ。」

一方、アルカちゃんはにやっと笑う。

「こっちはね、イタリアンでしたよ。」

「お、ええやん。」

「パスタがめちゃくちゃ美味しくて。保険会社さん、ワイン詳しいんですよ。」

保険会社の人が少し照れながら言う。

「いやいや、詳しい言うても好きなだけや。」

アルカちゃんが続ける。

「でも、仕事の話もしたけど、どっちかというと恋愛トークでしたよね?」

「え、言うなや。」「好きなタイプとか、どこデート行きたいとか。」

博子は横目で見る。(あ、ちょっと踏み込んだな。)

「で、次どっか行こうよ、って言い出したんです。」

「ええやん。」

「いやいや、まだ早いですって。」

アルカちゃんは苦笑いする。

「もうちょい会わなあかんな、って思いました。」

その言い方が絶妙で、全員が笑う。

税理士先生がまとめる。

「ほんまに二者二様やな。」

ヒロコはうなずく。

「ペース違っても、楽しかったらそれでええですもん。」

四人で同伴内容を公開し合う時間は、なんとも言えない心地よさがあった。

裏を探る感じもなく、マウントもなく、ただ共有。

それだけで、もう一セットはあっという間に過ぎた。

気づけばボトルがほぼ空。税理士先生がグラスを傾けて、

「ほぼ終わりやな。」

保険会社の人が言う。

「じゃあ、とりあえず黒霧でも入れとこか。」

ヒロコとアルカが一瞬目を合わせる。

(ドリンクで刻むより、セット伸ばしたい。)

「ありがとうございます。じゃあ黒霧でいきましょう。」

ボトルが運ばれてくる。博子は心の中で計算する。

(ドリンクバックより、今日は時間やな。)

今日は二手に分かれて同伴して、こうやって再集合してる。

この“報告会”という設計が効いている。

税理士先生が言う。

「せっかくやし、もうちょいゆっくりしよか。」

「今日は三セットいくか?」保険会社の人も頷く。

「そうですね。だらだら喋りたい気分や。」

博子とアルカちゃんが、また目配せする。

(アリやな。)ドリンクを煽るより、空気を煮込む方が今日は正解。

「じゃあ、今日は時間でいきましょ。」

「腹八分目やなくてええんか?」

税理士先生が茶化す。「今日は特別です。」

四人の距離は、確実に一段階縮まっていた。

仕事の話、恋愛の話、業界の裏話。笑いながら、時々真面目に。

アルカちゃんがふと博子に小声で言う。

「これ、チーム戦成功じゃないですか?」

「うん。今日はうまいこと回った。」

それぞれのペースを尊重して、無理に混ぜず、でも最後は同じテーブルに戻す。

三セット目に入るころには、黒霧もいい具合に減っていた。

税理士先生が言う。「この四人のバランス、悪くないな。」

保険会社の人も笑う。「またやりましょ。」

ヒロコは心の中で思う。

(単価も大事。でも、こういう夜が積み重なったら、結果はついてくる。)

アルカちゃんともう一度目を合わせる。

(今日は勝ちやな。)静かに、でも確実に。そんな金曜日の夜だった。

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