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東京3人組とのアフタートーク。設計に気づいていた男性陣から対価を頂く。また日常に戻る

日曜日の夕方、家に帰ってシャワーを浴びて、やっと一息ついた。

博子はソファに座って、スマホを開く。さっきまで一緒にいた東京三人組との

グループLINE。とりあえず、北極星で撮った6人の写真と、難波八坂さんの

前で撮った写真を送る。「今日はありがとうございました!北極星、

やっぱり絵になりますね。」ポン、と送信。正直、写真を撮ったのは半分は打算やった。

東京勢は頻繁に会うわけじゃない。顔が曖昧になったら、距離も曖昧になる。

私たちの顔を忘れられる可能性もあるし、こっちだって、向こうの微妙な表情や

空気を思い出すために、視覚のフックはあった方がいい。——とりあえず置いとこ、

ぐらいの安易な発想やった。でもすぐに返信が来る。

「写真いいな。なんか修学旅行みたいで楽しかったわ」「思い出できたな」

「これ見返したらまた行きたくなるやつや」……あ、これ正解やったな。

ヒロコは小さく笑う。“思い出”って言葉が出てくる時点で、勝ちや。

そのままやり取りしていると、一本、個別でLINEが入る。新幹線の中かららしい。

「3人で話したんやけどな」なんやろ、と思って開く。「それぞれ5万ずつ渡したい。

PayPayで送るから電話番号教えてくれへん?」ヒロコは一瞬、止まる。——え?

すぐにアルカとさきにLINE。「なんか5万ずつ送る言うてる」二人から即レス。

「え、やりすぎちゃう?」「それはちょっと重ない?」

博子も同じ気持ちやった。店で使ってもらった。ボトルも入れてくれた。

延長もしてくれた。十分すぎる。でも向こうから続きが来る。

「俺らも遊び慣れてるからわかる。あれは設計や。努力や。ちゃんと価値あった。」

「正直言うと、経営者仲間やから金には困ってない。でも気づきは買われへん。

あの二日間は下手なコンサルより価値あった。」「これは払わせてくれ。」

博子はスマホを見つめたまま、ふっと息を吐く。東京の人は、ほんまにお金で動く。

……いや、違う。これは雑なお金の投げ方じゃない。「ありがとう」じゃなくて、

「対価」や。誠実なお金や。そして、正直に言うと。——ありがたい。

借金300万。頭のどこかに、常にある数字。博子はゆっくりと返信する。

「お気持ちはありがたいですけど、本当に無理しないでくださいね。

それでも、ということなら…電話番号送ります。」三人でバラバラに番号を送る。

数分後。PayPayの通知。「50,000円受け取りました」それが三回。

博子は画面を見ながら、苦笑いする。「東京はやっぱ金で動くなあ…」

でも嫌な気はしない。むしろ、気持ちがいい。軽いばら撒きじゃない。

設計に対する対価。誠実な遊びの後の、誠実な支払い。これは、受け取っていい。

グループLINEに戻る。「ほんまありがとう。次もちゃんと設計しますね!」

向こうから、「毎月恒例でええやろ?」「もうスケジュール空けとくわ」

博子はアルカとさきに電話する。「濃厚やな、これ月一」アルカが笑う。

「響、置いてくれてる時点で本気やろ」さきが冷静に言う。

「専約入った時どうするか、考えとこな。三人回せるけど、保険はいるで。」

博子も頷く。もし誰かが専約になったら?もし私が抜けたら?

予備ライン。サブの設計。デートコースの分散。この“団体戦”をどう維持するか。

店としても、個人としても、価値は上がる。「遠足終わるまでは遠足」やけど、

今日はもう終わった。ベッドに転がる。体が重い。でも心は軽い。

借金の数字が、ほんの少し現実味を帯びて減った気がする。

スマホを枕元に置いて、目を閉じる。——さて。

次は月曜日。誰を同伴に誘う?

会計士先生は様子見。荒い社長は距離調整。弁護士先生?設計は止めない。

煽らない。淡々と積み上げる。博子は薄く笑って、毛布を引き上げる。

派手にはやらない。でも止まらない。日常に戻りながら、次の一手を考え続ける。

そうやって、また月曜日が始まる。

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