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東京の男性目線。気づきのある2日間。博子の設計努力が見える。またこよう。

新大阪を出た新幹線がゆっくりと動き出して、三人で並んで座席に体を沈めた瞬間、

誰からともなく「いや、今回の旅行、大成功やったな」という声が出た。

窓の外に流れていくビル群を見ながら、俺は正直、ちょっと驚いていた。

なんの気なしに博子に連絡しただけだった。京都回って、大阪で飲んで帰るか、

くらいの軽いノリやった。それが、こんなに印象に残る二日間になるとは思っていなかった。

六本木では、俺ら三人でよく飲む。会社の人間も混ざることもあるし、

だいたい一次会でそこそこ飲んで、二次会でキャバクラ行って、可愛い姉ちゃんが横につく。

盛り上がって、シャンパン入れて、なんとなく二セット。値段は高い。勢いで開ける。

翌朝、明細見てちょっと後悔。でも記憶は薄い。

シャンパン開けるのが正義、みたいな空気がある。あれはあれで楽しい。

でも、残らん。今回の北新地は違った。ボトルを丁寧に回しながら、会話をちゃんと

組み立ててくれていた。地元トーク、京都の話、大阪の裏スポット。あれ、

全部準備してたやろ?って今ならわかる。でもその努力を「やりました感」で

出さへん。自然やった。あの空気はすごい。博子が中心で回してたけど、

さきとあるかもちゃんと呼吸合わせてた。あれはチーム戦やなって思った。

六本木は基本、個人戦や。横の子がどうなろうが関係ない。でもあそこは違った。

しかも博子の引き出しや。話の量も質もおかしい。観光、歴史、デート設計、

心理。しかも押し付けがましくない。「こういうのもありますよ」ってだけ。

こっちに選ばせる。下手な経営コンサルより刺さる。

俺ら、経営やってるけど、それ言ってない。それでも新しい視点もらえた。

「育てる」「掘る」「余裕を持つ」みたいな感覚、普通のキャバ嬢から出てこんやろ。

あれは店の力か?いや違う。あれは博子の設計や。

それに合わせて動ける二人もすごい。

同伴を三人別々に組んで、あとで答え合わせとか、翌日のデートを分散させて

持ち寄るとか、そんな発想、普通ない。あれは“遊びを設計してる”。

たぶん北新地が生き残る理由って、ああいう文化なんやろなって思った。

金だけじゃない。時間の使い方を提案してくる。

北極星の本店も、八坂神社も、正直タダみたいな値段や。でも体験としては濃かった。

六本木で十万使っても味わえへん濃さやった。

「これ、タダで味わってええんか?」三人で顔見合わせた。

毎月やるって言うたけど、あの設計、あの準備、あの気遣い。負担やろ。時間も労力も。

「五万ずつ渡さへん?」誰かが言った。俺も頷いた。遊んだ、というより遊ばせて

もらった感覚やった。あの北極星の一時間だけでも価値ある。

三人で十五万。重くない金額や。でも意味はある。

毎月続けたらどうなるやろ。気づきも増えるやろうし、視点ももらえる。

六本木で消費するより、よっぽど未来に残る。窓の外が名古屋を過ぎた頃、俺は思った。

あれはキャバクラというより、「時間の投資」やったなと。

金で殴る遊びは楽や。でも、設計された時間に身を置く方が、よっぽど贅沢や。

東京に戻ったら、また忙しい。接待もあるし、六本木も行くやろう。

でもあの二日間は、多分ずっと残る。次は何を持ち寄るか。

そんな話をしながら、新幹線は夜の東京へ向かって走り続けていた。

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