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難波の八坂神社参拝→新大阪で解散。楽しんでもらえたのと毎月来たいと言質取れて満足

北極星を出て、六人で難波の街を歩く。人波はゆるやかやけど、

スーツケースを引く音がやたら多い。「次は八坂神社やね」

「鬼のやつやろ?」「そうです。ガブッてしてるやつです」

難波駅から10分もかからない。繁華街の喧騒を抜けて、少し歩くと急に空が開ける。

「あ、あれちゃう?」巨大な獅子殿。ぽっかり口を開けた鬼の顔。

「うわ、ほんまにガブッやな」「インパクトえぐい」でも目に入るのは、

日本人よりも外国人観光客の多さやった。「日本人少なっ」

「外国人めっちゃおるやん」博子がくすっと笑う。

「たぶん観光マップ載ってますよ。写真映えするし」

「確かに、あの口の中、ステージみたいやもんな」あるかが補足する。

「関空帰りの人とか、ここ寄るんちゃいます?南海難波も近いですし」

さきも続く。「インバウンドの中国の方とか、キタよりミナミで遊ばはるんで。

心斎橋・難波界隈の動線にちょうどあるんですよ」東京三人組が感心する。

「ちゃんと分析してるやん」「いやいや、商売なんで」

博子は軽く肩をすくめる。境内に入ると、獅子殿の前でみんな写真を撮り始める。

「ほんま、繁華街の近所にこんなんあるんやな」

「東京で言うたら、六本木ヒルズの裏に急に鬼神社ある感じやろ?」

「それは怖いわ」笑いが弾む。お賽銭を入れて、手を合わせる。

博子は横目で三人を見る。「何お願いしました?」

「仕事やな」「健康」「俺は……毎月これやな」

博子がにやっとする。「じゃあ私たちは、

“次も来てくれますように”ってお願いしときますね」「露骨やな!」

「でも正直や」「そこがええねん」ひとしきり笑ったあと、一人がぽつりと言う。

「こういうとこやな。六本木の子らに教えたいわ」「何を?」「“場所”の使い方や」

博子は少し真面目な顔になる。「六本木が悪いわけじゃないです。でも、

“金額”でしか設計されてない時間は、やっぱり薄くなります」「今日のこれは、

ちゃんと設計されてる」「だから残るんやろな」境内を出て、御堂筋へ向かう。

地下鉄に乗り、新大阪へ。車内は少し静かになる。

でも、その静けさが気まずさではなく、満ち足りた余韻なのがわかる。

新大阪駅。新幹線改札手前。「いやいや、これはマジで毎月でもええわ」

「ほんまやな」「毎月や」博子が即座に返す。「毎月やるなら、

ちゃんと丁寧にしましょ」「どういうこと?」「毎回テーマ決めましょ。

京都寺社編、大阪下町編、神戸港編。それぞれ同伴コースも被らんように組みます」

あるかが続く。「行き帰りの反省会まで設計しますよ」

さきも笑う。「帰りの新幹線で“今日どれが一番良かったか”討論できるように」

三人が顔を見合わせる。「なんやそれ、めちゃくちゃ楽しそうやん」

「毎月やな」「ほんまに毎月考えるで?」

「考えてください」博子が真っ直ぐに言う。

「私らも本気で考えますから」改札に向かう三人。振り返って手を振る。

「また連絡するわ!」「グループ残しといてな!」「来月やな!」

姿が消えるまで、三人は立っていた。やがて人混みに溶ける。

博子が小さく息を吐く。「……いけたな」「毎月って言葉、出たで」

「マジでありがたい」三人で御堂筋線に乗る。梅田方面へ。

車内で自然と小声の作戦会議が始まる。「この三人、回せるな」

「1年いける」「テーマ変えていけば、飽きへん」

「しかも団体戦やから、安定感ある」博子が窓の外を見ながら言う。

「毎月恒例ってなったら、六本木のワンナイトより強い」

あるかが頷く。「月25〜30万を12回。しかも継続前提」さきが笑う。

「冷静に言うなや」博子は静かに言う。

「でも、数字よりな。“また来たい”って言葉が出たのが一番デカい」

電車が梅田に着く。三人で改札を抜ける。「今日はようやったな」

「遠足成功や」「でも次も遠足やで」博子は小さく笑う。

「毎月恒例。ほんまにそうなったら――」

「この三人で回せるな」さきが言う。あるかが続ける。

「一年どころか、もっといけるかもな」梅田の雑踏の中へ消えていく三人。

派手なシャンパンよりも、丁寧な設計。

その積み重ねが、静かに“毎月恒例”へと変わろうとしていた。

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