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荒い社長との時間。会計士先生との会話やデートコース等色々話す

「さっき、ついてたんは誰や?」席につくなり、荒い社長はそう聞いてきた。

探るようでもなく、責めるようでもなく、ただの確認というトーンやった。

「今日は会計士の先生とお食事してました」

「来てから、だいたい二時間ぐらい、ずっとおしゃべりですね」

「ほう、公認会計士か」グラスを傾けながら、社長は鼻で笑う。

「うちも世話になっとるのは税理士やけどな」

「あの辺は、頭がええ分、どうしても頭でっかちが多い」

「ああいう人らはな、正解を探す癖が抜けへん」

「せやから、引き出しもまだ少ない」博子は軽く頷いた。

「そうですね」「だから、私の引き出しを見て、面白がってくれはるんやと思います」

「好きやって言うてくれるのは、ありがたいんですけど」

「たぶん、私そのものやなくて、私が持ってる引き出しが好きなんやと思うんです」

「せやから」「私を好きになる前に、自分で探す作業をちゃんとした方がええですよ、

って話をしました」「延長も言うてくれはったんですけど」

「今日は、返しました」荒い社長は一瞬きょとんとしたあと、声を出して笑った。

「はは」「なるほどな」「それが博子のええとこや」「商売気がないところやな」

「先生、まだ若いやろ」「見た感じ、三十いってるかいってないかぐらいちゃうか」

「合格するのが二十四、五やろ」「仕事がちょっと落ち着いてきて、結婚とか考えだす頃や」

「そら、コミュ力もまだ育ってへんし」「博子にゾッコンになるのも分かるわ」

そう言ってから、少し間を置いて、照れたように付け足す。

「……わしも、若干そういう気あるからな」

博子は苦笑いする。「で、どんな引き出しやねん」「先生には、何教えたん?」

「簡単なデートコースですよ」ヒロコは、指を折りながら話す。

「北極星の本店に行くとか」「大阪の八坂神社、鬼の顔のやつあるじゃないですか」

「神社とオムライスの、半日コースとかですね」

「北極星って、サクッと食べるイメージあると思うんですけど」

「本店は、ちゃんと座敷もあって、もともと洋食屋さんなんです」

「昔、食欲ない人がオムレツばっかり食べるから」

「ご飯包んで、ケチャップで味付けしたら、それがめちゃ美味しくて」

「それがオムライスの由来なんですよ」社長は目を丸くする。

「……とても二十歳の女の子の知識やないな」

「まあ、中身は四十二のおっさんですから」「知ってて当たり前ですwww」

そう言うと、社長はまた笑った。「せやな」

「博子のお品書きが面白いっていうのは、分かる」

「お品書きがある女の子が好き、ってのもなんとなく理解できる」

「でもな」「博子のお品書きは、ダサくないねん」「全部、美味しそうやねん」

「そこが一番、タチ悪い」グラスを置いて、少し真顔になる。

「よその女とプライベート掘ってもな」「出てくるもんが、あんまりええ宝物ちゃう」

「がっかりすることが多い」「せやから余計に、博子がよく見える」

博子は小さく頷いた。「それ、会計士の先生も言うてました」

その一言で、場の空気がふっと和らぐ。「なるほどな」「同じこと言われとるわけや」

「またそのお品書き、教えてくれや」「博子の話、聞いてるだけで楽しい」

博子はグラスを手に取りながら思う。(距離は、まだある)

(でも、今日は荒れてへん)そんな穏やかな空気のまま、ワンセットが静かに終わった。

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