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龍からは簡単に学院を案内され、多くの生徒が待ち合わせに使用するというカフェテリアにやってきた。
各々軽食と飲み物を頼むと、龍が地図を広げてくれると今案内された場所を説明してくれた。
「今いるのがここ。中央カフェテリア、別名“アンジェ”。で、高等部の校舎がここ。このカフェテリアを中心に、幼稚舎から時計回りにそれぞれの学部の主な校舎が建っているんだ。
その校舎の間に、体育館やグラウンド、実習棟や研究棟があって、第一図書館の隣に建っているマンションが男女の学生寮。右が女子寮で左が男子寮。それぞれのエントランスまでは男女関係なしに入る事ができる。
部屋へは立ち入り禁止だ。ちなみに図書館は第一から小さいものまで含めると第五図書館まである。
が、一番蔵書があるのは第一だな。設立当初からの学園新聞とかも保管してある。」
「さすが学園都市。大きいね~門から出れば居住区で病院とかもあるんだね。学生寮は高等部だけが強制?」
「ん?あぁそうだな。居住区に住んでいるのは大体幼稚舎~中等部までの生徒の家が多い。あとは教員の寮も居住区にある。基本的に学園バスが出てるから、送迎は問題ない。」
「そうなんだ。ちょっと聞きたいけれど、第一図書館の蔵書の過去の学園新聞はデータ化されているの?」
「どこまでされているか知らないが、基本的にパソコンでデータ入力されているはずだ。詳しくは司書に聞いてくれ。」
「分かった。」
地図をじっと眺め、各建物を頭の中に記憶する。
周りからは超がつく程方向音痴だと言われているが、とりあえず主だった建物の位置を把握しておけば迷子になったとしても大丈夫だ。
というより、このカフェテリアを待ち合わせ場所にしたらいいのかもしれない。
龍の説明を一通り聞いたあと、ディが食べ終わるのを待つ。
「しかし、よく食べるな。」
「ディは、甘いものが大好きだからね~。それなのに太らないから女の敵。」
「ごちそうさまでした。」
満足そうに最後のケーキを平らげたディは、食器を返却にお店の方に歩いて行った。
その後ろ姿を観察していると、大学部と思えるお姉様方が何人も振り返っていた。
「留学生がそんなに珍しいの?」
「留学生がというより、あの容姿だからじゃないか?フィーもそうだが、充分モテる部類に入ると思うがな、俺は。」
「んーそうかな?」
「実感がないならいい。それよりも、フィー達は寮に入る手続きをしていないだろう?外に部屋を借りたのか?」
「あ、うん。だから、一度校舎に戻らなきゃ。事務所に鍵を預けておきますって言われているから。」
「そうか。じゃあそこまで送る。」
「ありがとう。」
ディが戻って文が使きたタイミングで席を立つと、事務所へと向かって歩き出した。
高等部には事務所が2ヶ所あり、総合事務所と簡易の郵便とかの仕分けを行うだけの事務所があるらしい。
今回は総合事務所の方らしいので、再度校舎の中に戻る。
教室にも戻らないといけない。
構内を案内してもらっている時同様、手をポケットに入れて廊下を歩く。
大体すれ違う人たちは私達3人を見ると驚く。
ご機嫌に構内案内をする皇帝と、不機嫌ながらも説明を聞くディと、2人に挟まれて手を繋いで歩く女子生徒。
初めは違和感があったが、ある程度時間が経ってしまうと人間は慣れるもんだな~と思ってしまう。
何にって、好奇の目に。
手を繋ぐことに対して私自身は抵抗がない。
というよりアメリカでもよく手を繋いでいたのでこれが私の通常なのだ。
繋ぐ相手は、身内ばかりだけれど。
そして何人目かわからない生徒とすれ違った直後、それは放課後の人気の少ない廊下に響き渡った。




