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『俺がダメなら龍でいいじゃねぇか。俺はパートナに関してはパスだな。』


ディの意外な提案に目を丸くした。


『やだよ。龍って皇帝って呼ばれてるじゃない?エスコートをするってことは少なからず好意があるわけで、幼馴染で龍のことは好きだけれど、非常にめんどくさい事になりそうだから却下。』


持ってこられたデザートのケーキを頬張りながら、私は答えた。

その答えに、龍は苦笑しながらも正しい判断だと呟いた。

皇帝がエスコートをする=皇帝の彼女(候補)なれば、確かに特殊な立場になるらしい。

正式に付き合うようになったら、“皇妃”と呼ばれる。

何代か前の皇帝が好きになった相手が、ヴァイオリンの特待生だったんだけれど、皇帝自身がいわゆる御曹司と呼ばれる立場の人間で、身分差というもので彼女が影で虐められてる事を知り、正式な婚約者にするべく親を説得し、彼女を守るために“皇妃”という特別なポジションを作ったのだとか。

皇妃はブリリオ所属にはなるものの特に仕事はない。

特待生でなければ、ブリリオの仕事はあるらしい。


『では、龍は今まで誰もエスコートしてこなかったんですか?』

『する訳ないだろう?面倒くさい。フィーなら“幼馴染”でなんとかなるかと思ったが、本人が嫌がってるからな。今年も1人で歩くさ。』

『わぁお、自信家。』

『一応中等部から5年間、ずっと優勝してるからな。』


そりゃ自信つくわ。と納得する。


『でも、今年はディがいるからね、わからないよ?』

『負けねぇよ。』

『僕は、平穏に物事が解決すればそれで良い。』


だいぶ荒れてるな~と思うものの一人称が“僕”に戻ったので、落ち着いてきたかなぁ?と思う。

エスコートとか、あまり関わりたく無い雰囲気をディは醸し出しているし、私もあまり関わりたくはない。

でも、この2人は確実に予選は勝ち抜くだろうなと思っている。

それ以上突っ込むことはなく、残りのデザートを食べコーヒーを飲み干した。

昼食を食べ終わったあとは、残りの準備を終わらせるために教室に戻ると、交代である程度準備は終わった後で、早めの解散が言い渡された。

私たちはあまり準備はしていないんだけどな~。

手伝えなくてごめんね?と伝えれば明日から客寄せ頑張ってくれればいいと言われたので、ディと2人で明日から二日間客寄せを頑張ろる事にした。


帰り支度のために再びロッカーを開ければ再び手紙の山。

例の手紙も入ってるんだろうなと、盛大にため息をつく。

この忙しい状態でよく手紙をめげずに入れるなんて、まめだな。と感心してしまう。

手紙をバッグに入れている時視線を感じて振り返ると、その場を立ち去る女子生徒の後姿が目に入った。

その後ろ姿を記憶した。

ただ、視線に関しては敵意はなかった。


となると頼まれたか、ディを見ていたか。

どちらにせよ、人が増える学祭の間は周辺に注意をしておこうと思う。

備えあれば憂いなし。

ロッカーを綺麗に片付けると、ロッカーに鍵をかけてマンションに帰宅をした。


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