秘密
「いらっしゃーい。」
「・・長居するつもりはないよ。それより、僕たちに何の用?」
出迎えてくれたのは雛森くん。
ただドアを開けるなり、私を背中に隠し龍は3人に言い放った。
いやいや、とりあえず仕事の邪魔をしてはいけないんじゃないの?と私は思ったが、龍と日高くんのやり取りは少し緊迫したような雰囲気だ。
“それで、これはいつ届いたんだ?”
“30分前だ。ブリリオ専用のメールに届いていた。”
“脅しだな。むしろ犯行予告のつもりか?”
“・・・なんとも言えない”
ふーん、何か事態が動いたのかいつもの流れなのか分からないけれど・・・・、向こうから動いてきた。
ということかしらね?
「あなた方に用があるのは俺です。」
「そう、それは丁度よかった。私達も日高くんに用があったのよ。昨日の事件について。」
私たちの存在に気がついた、日高くんがこちらを向き挙手をする。
私も有無を言わせない笑みを浮かべ、龍の机の前へと移動をする。
「俺が知りたいのは、君達の情報だ。」
「それは答えられる内容による。私は昨日の事件についての情報について全て欲しい。それに情報を得るには何か対価が必要でしょう?交換でも構わないよ?」
身長差があるから、私が見上げる形になるけれどじっと相手を見据える。
「事件の情報はやる。その代わり君たちは何者なんだ?ただの交換留学生というわけでは無いだろう?死体を見ても動揺もしていなかった。」
「ただの交換留学生よ。表向きはね?」
「フィー。」
「大丈夫よ、ディ。許可は取れているし?むしろ元凶は帰国後にでも問いただせばいいんだし?」
「もう。」
と半分呆れたように、ディもため息をつく。
だが、制服の内ポケットから肌身離さず持っている手帳を私も、ディも取り出して龍のテーブルに置いた。
雛森くんも日高くんも手帳を覗き込む。
表情が険しくなったのは、龍だけだった。
『どう言うことだ?!フィー!!聞いてないぞ?!』
『言うはずないじゃない。』
有無を言わさぬ表情で龍を見据える。
『フィー、ちょっと落ち着け?』
『落ち着いているわよ。怒ってないもん。だけど、早々に行動を起こさないと次が怒る可能性が有るんだもの。』
『とりあえず、そっちの情報を寄越せよ。』
それまで静観していたディが情報を催促する。
ピリピリした空気を破ったのは、手帳に書かれている文字に首を傾げたのは雛森くんだった。
「スチュアートさんとウィリアムくんの身分証なのは分かるんだけど、何の身分証?」
「“Federal Bureau of Investigation”通称FBI。これ、特別捜査官の手帳ですよね?スチュアートさんは私たちと同じ年で間違いないですよね?」
「年齢に関しては、間違いないよ。ただ、私もディもかなり飛び級して大学を卒業している。」
「じゃあ、落石先生が“学力テストは問題ない”って仰っていたのは・・・・。」
「・・・大学まで出てるんなら、進学校の授業でも問題なんて楽勝だろうよ。」
日高くんの隣でため息をつきながら龍が答えた。
「今回は、何か事件関連で来られたんですか?」
「今回は全く関係ないと思いたい。私たち一応休暇で交換留学に来てるのよね。なので完全に巻き込まれた状態よ。」
「納得しました。約束です。これが僕の知っている全てのデータのコピーです。」
「ありがとう。」
USBを受け取ると私はお礼を言った。




